TOURNAMENT 5
「敵対する気はなかったんですね。」
「ないよ。まあ被害でも出てれば別だけど。それにさ、2年Eクラスの生徒が
どうなろうと知ったこっちゃない。」
「・・・たまにカエデが怖くなります。」
「そう?僕は正義の味方でもなんでもないよ。」
「力をどう使うかは人それぞれですか・・・。」
「長生きしてると・・・まだ11歳だけど・・・。自分の手の平の大きさを知る
んだよ。」
「何かカッコイイ事言ってますけど、面倒なだけでは?」
「はっはっは、スローライフ命。」
「そうでした。」
「さて、夕方にもう1試合だ。代表チームには頑張ったもらおう。」
「そろそろジャイアントキリング敵な噂が広まってますかね?」
「どうだろう?他のクラスの対戦に注目が集まってくれるとやりやすいけど。」
クラブハウスへ戻り、色々な試合結果を聞く。
1年Bクラスは5年Aクラスに完敗したらしい。結局、リルハとイトルの出番は
なかったようだ。2人はホッとしてるような気がする。ヒカル監督は悔しがって
るだろうがなプププ。
キリコの予想通り、4年Aクラスが次の相手だ。
何だかんだそれに勝てば明日の準決勝に駒を進める。いや~、なんとかなる
もんだな。
「シゲさん、4年Aクラスはどんな感じなの?」
「強いな・・・。さすがベル様のギルドだ。それに・・・。」
「それに?」
「代表選手が全員女子だ。しかもセクスィーコスチューム・・・。」
「色んな作戦があるんだねえ・・・諭吉が代表じゃなくて良かったよ・・。」
「全くだ。やりずらいな、会場全体を敵に回しそうだ。」
「薬の事は部分的にだけど解決したよ。夕食どう?その時にでも。」
「了解、まずはセクスィーお姉さん達だ。」
僕は魔導銃の続きをやりながら観戦。頑張れ、若人達よ。
えっ、確かにセクスィー衣装・・ビキニアーマー・・・。
見た事があるような・・・。桃ちん先輩まで・・・。
「エイル、あれって・・・。」
「ええ、ハレンチバルキリーですね。」
「ハレンチ?」
「バルキリーはさすがにあそこまでの露出はありません。」
「ベル姉のギルドも色んな人がいるんだねえ。」
「最大ギルドですからね。」
「でもさセクスィーバルキリーは通用しないんじゃない?」
「何でですか?」
「いや、僕達は子供だよ。」
「ごもっともです・・・。」
とは言え4年Aクラス、ベル姉のギルドだ。お色気担当という事もあるまい。
桃ちん先輩、超強いし。
始まった。アトムの記憶が戻ってるならなんの心配も・・・いや、戻ってるなら
まずいぞ。お色気が通用するんじゃ・・・。
んっ、何か言い合ってる?
「リング、音声ひろえる?」
「少々お待ちください。どうぞ。」
「そんな子に育てた覚えはない!」
「君は私の父親か!」
「そんな隙間だらけの鎧、虫に刺されるぞ!」
「ええ、それが悩みなのよ。って、ちがーう!」
「先輩はセクスィーを勘違いしている。チラリズムこそ至高!
あれを見ろ!」
「んっ?お前達の監督か?」
「彼女はほぼ露出ゼロだ。しかし、ふとした瞬間に見せる割れた腹筋に制服の上
からでもわかる巨乳。男どもはノックアウトだ。さらに彼女を見ろ!」
「んっ、あのメガネっ娘か?」
「そうだ。彼女はメガネを外すと男どもが群がる。その上彼女もまた巨乳。
わかるか?」
「むっ、確かによく見ると・・・セクスィー・・・。」
「いいですか先輩、ナイスバデーは爪隠すです。いくらスタイルに自信があっても
見すぎるとそれに慣れてしまうのです。なによりお腹が冷える!」
「た、確かに・・・。私達は間違っていたのか・・・。」
「あのう、カエデ・・・。」
「何だい、キリコ。」
「乱入してアトムをぶっ飛ばしていいですか?」
「キリコ、私も今フェニックスを撃つかどうか思案してるところです。」
「ま、まて2人とも!これには深い訳が・・・。」
「アトムの性癖に深いも浅いもないです。」
「ス、スズメ、落ち着いて。さ、作戦だよ。ほら見て、相手が戦意喪失してる
でしょ?」
「むぅ、確かに・・・でも、なんか嫌。」
「試合が終わるまで我慢して。その後だったら好きにしていいから。」
「しょうがないですね。キリコ、今は我慢しましょう。」
「わかりました。ただ、後で小間切れにします。」
「ええ、私は消し炭に・・。」
・・・さよなら、アトム。それにしてもアトムは完全に記憶が戻ってるな。
なにしろ僕を最初に夜叉の所に連れて行ったのはアトムことテムだ。
その時もチラリズムがどうとか言ってたもんな・・・。
試合はТKОでアトムが勝利した。わけわからん・・・。
ディーが複雑な顔というか、あれは怒ってるな。笹雪達は爆笑してる。
次のボルタはどうなんだ?同じギルドだし、既にハレンチバルキリーの事は
知っていると思うが。
「カエデ、何かすごい怒りのオーラが僕を包んでるだけど・・・。」
普通に念話使ってるぞ、アトム・・・。
「自業自得だ。たぶんディーも怒ってるぞ。」
「ええ・・・戦乙女相手に平和的に勝利したのに・・・。」
「それは評価するが、さすがにパイオツカイデーはな、事実だが。」
「パイオツカイデーなんて言ってない!」
「ああ、アトム。週末空けておいてくれ。」
「生きてたらね・・・。」
んっ、ボルタも何か話してるな。
「先輩!何ですか、その格好は!」
「いいでしょう?この大会の為に作ったのよ。」
「いいでしょう?じゃないですよ!ギルマス達にばれたらしばかれますよ!
っていうか運営なんだから、もうばれてますよ!」
「大丈夫よ、美の追求は乙女の必須科目よ♡。」
「大丈夫なわけないでしょ!」
おおーと、ここでベル姉が仮想空間に乱入してきたー!
「馬鹿なのあんた達は!全員集合!」
ハレンチバルキリーが集合した。
「ボルタ君、1年Fクラスの勝利とします。」
「えっー!」
「えっーじゃない!あなた達はルール違反で失格!」
「えっー!」
「ルールブックちゃんと読んだの!桃!あなたが居て何してるの!」
「えっ、クリスタがこのビキニアーマーは古来から伝わる神聖なものって。」
「クーリースーター!」
「ヒィ!」
ちなみに桃ちん先輩は神楽出身で事情があって鞍馬が育ての親だ。
鞍馬流だけならタケル兄により強いだろう。義経や弁慶も可愛がっており
刀は義経から贈られた「薄緑」を使っている。
ハレンチバルキリーどもはベル姉に連行された。僕もルールブックを読んでない
のでよくわからんが、労せずして勝利した。
ベル姉がもっと早く来ていればアトムも死ぬ事はなかっただろう。
1年Fクラスの応援団は唖然としていた。そりゃそーだ、僕は爆笑した。
ハレンチバルキリー、面白い!
「ギャー、カエデ助けて~!」
念話で悲鳴はやめろ!器用な奴だ、合掌。
みんながクラブハウスに戻ってきた、クラブハウスは開放してるので1階の
エントランスはカフェのようだ。ぼろ雑巾のようになったアトムがキリコに
引きずられてきた。全く・・・。
「カエデ、レベッカさん達をお連れしました。」
「ありがとう、ヒカミ。」
レベッカさん、笹雪、ディーがコーヒーとケーキを食っていた。
「今の試合は面白かったね。」
「あらカエデ、御馳走になってる。」
「そうねえ・・・ディーが落ち込んでるのよ。」
「アトムがオッパイスキーだったとは・・・これが秘めたる激情なのね。
私も胸の形には自信があるけど、そういう目で見られていたのね・・・。」
「ちがうから!笹雪、ディー。ヘリオポリスのテムを覚えてる?」
「もちろんよ。あの変態紳士の事は忘れないわ。」
「私もテムのいやらしい笑い方は忘れないわ。」
「・・・・。」
「えっ?カエデ、まさか・・・。」
「・・・テムなの?」
「そうみたい。」
「えっー!なんか嫌ー!」
「まあまあ、僕もそうだけどテムはテムだしアトムはアトムだ。」
「そうだけど、オッパイスキーよ。」
「その辺はアトムとよく話して。テムもそうだったけど襲ったりしないから。
ただながめて愛でるだけ。」
「それはそれでちょっと・・・。」
「レベッカさん、父さんから話は?」
「ええ、聞いてるわ。研修地の間引きに入ってるわね。」
「たまたまだったんだけど、研修地でソロキャンしたんだ。すごい数の
モンスターが居た。大型も居るようだし。」
「・・・大丈夫だったの?」
「うん、ぐっすり寝たよ。」
「フフフ、相変わらずね。」
「カエデ、優勝を狙ってるんですって?」
「一応ね。なんか運もあるんだけど準決勝に進出したよ。」
「運も実力のうち。将来が楽しみな子達だわ。」
「アレクサンドル家をマークしてるんだが、中々尻尾を出さない。決勝まで
にはと思っていたのだが、すまない間に合わなかった。」
「まあ、何とかするよ。」
「カエデ、転生って性格とかどうなの?」
「う~ん、どうだろ。イカルガの時より明るくなった気がする。」
「そう・・・。アトムがテムの人格のままだったらどうしましょう。」
「さっきも言ったけどアトムはアトムだよ。気にしなくていいんじゃない。
胸をじろじろ見るようなら・・・。」
「ギャー、助けて~!」 アトムがザイルにしばかれている。巨乳だもんな。
「あのように、しばけばいい。」
「・・・・そうする。」
シゲさん達は明日の作戦会議だ。準決勝は4年Gクラスとだ。
「シゲさん、作戦会議が終わったら箱庭に来て。ラベルさんにつなげておく。」
「了解。」
婆ちゃんはクラブハウスに泊る。アカリが仲良くなったみたいで一緒に夕食を
食べている。
「婆ちゃん、僕は用があって帰るけどゆっくりして。アカリお願い。」
「ええんかのう・・・。」
「私が言うのもなんですが、ここは色々な設備が整っています。
のんびりしましょう。」
箱庭へ移動。なんだかんだやっぱりホームって感じがするよ。
「ラプス、後で友人が来るから食事を頼む。」
「承知しました。マーリンが起きました。」
「呼んでくれる。」
「承知しました。」
マーリンは僕の屋敷の傍に弟子達と暮らしている。
一応僕の国になるのかな。特に名前を決めた訳ではないが、みなは無国と呼ぶ。
街が見渡せるテラスでコーヒーを飲んでるとマーリンが来た。
「なんだ?」
「久しぶりマーリン。お礼を言いたくてさ。」
「礼?なんの?」
「スピナーとラムダ。」
「ああ、今のお前は禿げてないから必要なかったか。」
「いや、行かせてもらってる。」
「そうか・・・儂もまた行ったり来たりするか。」
「そうして、ラムダが喜ぶ。」
「よし!早速、行くとしよう。」
まさに、煙になって消えた。
「カエデ様、アートワーク卿がお見えです。」
「了解、テラスで食べるよ。」
「承知しました。」
シゲさんがきょろきょろしながらメイドさんに案内されてきた。
「いや~、すげえ所だな。街とかのレベルじゃねえぞ。ダァ~ドも言ってたが
ここは新世界だ。」
「まあ、いつの間にかってやつだよ。」
旨い夕食を食べながらヨウキとの事を話す。
「カエデらしいな。」
「時と場合によるけどね。今はやっぱりモンスターに注意しなきゃ、下手すると
魔王が沸いちゃうから。」
「そうだな。だがティーターンもその薬を買ってるとなると・・・。」
「改良してるだろうね。ヨウキはモンスターには効かないって言ってたけど
そこらへんだろうね。」
「昔、失敗したとは言えノウハウもあるか・・・。」
「そういう事。けど、バーサーカーも一つの試練と思えば。」
「スパルタだな。」
「そうかもね。クロノスの復活はまだ先だよ、学生の間にちょっかいを出され
続けるのも面倒だしさ。出来れば無駄だと思わせたいよね。」
「そうだな。とりあえずは明日、優勝だ。準決勝は4年Gクラスだ。俺達同様
かなりラッキーでここまで上がってきてるな。しかし、運も実力のうちだ。
侮れん。」
「そりゃそうだよ、そもそもが格上なんだから。決勝が終わったらカスミと
ここにきて。」
「了解。」
シゲさんは自分の屋敷に戻った。仕事がたまりがちだそうだ。
僕もガーネットの屋敷に戻ろう。
「じゃあラスプ、あさってまた来る。」
「承知しました。」
屋敷に戻り風呂入って寝た。おやすみ。




