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ACADEMIC LIFE  作者: 一聖
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TOURNAMENT 4

諭吉と才蔵が帰ってきた。


「ケーキ食う?」


「食う!」


「いいですなあ。」


「でっ、どうだった?」


「2年Eクラスの風紀委員の先輩が普通に教えてくれた。別に秘密とかじゃない

 そうだ。担任の勧めで希望者がある薬を飲んでるそうだ。」


「薬か。」


「冒険者も含め治験中でクリアーすれば一般にも発売されるそうだ。」


「いわゆる合法なわけね。副作用は?」


「強化状態が発動したあとに筋肉痛が多少あるそうだが、それ以外は今の所

 ない。発動はピンチと感じたら自分の意思でできる。」


「副作用とかなければ超身体強化を薬でやるだけだから問題ないし、売れれば

 いい資金稼ぎになるか。」


「文句のつけようがありませんね。」


「ないね。ビジネスがらみだと商業ギルドや冒険者ギルドも絡んでるだろうし。」


「薬の製作者からするとアピールする絶好のチャンスでもありますね。」


「エイル、どう思う?」


「現物を調べないとわかりません。ですが体格まで変わるとなれば急激な

 細胞分裂が起こっているはずです。それを筋肉痛だけで抑えるというのは

 画期的な発明ですよ。」


「それが出来そうな神に心当たりがある。」


「私もです。」


「誰だ?」


「炎帝神農。医薬と農耕の神だ。」


「ティーターンなのか?」


「いや、ティーターンでもオリンポスでもない。」


「協力してるとか?」


「今の所なんとも言えない。けど・・・エイル。」


「ええ、麻薬ですね。」


「麻薬?」


「この世界には魔法があるから外科手術は行われないし、それが出来るのは

 エイルだけ。外科手術は身体を切って悪い部分を取り除いたりする。」


「その時、意識や痛覚があると痛いじゃないですか。ですから麻酔と言って

 薬で眠ってもらうわけです。」


「適量だと問題ないんだけど、常用すると痛覚が無くなったり幻覚を見たり

 する。まあ、気持ち良くなっちゃうんだね。それもあって麻薬には深い

 依存性があるんだ。」


「麻薬中毒というのですが、そうなると悲惨です。手に入れるために犯罪を

 犯したり、幻覚で暴れたり、食事もろくにとらなくなります。最終的には

 身体がボロボロになって死に至ります。」


「それが2年Eクラスに使われてると?」


「まだわからないけどね。この世界でそれを作ったのが神農なんだ。」


「そんな危ない薬が合法化されると・・・。」


「どうだろう?もしかしたら中毒症状を起こさないかもだし。」


「カエデ、何のデメリットもなく瞬間的かもしれませんが無敵の力を手に

 いれるなんてありえませんよ。」


「やれやれ・・・。」


「なんにせよ、その薬がなんだろうと2年Eクラスを撃破する事には変わりません

 よ。大会を宣伝に使おうとしてるなら、なおの事です。」


「確かにね。代表チームは?」


「訓練場でアップしてます。」


「アトム、ボルタ、ベルグで勝負を決めてもらおう。商業ギルドや冒険者ギルドの

 思惑なんざあ、関係ない。」


昼食は玄を担いでカツ丼だ。うめー!

コーヒーを飲みながら神農の事を考える。あの爺が陰で何かしてるんだったら

巫舞の連中も動きだしてるんだろうなあ・・・あー、めんどくせー。


「キリコ、よろしく頼むね。」


「わかりました。」


スズメとアカリが婆ちゃんと交代してくれるようだ。

ミナミはさすがにクラスの応援で会場へ。シゲさん達も会場だ。

エイルもバーサーカーを生で見ると会場へ。

さてと、面倒事が増えたが、ぶっちゃけ2年Eクラスがどうなろうと知った事

ではない。うちが勝つし。

魔導銃のプログラムをやろうっと。おっ、スリルのか。なになに・・・成程、

面白い構成だな。スリルはマーキー先生の勧めで結界術を中心に学んでる。

結界を飛ばして相手の動きを止め、実弾銃でとどめとは・・完全にガンナー

じゃないか。メモの最後に実弾銃が欲しいから安く売ってる所をおせーて

と書いてある。うむ、いかす実弾銃を用意しようではないか。

おっ、始まる・・・えっー!思わずスリルの魔導銃を落としたよね。

2年Eクラスの戦闘服とあの鉢巻き・・巫舞そのものじゃねーか!

あのじじい!隠す気ねー!


「キリコ、あの恰好は巫舞だ。間違いなく神農が後ろに居る。」


「ええ、戦闘服に薬王製薬って書いてます。」


「隠す気ゼロ―!リング、観客席を映して。」

「承知しました。」


「スズメ、企業のスポンサードはありなの?」


「ありです。」


「ありなのー!」


関係者がいるはず・・・。居た!ヨウキがスーツ着てる。

光彩を発動しヨウキの傍に転位。


「おい、ヨウキ。」


「えっ、誰!」


「そのまま聞け、この試合が終わったら聞きたい事があるツラ貸せ。」


「だから、誰なのよ!」


「イカルガだ。」


「イカルガですって・・・幽霊かしら・・・。」


「アホ!神のお前ならわかるだろ。」


「転生・・・・。」


「そうだ。あと悪いがこの試合、ヨウキの思い通りにならない。巫舞は

 負ける。」


「そんなわけないでしょ!バーサーカーは強力よ。」


「ああ、すまんな。今、巫舞が戦ってるのはヘリオポリスだ。」


「なっ、反則よ!」


「れっきとした学園生だ。とにかくツラ貸せ。」


「わかったわ。ああ、もう!アピールチャンスだったのにいー!」


「後で迎えに来る。」


クラブハウスへ戻る。

アトムはまだ戦っていた。さすがゾンビ・・いやバーサーカーだった、しぶとい。

いや、バーサーカー化するのを待ってたのか・・。グラファイトソードに

チェンジした。確かに相手は強化された。だが結局、当たらなければ強化なんぞ

意味はない。アトムはすれ違いざまにかすり傷を負わせてるようだ。

速いな。ディーが見てるから負けるわけにはいかないもんな。

それに剣速が段違いだ。アトム、記憶が戻ってるのかい?

突然、相手が糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。勝負あったな。

次はボルタだ。フフ・・緊張してるな。ママとパパが心配そうに見てる。

大丈夫、伊達にベル姉達と行動を共にしてないさ。油断しなければ十分強い。

婆ちゃん、見てる?鬼丸のデビューだよ。

相手がボルタの態勢の低さに戸惑っている。初見であの低さはやりづらいと

キリコが言ってたな。半分は千疋狼だからね、あの態勢の方がスピードが

だせるんだ。鬼丸も青白く光って妖刀化してる。

相手もボルタの妖気に反応してバーサーカー化した。巫舞の登場で

バーサーカー化の仕組みが理解できた。薬でトランス状態になりリミッターを

外す事で身体能力が急激にアップするんだ。

だけど・・・身体能力がアップするだけじゃな。本物の巫舞はまさに舞うような

動きで独特なリズムで斬りかかってくるからすげえ戦づらかった。

2年Eクラスの生徒では学ぶ時間も限られていただろう。担任が巫舞の関係者

かもな。

おお・・・ボルタのあのスピードについてこれるか。勝負あったな。

スピードが互角でも能力の差があるからな、相手の刀がどんどん重くなってる

んだろう、動きが鈍くなってきた。自分の刀が重くなってるのに気づいてない。

技だけでなく知識も足らない。

良かったね婆ちゃん、ボルタはもう負けない。

さてとプログラムしよう。

相手が刀を持てなくなった時点でボルタの勝利、2勝目だ。

ベルグで決めちまおうぜ。

3試合目のベルグは面白かった。ベルグの魔力の少なさと小柄な体格のため、

相手がバーサーカー化のタイミングを見失ってるうちにショートフックが

ヒットした。意識があるのに動けない状態になりベルグの勝利。

Fクラスの完全勝利だ。会場がざわついている。そりゃそうか、巫舞の衣装と

鉢巻きは出落ちしたし、薬の効用を見に来た商業ギルドや冒険者ギルドの

関係者はがっかりだ。ざまみろ。

さて、ヨウキに色々聞くか。


「エイル、ちょっと付き合って。」


「ほう・・このタイミングで告白ですか。」


「ちゃうわ!薬の製作者と話す。」


「わかりました。」


「キリコ、ちょっと箱庭に行ってくるから後よろしく。」


「わかりました。」


エイルが転位してきたので、そのままヨウキの所へ行きひっつかんで

箱庭に転位。


「キャッ!」


「ラスプ、コーヒーお願い。」

「承知しました。」


和室にする。


「子供・・・あなたがイカルガなの?」


「そうだ。今はカエデ・ガーネットだ。」


「驚いた。ガーネット家に転生したのね。それにしても、やってくれたわね!

 計画が台無しじゃない!」


巫舞の姿に戻ったヨウキが剣を抜こうとした瞬間、刃が4本ヨウキの首に

突き付けられた。


「止めておけ、ここは俺の箱庭の中だ。その気になれば神ですら消滅する。

 それにお前に刃を向けてるメイドさん達もお前より強いから。」


「クッ!」


「全く気配がありませんでした。これが箱庭なんですね。」


「そういう事。ヨウキとゆっくり話すには丁度いいと思ってさ。本当の事を

 言わなければ面倒なんで消せるしね。」


「はぁ・・お手上げね。で、何が聞きたいの?」


「もちろん薬の事だ。神農が作ったのか?」


「違うわ、私の会社で製造したものよ。お爺様は農業に夢中で薬からは

 手をひいてるのよ。」


「ふ~ん、神農は関係ないのか・・・。次の質問、ティーターンと関係は?」


「基本ないわ。だけど、オリンポスもそうだけど取引先の一つではあるわ。」


「最近、薬を売った?」


「ええ。」


「最後の質問。薬の依存性は?」


「ないわよ。あなたならわかってると思うけど、巫舞の神髄はトランス状態に

 なってからよ。あの薬はトランス状態に入る導入剤のようなもの。本物の

 巫舞には必要のないものよ。」


「では何故?あっ、すいません、初めましてエイルと申します。」


「エイルですって!何年も噂は聞かなかったけどイカルガとつるんでたのね。」


「そうですよ。その必要のない薬を何故、売ろうとしてるんですか?」


「単純な話よ、ビジネスね。巫舞の本業は暗殺なの。だけど平和な世界じゃ

 開店休業よ。」


「急に俗物的な話だな、おい。」


「しょうがないでしょ!巫舞の子達は普通の人間なんだからお金が必要に

 決まってるでしょ!」


「そりゃそうだ。それで製薬会社を始めたのか。」


「そうよ。だけどこの世界には魔法があるから普通の薬は売れないのよ。」


「いや、何か普通に経営者の悩みなんだけど。」


「しょうがないでしょ!平和な世界ではあるけどモンスターは活性化の周期に

 入った。結果、人間には必要になると思ったのよ。」


「依存性も中毒性もない麻薬か・・・。」


「当然よ、不良品じゃ売れないわ。最終、お爺様にチェックして頂いたわ。」


「成程なあ。俺達はヨウキのやる事に干渉する気はない。今回はたまたま対戦

 相手だっただけだ。俺達も違う理由で優勝を目指してるからな。」


「気が重いわ。アピールするどころが弱点さらしただけじゃない。」


「何だ、わかってたのか。」


「痛覚が落ちると、どうしても鈍感になるのよ。」


「エイル、何かアドバイスない?」


「えっ、アドバイスですか?」


「依存性や中毒性があれば止めようと思ってたけど、ないならヨウキの言う通り

 必要かもなと。俺が言うのもなんだが人間は平和ボケしてるからな。それに

 ティーターンが買った薬をどう使うかはティーターン側の事でヨウキには

 関係ない。」


「それはそうですが諸刃ですよ。おそらくティーターンはモンスターに使う

 でしょう。」


「それは大丈夫よ。モンスターには効かないようにしてるから。」


「はぁ・・わかりました。ヨウキ様、この薬はあくまでトランス状態に入る為

 の導入剤という事ですね?」


「そうよ。」


「痛覚の低下や筋肉強化はトランス状態の副産物という事でしょうから、方法と

 してはシナプスの強化を同時にするという事でしょうね。矛盾してますが。

 いくら筋力を強化しても結局、手足を落とされれば戦えませんし、首を

 落とされればジ・エンドです。」


「そうねえ、やっぱり感覚が無いと駄目ねえ。」


「その辺はさじ加減でバージョンを何種類か用意すればいいと思うんですが。」


「そうか、その手があるわね・・・ありがとう、参考になったわ。

 エイル、うちの会社の顧問やらない?」


「へっ?」


「お恥ずかしい話、営業的な部分はどうにでもなるんだけど、私美人だし、

 技術的な部分がまだまだなのよ。」


「いんじゃない。どうせ作るなら安全な方がいいし、白衣着て研究者コスプレが

 できるよ。」


「やります!」


「良かった。イカルガっと今はカエデね、戻して頂戴。商業ギルドと冒険者ギルド

 と交渉よ!」


「へいへい。」


会場に戻るとヨウキは「グロリアス様~!」と叫んで走って行った。

あいつ・・・本当に神か・・・。



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