FALLING OUT
「魅了は格下にしか効かない。」
「何だと、ふざけるな!貴様達が我より格上だと言うのか!」
「そう言ってるだろ。ほら、分身してると数分も持たないぞ。斬閃アーンド
サンダーボルト。」
ヴァジュラ刀で血の剣をバラバラにして、ついでに雷で焼く。
「グワー!クソッ!」
スリルの方も小間切れにしたようだ。始祖を小間切れって覚醒しすぎじゃん。
肉片がプスプスいってるドラキュラに戻る。グロイ!
シュンッとスリルが隣に現れた。
「形態変化か、面倒な奴だ。」
「いける?」
「無理。タイムオーバー、あとよろしく。」
そう言って倒れた。時間制限があるのね、昔は僕もそうだったなあ。
明日は筋肉痛で動けないだろう。
「カモナ、そっちどう?」
「春様が狐火で燃やしてるところでございます。」
「了解、こっちも終わらせるよ。後でみんなで夕食にするから準備お願い。」
「かしこまりました。」
「ラスプ、スリルをユイカの所へ。」
「承知しました。」
さてと僕も大人化を試してみよう。
「ヴァジュラ。」
ブンッと大人になった、着てるものも大きくなったよ。ご都合主義ー!
成程、大人化すると武具としては使えなくなるのか。
小梅達が暴れて城が崩れそうだ。ドラキュラはやっと第二形態になった。
「遅い!」
「んっ?誰だ貴様!さっきのガキ共は逃げたか。」
「傷一つ負わせてないだろ。」
「うるさい!んっ、よく見るとさっきのガキの1人か。合体したのか?」
「ちゃうわ!」 形態変化すると知能が下がるのか?
「鈴音、暇な人いる?」
「じゃんけん中、少しまって。」
「了解。」
「この姿になるのは何百年ぶりであろう・・・先程までの我とは違うぞ。」
ドウン!ドウン!カスールで翼に穴をあける。
「ぐわ~!不意打ちとは卑怯なり!」
「いや、勝手に喋ってたんだろ!」
ガキン!爪が伸びて剣になった、スピードも上がったか・・・。
ゴブ刀が折れた。まあ、そうだろう。だが数はあるんだよね。
ガキンガキンガキン!ポキポキポキ!
おお、さすが大人化。始祖が相手でも力負けしない。
カスールを警戒して距離を取らせてくれない。
「ふはははは!手も足もでまい!」
風魔法でその辺に落ちているゴブ刀の破片をドラキュラにぶつける。
「フンッ!」
翼を繭状にして破片を全てはじく。おお、やるな。
「無駄だ!」
ビュン!目からなんかでたー!避けれたけど危なかった。なんだ?血か?
あたった所が溶けてるしー!
「飛び道具を使えるのは貴様だけではない!」
血じゃん!たぶん当たっても大丈夫だろうけど、当たりたくはない。
調子に乗ってビュンビュン飛ばして来る。どうすっかな・・・。
「カエデ、お待たせ。あら、男前ですね。」
「フレちゃんが勝利したんだね。」
「ええ、激戦で疲れたました。」
「駄目じゃん!」
「大丈夫です。何ですかあれは?ああ、始祖ですね。どうします?」
「そろそろ翼も再生しそうだ。飛ばれる前に凍らそう。」
「ニブルヘイムなんかいいんじゃないでしょうか?」
「広範囲過ぎない?」
会話しながらも攻撃は躱してるよ。
「ムキ―!ちょこまかと!」
「私も箱庭で修行してました。ニブルヘイムのイメージをして斬って下さい。」
「了解。」
ニブルヘイムのイメージか・・・こいつ、ムカつくから少し色をつけよう。
イメージするのは絶対零度だ。ショートジャンプ!
「なっ!消えた!」
「後ろだ、絶対零度!」
「「えっ?」」 ドラキュラとフレちゃんのえっ?
パキッ!シユウ~!
あ、あれ?
「ちょっと!カエデ!何したんですか!凍るどころが消えたじゃないですか!」
「ご、ごめん・・・まさか消滅するとは思わなかった・・・。」
「激闘を制してきたんですよ!一振りって何ですか!」
「ご、ごめんて・・・。」
「はぁ・・・帰ります・・・。」
なんとも締まらない終わり方だった。ドラキュラほぼ出落ち・・・。
まあ依頼は達成したし、スリルの事も色々わかったから良しとしよう。
「みんな、お疲れー。ワイズ、魔導院に連絡して後処理頼んで。」
「承知しました。」
「諭吉、子供達は?」
「ああ、解放した。血が足りんが命に別状はない。」
「良かった・・・カモナに集合しよう。」
バンパイアハンター達に黙とう。この状態ではデル君でも蘇生は無理だ。
カモナに戻ると小梅達も諭吉達も、戻っていた。
「お疲れー。」
「んっ、スリルは?」
「全力を出し尽くして箱庭で治療。始祖をバラバラにしてたよ。」
「やっぱな。」
「腹減った。久しぶりにみんなで食事でもしよう。香輝も呼ぼう。」
全員集合すると何か初期メンって感じで懐かしい。すき焼きにしてもらった。
「地下の方は大物でなかったの?」
「なんか白衣着たエイルっぽいのがいたな。」
「血が必要とは言え、死んじゃったら困るか。」
「まあアーマーのテストが出来たから良しとするわ。
すげえぞドラゴンスーツ。」
「諭吉と九郎はテストと言って、攻撃を受けてましたから。」
「ヒカルに頼んで松月の標準装備にする。」
「それはそれですごいな。」
「小梅達は普段何してんだ?」
「ホムラと陶芸。」
「修行です~。」
「うむ。」
「香輝は?」
「注文が入ったらそれを作るし、それ以外は箱庭で遊んでるぞ。箱庭でも
注文がはいるし。」
「そうなの?無国に居るの?」
「よくわからんが各国に家を用意してくれたから、その日その日で違う。」
「知らんかった。」
「春さんもか?」
「そうですね。最近は橙国に居ることが多いです。響様に学んでますね。」
「橙国はいいよな。そう言えばカエデ、清春様に会ったぞ。」
「木の葉の所だろう?僕も昨日会って驚いたよ。」
「俺、木の葉天狗だと思って話してたから清春様でびっくりだった。」
「ははは、楽しそうだしいいんじゃない。」
「それでスリルは何だったんだ?」
「スリルはおそらく転生者だ。本人は無自覚かもだけど。
ドラキュラと戦ってる時、不知火流って刀術を使っててさこの世界には
ないんだよ。あと魔力の事をマジックポイントって言ってたんだよ。」
「何だそりゃ?」
「ゲーム用語でさ、この世界じゃ使わない。そうだとすれば銃が好きなのも
うなずける。」
「成程な、神がらみじゃないのか?」
「1度ドラキュラに吹っ飛ばされて鎧が展開したんだけど、その鎧が天のに
似てたんだ。」
「天?」
「神だよ。帝釈天、こっちだとディーヴァかな。」
「関係者か本人って事か?」
「どうだろうね。スリルの力は感情に左右されるみたいだよ。怒りとか命の
危機とか。箱庭で寝てるから明日にでも聞いてみるさ。」
「カエデ、別件なんですがいいです?」
「何だい春さん?」
「クランボさん達のお店が開けるくらい資金がたまりました。」
「早かったねえ、でも学食からクランボさん達が抜ける事は出来るの?」
「はい。お弟子さん達もいますしお三方に交代で料理長をやってもらう事も
出来ます。学園が長期休暇に入りましたのでチャンスかと。」
「よし、明日会いにいくよ。一緒に行ける?」
「大丈夫です。」
その後コーヒーを飲みながら小梅達ともゆっくり話す。氷牙のお馬鹿話しを
聞いたり、サンルームの話しを聞いたりだね。結局みんな箱庭に行く
ようなので、そのまま転位。
諭吉達は橙国の屋敷に帰った。小梅達は無国に泊るそうだ。
ニイと風呂に入りみんなで寝た。モフモフが懐かしい、ついこの間まで一緒に
寝てたのにね。
翌朝みんな和食。ベル姉も居るよ。
「カエデちゃん♡、バンパイアは終わったの?」
「うん、みんなに手伝ってもらってね。」
「結局、何だったの?」
「ドラキュラが国を造ろうとしてた。」
「えっ、ドラキュラって伯爵の?」
「そうそう。」
「やだ始祖じゃない。」
「バンパイアハンターが4人やられてたよ。」
「どうやって倒したの?不死でしょ。」
「半分はクラスメイトが倒して、半分は燃やそうと思ってたんだけどフレちゃん
が来てくれたから凍らしたら消えちゃった。」
「消えたって・・・。」
「あれだね、フレちゃんがパワーアップしてたんだね。」
「まあ皆さん強力だけど・・・。そのクラスメイトの子もすごいわねえ。
始祖を倒せるなんて、さすがFクラスかしら。」
「ぶっ倒れたから箱庭に連れてきたけど、今日は筋肉痛で動けないんじゃない。
後で行ってみるけど。」
「あんまり無茶させちゃ駄目よ。」
「反省中。」
「今日は皆で橙国に行くわ。」
清春爺ちゃんと桃ちんの事は黙っておこう、サプライズだ。
小梅達も橙国に行くそうなのでベル姉達と一緒に、スノさんも居るしね。
僕と春さんはユイカの所へ。
「お早う、ユイカ。」
「お早うございます。」
「どう?」
「目を覚ましてますが2,3日は動けないでしょう。何をしたらあれほど
筋肉を断絶するんですか全く。」
「始祖とバトル?」
「はぁ?子供ですよ!皆が皆、カエデのように強いわけじゃないんですよ!」
「す、すんません・・・。」
病室というか畳の部屋に行くとスリルがぼーっとしていた。
「やあ、元気そうだね。」
「どこをどう見たらそう見えるんだ?ここはどこだ?俺はどうしちまったんだ?」
「どこまで覚えてる?」
「ドラキュラにぶっ飛ばされた所まで。」
「そうか・・・。カモナ、映像を。」
「かしこまりました。」
「これは・・・撮ってたのか。イタタタ・・・。」
「ここから吹っ飛ばされた後だ。」
「な、何だこれ?」
「オートで鎧が発動した。」
「これが俺・・・何か煙でてないか?」
「出てるな。」
「えっ?ちょっと待て、速すぎて目で追えない。信じられん、俺はこんなに
速く動けるのか・・・。」
「今その状態なのはこのせいだ。この動きに身体が追いついてないんだ。」
「記憶がないのは何故だ?」
「こっちが聞きたい。マジックポイントってわかるか?」
「魔力の残量だろ。」
「天、またはディーヴァという神は?」
「知らん、俺は神に詳しくない。」
「ユイカ、これってもしかしてペルソナ?」
「可能性はありますね。」
「スリル、僕は元々この世界の人間じゃない。」
「はっ?」
「玉藻というモンスターに巻き込まれてこの世界に来た。そして1度生涯を
終わらせた。けど色々あってカエデ・ガーネットに転生したんだ。」
「カエデが規格外なのはそれが理由か・・・。」
「前の世界でマジックポイントっていう言葉はあった。あと不知火流という刀術
もな。さっきの映像でスリルが使っていた刀術がそれだ。陽炎、そうだな?」
「はい。確かに主は不知火流と申してました。」
「スリルが召喚されたのか前世の記憶なのかわからないけど、僕の出身地の
日本に関わりがあるのは間違いない。不知火流はこの世界にないからな。」
「・・・・。」
「あの鎧とよく似た鎧を知っててね。」
「そもそもあの鎧は何なんだ?」
「その人の性格や能力に応じた形になるんだ。オマタの連中もいざって時は
鎧をつけるけどみんなバラバラだよ。」
「すげえな・・・。」
「知り合いの神に天ってのが居てさ、そいつの鎧にそっくりだ。」
「そうなのか・・・。」
「スリルは日本の事も自分が使う刀術も覚えてないようだけど、おそらく感情が
トリガーになって無意識に使ってると思う。」
「・・・俺は孤児だったらしい。今の両親、爺ちゃんと婆ちゃんだけどに引き
取られ育ててもらった。学園がただじゃなきゃ通えなかったよ。だから、
武道も魔導も学問も入学してからだ。」
「入学試験はどうしたんだ?」
「知り合いに最低限の事だけ聞いた。両親に負担をかけたくないからニング先生
に相談して寮に住まわせてもらってる。」
「そうか・・・。スリル、僕はぶっちゃけると召喚も転生もどうでもいいと
思ってる。日本に居た時の知識も前世での物も使えるから使ってるだけだ。
僕はカエデ・ガーネット、それ以上でも以下でもない。」
「はは・・そうか、俺もスリルだ。」
「それでいいと思う。日本の事、不知火流の事、天の事、必要になったら
聞いてくれ。」
「わかった。早速だがここどこ?」




