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幻想を歩く旅人  作者: 幻桜ユウ
第一章 幻想の旅人
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第五頁 ステータスに詐欺疑惑?






 ユウと葵はシオンに案内され、シオンが泊まっている『精霊の宿り木亭』の部屋に移動した。


 ユウはシオンに第10層で何があったのかを説明し、同時に『孤独の少女は外の世界を夢見る』の本を手渡す。


 シオンはそれを受け取り、頁をパラパラと捲る。そして、本をパタンと閉じた後、ユウに返した。


 

 「なるほど。事情は理解しました。私の推測ですが、そちらの葵さんは『迷宮』による存在だと思います。前例はありませんが」

 「……つまり、葵はモンスターという事ですか?」

 「ふむ。なら少し試してみましょうか」



 シオンはそう言うと、徐に椅子から立ち上がり葵の前に立つ。そして、葵の額に手を翳し、何かを探る様に指を動かす。


 ユウはシオンが何をしているのか分からず、首を傾げる。



 「シオンさん? 何をしてるんですか?」

 「『迷宮』による生物ならば、その核たる『魔石』があるはずです。ですので、魔力を操作して『魔石』を探知しようとしています」

 「なるほど。それで、どうですか?」

 「私が視る限りはありません。少なくとも、モンスターの定義からは外れるでしょう」



 シオンのその発言にユウはホッとする。


 もしモンスターならば、人間達にとって排除対象になり得る。酷ければ、その特異性から実験に使われるかもしれない。その可能性が排除できたのは良かった。


 

 「でも、モンスターでないなら葵は一体?」

 「先程も言いましたが、葵さんのような存在は前例がありません。『アインディア迷宮』では最大到達階層は60層ですので、当然十層は攻略済みです。しかし、当初、10層到着時はワープポータルのみでその本が落ちてはいませんでした」

 「じゃあ、何で僕の時は?」

 「かなり無理やりですが、『ユウ君だからこそ』だと思います」

 「僕だからこそ?」

 「ええ。あと、私から見ますと、2人はどことなく似ていますからね」



 ユウと葵は互いを見る。


 でも、言われてみると確かにどことなく懐かしいような近しいような気がする。



 「もしかしたら、僕達は昔は仲が良かったのかもね」

 「貴方が言うなら、そんな気もするわ」



 ユウと葵は互いに微笑む。何も思い出せない過去を想像しながら、2人は笑い合う。


 

 「さて、それなら葵さんもシーカー登録してしまいましょう」

 「アレクさんに話をしないんですか?」

 「? する必要ないでしょう?」



 ……シオンさん。アレクさんはギルドマスターですよ。シーカー登録なら必要でしょうに。


 ユウはそんな事を思うが、僕の時もこうだったんだろうな、と少し前の会話を思い出して現実逃避する。



 ◾️◾️◾️◾️◾️



 『ステータス』


 【名前】 ユウ

 【レベル】 10

 【クラス】 シーカー

 【スキル】 幻想魔法 2 剣術 3



 『ステータス』


 【名前】 葵

 【レベル】 10

 【クラス】 シーカー

 【スキル】 幻想魔法 1 水魔法 1 氷結魔法 1 剣術 1



 ◾️◾️◾️◾️◾️    



 ――翌日


 僕と葵は再び迷宮へと潜る。


 シーカーとしてというのもあるが、葵のシーカー登録時にシオンさんに


 

 「葵さんが迷宮による存在だとするならば、葵さんの記憶の手掛かりは迷宮にあると確信していいでしょう。そして、それを見つけられるのは今の所ユウ君のみです。まぁ、今までと変わらず迷宮の攻略をしてください」


 

 と言われたからだ。

 

 そして、僕達は自己到達階層の10層まで降りて来た。そこまでの道中までは葵と手分けしてモンスターの相手をしたので、昨日よりは体力は余っている。


 今日は11階層へ進出する。


 11階層は9層までのモンスターとはガラリと変化する。本格的に魔法を使い始める。


 『シャドウウルフ』などのように魔法を使うモンスターは居るには居るが、あまり使いこなせないモンスターが多い(『強化種』や『変異種』は別として。ここら辺の説明は追々するとしよう)。


 しかし、11階層からは魔法を使うモンスターはレベルが高くなる。例えるなら、1層の『シャドウウルフ』は『影魔法 1』程度しかないが、11階層の『フレアハウンド』は『炎魔法 3』ほどの強さを持つ。ああ、言うのを忘れていたけど、『影魔法』には初級から最上級まであるが、『炎魔法』には中級のみある。というのも、火属性の魔法の1つ、『火魔法』は初級、『炎魔法』が中級、『真炎魔法』が上級魔法、『覇炎魔法』が最上級魔法というように『派生の系譜』がある。しかし、『影魔法』にはそういった系譜が存在しない。


 さて、そんな解説の間に『フレアハウンド』がやって来た。


 

 「ガルルルッ!」

 「フレアハウンドね。なら、私の方が相性良いわね」

 「任せた」



 葵は水属性初級魔法の『水魔法』と中級魔法の『氷結魔法』を持っている。水属性は火属性に強いため、葵はフレアハウンドに有利なのである。


 

 「ガアッ!」

 「『炎魔法』《ゴールドファイア》ね。流石の中級魔法ね。なら、こちらも中級魔法で対抗しようかしら。『氷結魔法』《コールドフィールド》』



 フレアハウンドは口から金色の炎を繰り出す。葵はそれをものともせずに、氷の領域を展開してその炎を凍らせ、砕いた。葵の氷の領域はそれだけに留まらず、フレアハウンドまで届き、その体は凍てつく氷に捕まり、その命は絶えた。


 やっぱり、葵のステータスは詐欺だと思う。


 


 


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