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どんでん返し

目の前のヘルコングは既に臨戦態勢である。

魔界でも屈指の実力を持っているヘルコング。


だが、フレイは何やら考え事をしていた。


トラリー「フ、フレイ姉さん! どうしましょう」


足を震わせながらフレイに話し掛けるトラリー。

いや、足だけでは無い。

手に持つ剣もガタガタと震えている。


しかし、フレイはそれを恥じる行為では無いと思っていた。

何せトラリーはまだ子供だ。

そんな子供であるトラリーの目の前にS級を殺した魔物がいるのだ。


大人だって恐れるだろう。

いや、直ぐにこの場を後にして逃げるだろう。


むしろトラリーは勇敢であるとフレイは思うのであった。


フレイ「そうですね。この子はトラリーとレオンにはまだ早い気がします。相手と自分の力量差を測ることも大切な事です。

そして、二人ともヘルコングにまだ自分達が敵わない事は理解出来ていますね?」


頷くトラリーとレオン。


フレイ「お利口さんです。では後ろでヘルコングの行動パターンを見ていて下さい。魔物にはそれぞれ戦闘スタイルがあります」


フレイはそのまま無防備なままヘルコングへと歩を進める。

そんなフレイを心配するトラリーとレオンであったが、その心配も杞憂であったとすぐに気付かされることとなる。


ヘルコングがその剛腕でフレイ目掛けて殴るも、その全てを紙一重で躱す。

一歩間違えればペチャンコだ。

見ているトラリー達がヒヤヒヤしながら見ているが、当の本人であるフレイは涼しい顔をしていた。


そして、フレイは戦闘中であるにも関わらずトラリー達に助言を放つ。


フレイ「見て分かると思いますが、ヘルコングは縦の攻撃ばかりです。横からの攻撃が全く無いとは言いませんが基本は縦です。

つまり、ヘルコングの振り降ろす腕を見極めながら、ヘルコングの足元へと迫り倒せばいいのです。この様にね」


いつの間にかフレイの手には氷の剣が掴まれており、避けながらもヘルコングへと迫っていたフレイはそのまま、ヘルコングの顎下から剣を脳天目掛けて突き刺した。


S級を倒した相手を軽々倒すフレイ。

しかも、トラリー達に教える為に敢えてゆっくりやってくれたのだ。

本気でやれば1秒で倒せたはずだ。


トラリーとレオンは改めてフレイの強さを目の当たりにするのであった。


フレイ「さっ、戻って皆の元へ行きましょうか」


何事も無かったかのようにトラリーとレオンに振り返る。

その時だった。


突如何も無い空間から人型の様な魔物が現れたのだ。

フレイの感知にも引っかからず、レオンの鼻にも引っ掛からなかった魔物が。


既にトラリーの背後より手に持つ鎌を振り下げる瞬間である。

フレイは叫びながら全速力でトラリーに駆ける。


フレイ「トラリー逃げてェーーッ!!!!!!!!!」


トラリーはフレイの緊迫した表情と叫び声に驚くも、何が起きたのか分からなかった。だが、振り返るとそこには人型の魔物が居たのだ。

トラリーは逃げるのではなく咄嗟に剣を手に取り、防ぐ素振りを見せようとしていた。

そんなトラリーの行動に意味が無いと気付いたフレイは更に叫ぶ。


フレイ「ダメですトラリー!!! 逃げなさいッ!!!」



フレイと同時に気付いたレオンがすぐ様、フレイの意図に気付き

トラリーの前へと盾となる。




「ザシュッ!!!」




レオンの身体から血が吹き出し、斬られた衝撃でトラリー諸共吹き飛ばされる。


フレイ「トラリー!!! レオン!!! ・・・・・・許さないッ!!!

氷剣乱舞アイスソード・マッドダンス!!!」


フレイがその人型に迫るも、少し微笑むとまたその場から消え去った。

早く移動したとかでは無い。

完全に消えたのだ。


逃げられたことに、フレイは歯を噛み締める。


フレイ「くっ、逃げられるなんて・・・・・・恐らくゼノン様と同じ転移魔法・・・・・・ハッ!!! トラリー!!! レオン!!!」




フレイは周りを警戒しつつトラリーとレオンの元へ駆け寄る。

トラリーはレオンが庇ってくれたお陰で大きな怪我はなく、擦り傷程度であった。

恐らく木にぶつかった衝撃で頭を打ち気絶しているだけであった。


そして、レオンだが毛が硬く皮膚も強靭であった為か大きな傷にはならなかった。

レオンは起きており、トラリーの顔を何度も舐めている。


そんな二人を見てフレイは涙を流していた。


フレイ「ごめんなさい・・・・・・私があなた達から離れたばかりに・・・・・・本当にごめんなさい」




「ぺろぺろ」




フレイは驚き顔を上げるとレオンがフレイの涙を舐めてくれていた。

まるで泣かないでとでも言ってるかのように。


フレイ「ありがとうございます。レオン。戻りましょう」


フレイがトラリーを背負ってレオンと共にその場を後にし皆んなの元へ帰る。


そこには既にシンとバリアンも帰ってきていたようで、皆か待っていてくれた。


そして、怪我をしているレオンに眠っている、いや頭から少し血を流し気絶しているトラリーに気付き皆が駆け寄って行く。


その中で、物凄い剣幕でフレイに迫るシン。


シン「何があったフレイ! 何故トラリーが怪我をしてる!!!? お前がいながら何故だ!!!」


フレイは伏せていた顔を上げ、冷静にシンに答えた。


フレイ「すみません。説明する前にレイラ、まずは治療をお願いします」


そう。まずは治療が先である。

二人ともまだ血を流しているのだ。


レイラ「は、はいっ!!! 聖なる癒し(キュアヒール)




トラリーとレオンの傷口が光り出すと、二人とも傷口は徐々に塞がり綺麗さっぱり無くなった。


バリアン「ふぅ、一先ず安心じゃな」


バリアン同様、皆が安堵する。

そこまで深い傷でもなかった為、事なきを得た。

そして、フレイにゼノンが迫る。




ゼノン「フレイ・・・・・・何があった?」


フレイは歯をかみ締めながらもゼノンに起きた経緯を話すのであった。


楽しい旅行は一気に雲行きが怪しくなるのであった。

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