深まる絆
ゼノン達は、フレイから事の経緯を聞いた。
フレイが魔物と戦い終わると、その隙を突いたかのように
強力な魔物が現れたとのこと。
フレイの感知から外れ、レオンの嗅覚からも気付かれない強敵が。
フレイの予想通り、恐らく転移魔法を使うのだろうと予想
するゼノン。
皆がその話を聞き納得する。
しかし、シンだけは未だ怒りを露わにしていた。
シン「四魔将ともあろうものが不覚をとり、弟を危険な目に合わせるとは」
その言葉はフレイに重くのしかかる。
反論はできない。
トラリー達の為とは言え、自分が瞬殺できる相手をゆっくり
倒し時間をかけたせいでトラリー達の元へ戻るのが遅れてしまったのだ。
それについてはフレイも後悔している。
フレイ「すみません。私から申し出た事でありながらこの失態。
どうお詫びすればいいのか」
ゼノンに頭を下げるフレイ。
しかし、当然ながらゼノンはフレイを責めはしない。
ゼノン「いや、相手が転移を使うならば遠くから様子を見ていたのだろう。お前じゃなくともこの結果は覆らなかったのかもしれぬ。トラリーも無事だった事だし気に病む必要は無い。」
フレイ「・・・・・・はい」
ゼノンはいつも怒らない。
弟に命の危険を晒してしまったのだ。
いっその事怒ってくれた方がどれだけ楽か。
ゼノンの優しさに、より一層フレイは後悔に推しなまされていた。
その時だった。
トラリーが目を覚ましたのだ。
レイラの魔法のおかげか特に痛がる素振りは見せず、平然と立ち上がった。
シン「大丈夫かトラリー」
すぐ様シンが駆け寄り話し掛ける。
まだ頭が回らないトラリーは、囲まれているこの状況に困惑していた。
トラリー「あれ? シン兄さん、僕はどうしてここに・・・・・・
はッ!!!? レオンは?! フレイ姉さんは?!」
少し考えると、思い出したかのように二人の名前を叫ぶトラリー。
すると後ろからレオンが顔を出し、トラリーの顔をぺろぺろと舐めた。
そこでレオンの無事を知り安堵するトラリー。
更には、前の方にフレイの姿があった。
トラリー「よかった・・・・・・皆無事だったんだね」
そうして、トラリーはフレイの前へと歩いて行く。
フレイはトラリーが来るとすぐ様口を開く。
フレイ「トラリー・・・・・・本当にごめ「ごめんなさい!!!」ん・・・・・・ッ?!」
フレイが謝ろうとするとすぐ様、被せるようにトラリーが大きな声で謝った。
トラリー「僕がフレイ姉さんの言う通り、すぐにあの場から逃げればよかったのに僕が戦おうとしたから・・・・・・本当にごめんなさい!!!」
頭を下げるトラリー。
そして、新たな過程を知ったゼノンやシン達。
確かに、フレイがトラリー達の近くを離れていなければこの様な事は起きなかったかもしれない。だが、これはフレイだけを責める
問題では無かった。
少なからず、トラリーにも問題があったのだ。
フレイ「いいえ、トラリーは悪くありませんよ。いきなり強敵が現れたのですからあぁなるのは当然です。私が離れたのが悪かったんですよ。怖い思いをさせて本当にすみません」
頭を下げるフレイにトラリーはなんと突っ込んで抱き着いた。
そんな状況に驚くフレイ。
トラリー「フレイ姉さんは悪くないです!!! 頭を下げないでください!!! 周りの状況を見れば分かります!!! 僕のせいでフレイ姉さんは怒られてるんでしょ? そんなの違う!!! フレイ姉さんは僕に
危険を犯してまで教えてくれて、助けようともしてくれたんだ!!! フレイ姉さんは何も悪くないんだ!!!!!!」
初めて見るトラリーの心の底からの叫び。
普段大人しいトラリーがこんなにも大声を出しているのは、皆が初めて見る光景であった。
そのせいもあってか、皆がフレイを責めることは最早無かった。
フレイはトラリーの心の叫びに心撃たれて、優しく抱き締めた。
フレイ「トラリー・・・・・・本当によかった、私の大切な可愛い弟」
幸せな光景である。
そして、リリアは驚いていた。
リリアは、フレイがあまり男と話さない事は前から知っていた。
いやリリアに限らず他の者達も薄々気付いていた。
だが、今はこうしてとらりと距離を縮めようとしていたのだ。
特にメフィはそんな二人を見て微笑みながら見守っていた。
そんなメフィに気付いたゼノンも少し口角を上げ、メフィに語りかける。
ゼノン「なんだか嬉しそうだなメフィ。」
ゼノンの言葉に顔は真っ直ぐ向けたままゼノンへと返事を返す。
メフィ「そりゃあね♪ こんな幸せな光景を目の当たりにしたらね! フレイと男兄弟はそんなに交流がないなと思ってたからさ!
なんだか、二人を見てたら感激しちゃった!」
メフィの言葉にゼノンも共感する。
そして、二人が落ち着くとフレイの元へシンが歩み出す。
シン「・・・・・・フレイ、その、悪かった。事情も知らずに責めてしまった。許してくれ」
シンはフレイに頭を下げた。
まさかの事態に突発的に発してしまったのだ。
だが、フレイも知っている。
シンがトラリーを何よりも大切にしている事を。
大切な者を傷付けられれば誰でも怒る。
だから、フレイは別にシンに責められたからと言って不快な気持ちにはなっていない。
むしろ、当たり前の事だと思っていたのだから。
フレイ「シンは何も悪くありません。逆の立場なら私も貴方を責めていたかもしれませんしね。もう二度とこの様な失態は犯しません!」
フレイの決意に頷くシン。
そんな中、次にゼノンがトラリーの元へと近付いた。
ゼノンは、片膝を着きトラリーの身長に合わせ肩に手を置く。
ゼノン「よいかトラリー。いきなり敵が現れればパニックになるのは当然だ。だがな、もしまたお前に危険が迫った時は、兄や姉の
言葉を最優先にしろ。自分よりも圧倒的に強い相手の前では、戦うという考えは捨て、生きのびることだけを考えろ。つまりは周りの言う事をしっかりと聞くのだ。お前はまだ子供、これから幾らでも強くなる機会はある。焦るなよトラリー」
ゼノンの優しくも厳しい注意。
トラリーは力強い眼でゼノンの言葉をしっかりと聞き大きく頷いた。
ゼノン「メフィ、悪いが先に皆で楽しんでいてくれ」
メフィ「?! ゼノンは?」
メフィはゼノンを見ると赤い目が見開かれ、視線で殺してしまうんじゃないかと思う程の、殺意に溢れた瞳をしていた。
ゼノン「私の子供に手を出したのだ。それ相応の報いを受けさせてやる」
静かに怒るゼノン。
世界最強のゼノンが自ら敵を狩りに行くのであった。
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