感謝の言葉
温泉でゼノン、シン、バリアンはミッチリとメフィに
しごかれた。
3人はその場で土下座し、トラリーはリリアに膝枕されながらムフフな光景に鼻血を流しながら横たわる。
仕切りはゼノンが想像魔法により修復し、皆で風呂を出る。
食事の間に入ると既に料理が並んでいた。
山の幸に海の幸。
王都ではまずお目にかかれない『刺身』があった。
「ほう? 刺身とは珍しい。我も家に戻ったらやってみよう」
「ねーねーシリュウさん!刺身ってなぁに?」
初めて見る刺身にムムは興味津々である。
「これは魚を生のまま食べる調理方法である。新鮮でとても美味しいのである! 醤油というものにつけて食べると更に美味しい!」
「この黒い液体ですか?」
「私も刺身を食べるのは数百年ぶりだ。」
「ワシは生で魚にかぶりつく事はあったが、こうやって綺麗に切られている魚は初めてじゃ」
皆の話を聞くと刺身を食べた事がある者は
ゼノン、シリュウ、レイラの3人のみであった。
「こちらの刺身盛り合わせは、マグロ、イカ、タコ、鯛、鮑、イクラ、つぶ貝となっております」
豪勢な刺身である。
そして肉料理はステーキ。
更に米にキノコ等、多数の料理が並んでいる。
一通り女将が料理の紹介をすると下がって行った。
「では皆の者食べるとしよう。乾杯」
ゼノンが盃を上げると皆が上げて乾杯!と言って
それぞれ食についた。
「この赤いのはマグロって言ったかしら?凄い美味しい!!!」
「ムムはこの綺麗な宝石みたいなのが好き!!!」
「それはイクラだね!ご飯と一緒に食べても美味しいよ!」
「本当ですね♪ どれも美味しいです!」
「これが、あのタコだと? 美味いな」
「ワシはつぶ貝が好きだな!!! 食感が最高じゃ!!!」
「イカをこのように綺麗に捌くとは・・・・・・我も帰ったらやろう」
「久しぶりのお刺身美味しいです♪」
「この鯛はサッパリしている分マグロよりも箸が進みます!」
「この鮑、とても大振りで美味しいわぁ♪」
「うむ。たまには皆で外食するのも悪くないかもしれぬな」
大人組は美味しい料理に酒が進みちょっとした宴会騒ぎになっていた。
そんな時メフィは隣に座るムムを見るとなんだか寂しそうな顔をしていた。
「ムム、どうしたの?あまり美味しくなかった?」
心配したメフィがムムに聞くも、ムムは首を横に振った。
「んーん、こんなに楽しいのに明日になったら帰るのが寂しいなって思ったの ・・・・・・もっとたくさん遊びたかったなって・・・・・・」
「ムム・・・・・・」
そんな光景を見たゼノンの決断は早かった。
「女将、ひとつ聞きたいが明日の来客予定はあるか?」
「いえ、このような辺鄙な地です。お客様は滅多に来ませんよ」
「そうか。ならば明日も泊まるとしよう」
皆がざわめく。
「それは構いません。むしろ、宜しいのですか?その、代金の方も・・・・・・」
「構わぬ。確か1人金貨2枚だったな?
11人で金貨22枚か。この宿は気に入った。金貨30枚渡そう。今後も良しなに頼むぞ」
全員が驚いた。
一般人の平均年収は金貨10枚程である。
つまり3年分、いや2日分という事は6年分の金貨を
ゼノンは易々と払ってのけたのだ。
「ゼノン様は一体いくら持っているんだろう・・・・・・」
「ムムのお父さんはお金持ち! お父さん!ありがとう!」
「「「「「「ありがとうございます!」」」」」」
ゼノンが機転を利かせてくれたおかげでもう一泊、泊まれることになる。
そこからは皆の酒も更に進み、どんちゃん騒ぎとなった。
夜も深け、皆で部屋に戻り敷かれた布団で横になる。
皆疲れたのかあっという間に眠ってしまった。
そんな中ゼノンは一人違う部屋に入り、窓から見える景色を
眺めながら酒を飲んでいる。
「ふむ。悪くない・・・・・・な。」
今日の出来事を脳裏に浮べる。
皆が笑い、そして自分も気付けば楽しんでいた。
こうして思い出はどんどん増えるのだと実感する。
「ゼノン」
後ろから急に名前を呼ばれ、振り返るとそこにはメフィが
立っていた。
「一人で飲んでないで私もいれてよ♪」
メフィは自分で盃を持ち寄ってきた。
「構わぬ。景色をつまみに呑む酒も格別だぞ」
2人は改めて乾杯した。
子供達は眠り、大人だけの時間。
「ねぇゼノン。本当にありがとう。貴方が私をあそこから連れ出してくれなければ、外の世界がこんなに楽しいだなんて
知ることはなかった。貴方のおかげで毎日がとても楽しいわ。
本当にありがとう」
メフィは改めてゼノンに礼を述べる。
精霊界には自然しかなく、本来メフィは食事を取らなくても生きていける。
しかし、当然味覚はある為食事を楽しむ事も出来るのだ。
だが精霊界にそんなものは無い。
そして口で話す相手もいない。
精霊は脳内で会話するのだ。
だから、外の世界はメフィにとって、とても刺激的で毎日が充実していた。
「ふっ、礼を言うのは私の方だ。メフィ、ありがとう。
いきなり私の妻にされ、いきなりら子持ちの母となった。
普通では考えられぬであろう。それなのにメフィは嫌な顔せず、むしろ子供達を大切にしてくれている。
本当にメフィには感謝している。
子供たちの母親になってくれて、そして私の妻となって
くれてありがとう。お前を心から愛しているぞメフィ」
いきなりの言葉にメフィは思わず涙を流してしまった。
それは嬉し涙だ。
「あはは、もう、ゼノンったら、いきなりそんな事言わないでよね! 私はとても幸せだよ? あの子達の母親になれて、貴方の妻になれて---私は世界一幸せなんだから
ゼノン・・・・・・愛してるわ」
メフィが目を瞑るとゼノンはそのまま唇を重ねた。
ゼノンは魔法で布団を敷くとメフィをお姫様抱っこし、
布団にそっと降ろす。
月明かりに照らされたメフィの美しさはより一層輝いていた。
「メフィ・・・・・・綺麗だ。」
思わずそう呟くゼノン。
「ゼ、ゼノン・・・・・・初めてだから、その、優しく、
してね?」
「心配するな、私も初めてだら。身も心も私の女に
なってもらうぞ。メフィ」
「・・・・・・うん。きて、ゼノン・・・・・・」
ゼノンとメフィはお互い初めて身体で愛し合った。
皆が寝静まる頃、ゼノン達は狂おしい程愛し合った。
ちなみに寝る時はバレないようちゃんとみんなの部屋に戻り眠ったのであった。
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