本当の家族
翌日一番最初に目を覚ましたのはゼノンであった。
一番最後に寝て一番最初に起きる。
ゼノンは昔から短い睡眠しかとれなかった為、慣れていたのだ。
ゼノンは目を覚ますと窓の外の空気を吸う。
天気も良くとても清々しい。
するとゼノンに気付いたのか、メフィも起き出す。
「ふあぁ。おはようゼノン。早いのね」
眠そうな目を擦り起き上がるメフィ。
「あぁ。おはようメフィ。まだ早い。もう少し
寝てていいのだぞ。」
まだ朝日が昇ったばかりである。
眠そうなメフィに優しく話すゼノン。
「んーん。もう目が覚めちゃった。せっかくだから、2人で
外を散歩しましょう」
メフィの提案に頷くゼノン。
ここで話していては、皆を起こしてしまうかもしれない。
その為、外に出て気兼ねなく会話をしながら散歩をする事にした。
外へ出ると川のせせらぎと小鳥達の歌声が聞こえてきた。
程よい風が吹き、お日様の光でポカポカしている。
「本当にここは素敵な場所。 また来たいわね」
「あぁ、毎年来るとしよう。」
そう言って、散歩をしていると後ろから何かが近付く気配を感じた。
後ろを振り返ると、そこには・・・
「お父さんとお母さんばかりずるい!!!」
「やっと追いついた・・・・・・」
ムムとトラリーの姿があった。
「あら、もしかして起こしちゃったかしら?」
「他のみんなはどうしてる?」
「いえ、僕達もつい先程起きたばかりです!
みんなはまだ眠っていますよ!」
「ムムは昨日早く寝たから早く起きたの!
ムムも一緒に散歩したい!いーい?」
「もちろんよ♪おいで、2人とも」
「少し、向こうまで歩くぞ」
「わーい!!!」
「はい!!!」
ムムが手を繋ぐと言う為、4人で手を繋ぎ散歩をする。
少し歩くと今度はメフィがとんでもない事を言い出した。
「ねぇ、せっかくだからこのまま4人で朝風呂
しちゃおっか♪ どうせ他に人もいないんだしさ!」
「朝からお風呂に入れるの? わーい!」
「えぇ?!!! それは、どうなんでしょうか父上?」
いきなりの発言に戸惑うトラリー。
いくら家族とはいえ、トラリーには刺激が強い気がした。
「なぁに、我等は家族だ。構わぬだろう」
「えぇ・・・・・・」
トラリーは渋々了承し、4人は宿に戻るとそのまま温泉に向かった。
「はぁ・・・・・・気持ちいいわね・・・・・・」
「朝のお風呂も気持ちいいね!」
「朝に風呂は中々入らぬからな」
「・・・・・・・・・・・・」
4人で共に露天風呂に入っていると、トラリーは
恥ずかしいのか、口元まで湯に浸かっている。
少しするとメフィが急に口を開いた。
「ねぇ、ムム、トラリー。1つ聞きたいことがあるの。
私はあなた達の母親になれているのかしら、いきなり
私が母となったけどあなた達は本当にそれで良かったのかしら? 急にごめんね」
メフィは気丈に振舞っていたが、常々心配していたのだ。
自分はちゃんと母親になれているのか。
2人に認めてもらえているのか。
もしかしたら、気を遣っているのではないだろうかと。
しかし、その思いはゼノンも同じだった。
「それは私も同じだ。メフィに比べるとお前達のやりたい事や言いたい事に気付いてやれていない。
お前達の父に相応しいのか。毎日思い知らされる。」
メフィはなんだか少しホッとした。
心配してるのは自分だけじゃない。
ゼノンも不安になっていたんだと。
するとトラリーが・・・
「それは僕も思っていますよ。父上や母上の様な偉大な方の子供になれたのは凄く嬉しいです。
でも、2人に相応しい子供になれているのか。
父上達に比べれば僕達は弱い。父上達にもし、愛想を尽かされたらどうしようと。
僕は父上と母上の子供になれたことを誇りに思っています!」
「ムムはお父さんとお母さんが大好き!!!
いつもムム達の為に考えてくれるお父さん!
いつもムム達を見守ってくれるお母さん!
そんな優しいお父さんとお母さんの子供になれて
ムムはとっても幸せだよ!
ムムはお父さんとお母さんが大好きなの!」
トラリーとムムの言葉に思わず涙を流すメフィ。
そして2人を抱きしめる。
「ぐすん・・・・・・ありがとう2人とも・・・・・・お母さんも2人のことが大好きよ! 絶対にあなた達と離れたりしないわ!」
メフィに抱き着かれ、貰い泣きしてしまったのか2人も涙を流してしまう。
「私達は家族だ。例え血が繋がってなくとも
私達には血以上の繋がりがある・・・・・・心だ。
私達の心は本当の意味で、今家族となった。
トラリー、ムムはもちろん、メフィも私が必ず守る。
例え全世界が敵になろうともな」
ゼノンは3人まとめて抱きしめる。
温泉の効果かわからないが、それぞれが伝えたい事を伝えることができ、とうとう本当の意味で家族になったのであった。
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