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謎多きトラリー

ゼノンの部屋にて


「一時はどうなるかと思ったけれど、ムムも

最近楽しそうでよかったわ♪」


「うむ。ムムには聖女レイラに似た何かを持っているのやもしれぬ。 レイラはどんな者にも分け隔てなく接する姿が見られた。そして、いつしか人々に聖女と呼ばれていった。ムムにも何か人を惹きつける力があるかもしれぬな」


「ふふっ、そうかもね! とにかくムム達が楽しんでくれてるならそれで十分ね」


初日から他の生徒に虐めを受けたと聞いた時はどうなる事かと思ったが、無事に終わってよかったとホッとするゼノンとメフィであった。






家の外では、トラリーが走っている。

学校から帰るとまずは、家の外を10キロ走るのだ。それが終わると今度はすぐさま庭へ行き---




「打ったらすぐ構えを戻せトラリー 防がれたら反撃を喰らうぞ」


「はいッ!!!」


トラリーはランニングが終わると庭で剣術をシンに教わっている。


1時間ほどミッチリ訓練を終えると今度はリリアに炎の魔法を習う。


トラリーはこれらを毎日欠かさず行っているのだ。

一ヶ月やり続け、トラリーの体つきも変わりそこらの

大人の兵士でさえ倒せるほど剣術は強くなっている。


トラリーの同世代や上のものでも敵う者はいないだろう。




トラリーは訓練が終わり庭のベンチで休んでいると、

突然現れたゼノンが隣に座った。


「父上! どうかしましたか?!」


いきなりのゼノンの登場に驚くトラリー。

ゼノンと2人きりというのは滅多にない為、何事かと驚いているのだ。


「毎日ご苦労だなトラリー。今のお前に敵う相手も上を探す方が早いだろう。

だがなトラリー、お前は自分を追い込みすぎだ。

もっと楽に生きろ。強さとは大人になってからでも遅くはない。

だが、友達との学校生活というのは学校にいる間しか送ることはできない。

今のままでは、お前の学校の思い出は『訓練』だけで

終わってしまう。友をつくれ。そして遊べ。もっと

学校生活を楽しむのだトラリー。よいな?」




ゼノンの言葉を聞きトラリーは考えた。

トラリーは今の生活にとても満足している。

それに兄や姉達との訓練も楽しくやれている。

でもゼノンが言いたい事はそうでは無かった。

確かに話す相手はいるが友達と言われると疑問が浮かぶ。

クラスの人と一緒に帰ったこともなければ遊んだこともなかった。


友をつくれ。


父の事を思い出すと、父の近くにはバリアンやシン、そして色んな種族達が集っている。


だが、自分には家族しか居ない。

今は良いが今後はどうだろうか。

そう考えるとゼノンの言いたい事が理解出来た。




「なるほど・・・・・・父上、1つお願いがあります」


なにか吹っ切れたようにそう話すトラリー。


「ふむ。どうした?」


「週に2日・・・・・・訓練を止め友達と遊ぶ日を作ってもよろしいでしょうか?」


その願いにゼノンは微笑んだ。

そしてトラリーの頭に手を置き、


「ふっ、2日と言わず、好きなだけ遊ぶが良い。訓練などいつでもできる。そして、思い切り遊ぶが良い。お前が友をこの家に連れてくる事を楽しみに待っているぞ」


トラリーは元気に返事をするとゼノンはその場を後にした。





数日後


「ただいま!!! 父上!!! 母上!!!」


トラリーは慌ただしく帰ってくるとゼノンの部屋を訪れた。

2人は何事かと思ってトラリーを見たが、トラリーの顔から察するにいい事があったようだ。


「そんなに慌ててどうしたの?」


「2日後に友達を連れてきてもいいですか?!」


ゼノンは予想した通りだった。

しかし、あれから数日で遊ぶほど仲良くなるとはゼノンも驚きであった。


「あぁ、いいとも」


「トラリーのお友達が来るならおもてなししなきゃね♪」



トラリー以上に喜ぶ両親。

ようやくトラリーも青春を過ごす事になる。





〜2日後〜


「おーい!トラリー! 早く行こうぜー!」


つい最近トラリーの友達となったジョッシュ。

人当たりがよく、同じSクラスであり、トラリーに次いで

クラス順位は第3位である。

つんつん頭の脳筋キャラで、魔法よりも近接戦を得意とする。



「トラリーっていつもすぐに帰るから学校が嫌いなのかと思ってたわ」


同じくSクラスであり、最近になってトラリーと友達になったクラス順位第2位のメアリー。


銀髪長髪の整った顔をしたお嬢様みたいな見た目をしている。



「そんな事ないよ! 僕は学校が大好きだし、君達の事も好きだよ! 今まで遊ばなかった分、今後は君達ともたくさん遊びたいって思ってるよ!」




友達に対して好きやら、遊びたいやらストレートに話す

トラリーにメアリーは、頬を赤らめていた。


「ト、トラリー!!! 好きとか簡単に言うんじゃないわよ!!! もっとオブラートに包みなさいよね!」


「ははは、そこがトラリーのいいところだろ?

裏表なく純粋なトラリー。1位なのに驕ることもないしな!

だから、俺達は友達になった。そうだろメアリー?」




ジョッシュの言葉にメアリーは頷く。

確かにトラリーは圧倒的に強くても奢ることなく、更に上を目指そうと頑張っている。

そんなトラリーだからこそ、2人はトラリーの友達になった。

そして、追いつきたいとも思っている。

トラリーのおかげで上を目指すようになったのだ。





3人でトラリーの家に向かう。

しばらく歩いているとジョッシュが駄々をこね始めた。


「おいトラリーまだかよー」


「まだ10分くらいしか歩いてないじゃない」


「着いたよ! ここが僕の家!」





「・・・・・・まじ?」

「・・・・・・え? トラリーって有名な貴族だったりする?」


家の前に着くとジョッシュとメアリーは目の前にある

豪邸を前にして放心状態になっていた。

トラリーは普段、自分の事を話さない為ジョッシュや

メアリーはトラリーが貴族なのか平民なのかすら

知らなかったのだ。


あまりにも謎多きトラリーの家が大豪邸だと知り2人は言葉も出ない。


しかし、これから更に驚かされる2人なのであった。

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