077 祈りなぞに頼らない
担当:四葩
「そう…なるほどね。それだけ他国で大暴れしたなら指名手配されるのも納得だわ…たとえ成り行きだとしても」
故郷を出てからのこれまでをサナリに語った。
語ってみると改めて…なんというか、結構やらかしてるわね
「国を治める立場としてはゾッとするわ…まっこの国なら大丈夫ね、クーデターなんて起こり得ないもの」
「大層な自信だな…その自信は今までに行った国々の長どもも持っていたぞ…」
自慢げもなく断言するサナリにルイが皮肉ったように言った。
「言ったでしょ。主な業務は国民たちの声を聞いて、それを反映したりするって」
「でも、言葉にしないこともあるかも知れない。たとえ目安箱のように匿名性をもってしても国の不満なんて言い辛いわ」
シナの意見にきょとんとしたサナリが合点がいったように笑った。
「あぁ声と言ってもね直接言葉でとか意見書とかで訴えられるんじゃなくて、心の声…みたいなものを聞いてるのよ」
「では、今も貴女には私たちの思っている事が聞こえているのですか」
「いいえ。ここでは聞こえないわ。祈りの場だけよ。そうしなきゃ道を歩いただけで頭が壊れてしまうんじゃないかしら」
「そうですね。何事も過ぎるというのは困りますよね」
見え過ぎていたヤオがしみじみと納得した
「国民はその事知ってるのかしら」
知っていたら疚しい気持ちで考えが読まれる祈りの場になんて行かないわよね
「うーん。いいえ…かしら……“お祈りすれば願いは叶う”ぐらいの認識ね。私も今の立場に成ってから知ったし、きっと任期を終えれば忘れると思う」
「なるほど。それならクーデターなんて大事にならないな。その前に小さな不満を取り除いていくんだから」
「うふふ、ご納得頂けましたか」
「あぁなんて傲慢な考えだと思ったけどそういうことなら」
そんなルイの言い種にも笑い返すサナリがティーカップを空にして帰り支度をしていく
「さてと、じゃあもう帰るわね。アンジェは元気にしてるわってファザに連絡してあげなきゃ…本人から音沙汰が全然ないって嘆いていたし…」
と懐かしい名前が飛び出してきた。まぁシスターの友人なんだから知り合いでも当然か
出ていったきり連絡なんてしてなかった。
少し薄情だったかしら
「よろしくって伝えといて…手紙は落ち着いたら書くわ」
「そうしてあげて。あの従兄弟は寂しがり屋なのよ。恋人を追いかけて故郷を勝手に飛び出たくせに定期的に連絡を寄越してくるぐらいには」
「えっあ、うんわかった」
知り合いどころか血縁なの…
「よろしい。そうそう、お祈りに興味があるなら明日にでもいらっしゃい。大きい教会の方は牧師様に伝えてみてあげるわ…返答は期待出来ないけど、一応ね」
そう言い残しサナリは帰って行った。
彼女はあたしが兄様を甦らせたいって思っていてそれを実行中なんて知ったらどうするだろう
お祈りなんてしないわ




