078 牧師の正体
担当:宮居
「お前が行ったらめんどそうだし、オレとシナで行こう。少し気になることもある」
ルイが言う。
「そうして貰えると助かるわ。あたしはこの国でも回ってようかしら」
「そうだな……」
またいつものパターン。ルイたちには何も得ることはないだろうに、何故こんなにも付き合ってくれるのか。
居てくれて困ったことはないけれど純粋に疑問よね。何考えてるのか、わからない事の方が多いし。
「……言ったろ、気になることがあるって。あんま気にすんなよ」
顔に出てたかしら。
「いつもありがとうね」
この旅が終わってしまえば、別れる存在だと言うのに。こうも……その……。
「こんなふうに思えるような人じゃなければ……」
小さく呟いてしまった。聞こえただろうか。
……ルイは気にしてないようだ。
「何かわかれば連絡するし、必要なら手伝ってもらうこともあるだろ。結局はアンジェがいなきゃ願いは叶わないわけだし。まぁほんとに叶うかは知らないけど」
「えぇ、そうね」
「国内の重要そうなものの把握をしといてくれ。簡単なのでいいから地図があると助かる」
「わかったわ」
「じゃあ今日はこれで解散。明日は各自で」
そう言ってルイは部屋から出ていった。あとからシナも続き、ヤオも出ていく。
「アンジェ」
「あぁ……エルも無理に着いてこなくても大丈夫よ?充分助けて貰ってるわ」
エルは首を振る。
「恩を返すってのもあるけど……旅は楽しいから」
「そう?」
彼女、こんな表情も出来たのね。今まで見た中で1番の笑顔だわ。
「もう寝ようか」
「そうね、疲れちゃったし」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
「……アンジェたちには聞かれないかな?」
「まぁ大丈夫だろ」
「……牧師のこと」
「やっぱり、覚えがあるよな」
「怪しいよねぇ……」
「まぁ行って見りゃわかるさ」
そう言って布団に潜った。
あの紋章から感じる術者の気配が、ニコル兄さんの物に似てるなんてそんなこと、あるはずがない……。
次の日、サナリが言っていたであろう教会まで来た。
別に隠されてるわけでもなく、堂々とそこに立っている。
「先に小さい方を見てくるか」
扉を少し押してみたが開かなかった。罠なんかも無さそうだ。
皆が通うという教会の方も少し気になるし行ってみることにする。
それは、ほんとうにこじんまりとした、小さな小さな教会だった。
何人かの人が教会に入って、数分後には出てきていた。
「あなたも、お祈りにいらしたのかしら」
少し離れた場所で様子を伺っていたのだが、教会から出てきた婆さんに話しかけられた。
「あら、旅のお方だったのね。じゃあお祈りは必要ないのかしら……?」
「そんなこと、ないですよ。旅が無事に終わるように祈りを捧げようかと思ったのですが、ここは余所者が入っていい所なのかと、少々考えていまして」
「あらあら、そうだったの。じゃあ聞いて来てあげようかしら?」
「本当ですか、有難いです」
「じゃあちょっと待っててね」
そう言うと婆さんはまた教会に入っていって、そしてすぐ出てきた。
……ついでに牧師を連れて。
「おやおや……」
「牧師さんよ、何が悪いのが付いてないか見てくれるんですって」
「お婆さん、ありがとうございます。もうお帰りになって大丈夫ですよ」
「そうかい?じゃああたしは帰ろうかね」
「……なんでお前が……」
「母さんから頼まれたんだ。そのために造られた人形ならそれを真っ当しなきゃだろう」
牧師だと言う人物は、橘美月の人形だった。
「いつの間にこんな」
「俺もよく聞いてないからわからない。だけど、君たちの国を見て、こういう国は作れないのかって、造られたのは確かなわけでさ」
ここは教会の隣にある小さな小屋。
事情を聞きたいと行ったら案内してくれた。
「まぁ、橘の呪術なら、あんなのも容易いだろうな……」
「美月さんの人形で、まだこう言う活動してる子がいるなんて……」
「俺は、ここと結ばれててさ」
言いながら腕を見せてくれる。
それは、サナリにもあった、紋章のような。
「壊れることは無いんだ。この教会が壊れない限りは」
微かに、ニコル兄さんの気配を感じる……。
「なぁ、ニコルって人知ってるか」
「あぁ、これを作ったの、そいつだぜ。久しく顔は見てねぇけど」
「嫌な予感ってのは当たるもんだな」
「あっちのも見たいか?あれは母さんが作った人形に、ニコルが強化の呪鎖を巻いた奴が牧師してんだ。結構強力でなかなか開けられないんだけど」
「お前は開けられるってのか?」
「開けるのはシナだけどな。俺は手伝うだけ」
人形はニヤリと笑う。本当に人形なのか怪しいくらいだ。
「アラカル、力を貸してくれるか?」
「主の近しき者には力を貸せとの名を受けてる」
「よろしく頼む」
こうしてアラカルという名の橘美月の人形が仲間になった。
お待たせしました……
最近モチベがない……




