065 呪石の行方
担当:宮居
「みつけたっ」
アンジェが叫ぶ。と同時にフードの子はフードを深く被って走り出した。
「待って!」
フードが外れないようにしっかり握ったまま走っている。よく走れるわね?
追いかけるがなかなか追いつかない。
……ほんとに女の子?
そう思いつつ追いかけていると突風が吹いた。
フードが外れかけ、深く被り直そうとした時、
「あ」
転んだ。フードの子が転んだのだ。
フードは外れている。
その隙にどこから出てきたのか、ルイが呪術を発動させているのが見えた。
あたしにも鎖を見るくらいは出来るようになったのよ(どやぁ)。
まぁどんな効果かはわからないんだけど。
この場合は拘束だとは思うけどもね。
実際フードの子は立ち上がれ無さそうだし。
そのままルイが近づいてって、手錠みたいなのを嵌めた。
そして彼女を立たす。
そこであたしたちは追いついた。
「突風、上手くいって良かったな」
「あれはルイが起こしたものだったの?」
「いいや、シナの魔法だ」
「へぇ……便利ね」
「攻撃系じゃないから使い所なんて全然ないんだけど、今回ばかりは役に立ったね」
まぁ確かに、人を傷つけるものじゃないなら、突風なんて使い所ないわよね……。
「じゃあ、とりあえず宿に行こうか?」
「宿に連れてっても大丈夫なの?」
「まぁ大丈夫だろ。こいつが悪さするやつなら記憶でも消せばいい。外で話して内容を聞かれるより、部屋に入って防音付けてしまった方が確実なんだよ」
「それもそう……ね。わかったわ、行きましょ」
呪術に捕らわれたフードの子は大人しく付いてくる。手錠に鎖が繋がれているのが見えた。まるで奴隷を連れてく時みたいな……。
周りにはどう見えているのだろう?と辺りを見回すが、こちらに注目しているものはいない。
「オレらは普通に歩いているように見えるしてるんだ。あまりキョロキョロしないでくれ」
そうルイに言われた。幻術かなにかを呪術でやってみせてるか、そういう魔法があるのか……。
あっても不思議じゃないわよね。あたしにはなーんにも使えないけど。なにか使えるようになりたいなぁ……。教えてもらえたりしないかしら。
歩いてある間、少女は一言も話さなかった。
何も喋らないのはルイがなにかしてるからか、喋りたくないからか……。
話さない子だったらルイがどうにかするんだろうけど……。
部屋に着く。ルイは少女を椅子に座らせた後手錠みたいなのを外した。
そして彼女の顔を見つめてる。
数秒して彼女は視線を逸らすようにした。
「ふぅん……」
ルイが呟く。そしてシナの方を見た。シナは頷いてから
「その子、眼が呪石になってるね」
と言う。
眼が……?
「どういうこと?」
「そのままだよ。こいつの眼に嵌ってるのが探してた呪石ってこと。誰に作ってもらった?」
ルイが指を鳴らしてから少女に問う。
「……知り合いの、呪術者に」
「ふーん……嘘はついてなさそうだな。さて、シナ?」
「出来ると思うよ。義眼だろうし、そのくらいなら……多分、知ってる人の術式だしね」
「と、言うわけで、シナに代わりの、なんならもっと良いやつを作ってもらうから、それと、盗った呪石返してくれるか?」
少女は少し悩んだ後頷いた。
「おっけ。じゃあ後でシナにそれ見せてやってくれ。んで……他の石は?」
「ここにある」
小さな袋を取り出して見せた。中に入ってる石もちゃんと見せてくれた。なくなっているものはない。
「でも、眼と交換してから」
そう言ってポケットにしまい込んでしまった。
「まぁ当然だな」
「ところで、貴女名前は?」
話がひと段落したみたいだから口を挟んだ。
ずっと名前を知らないなんて不便だし……。
「……ロート」
「ふぅん……じゃあもう1人の名前は?」
もう1人……?
ロートは驚いた顔を少し見せた後、フードを被った。
「……俺に気づいてたのか?」
「薄々、な。男子なのか」
「あぁ……俺の名前もロートだ。偶然の一致ってやつだな」
「二重人格……?」
そう言えば、走っている時のロートは、女の子って感じじゃなかった。なんとなくだけど……男の子って感じの走りだった。
「まぁ正確に言えば違うんだけどな……俺は元々、ここの住人じゃないんだ」
「……そこら辺は義眼を見ればなんかわかるかもしれない」
ルイはそう言うとシナを見た。
「ちょっと、借りてもいいかな?」
「俺じゃない方のロートに聞いてくれ」
そう言うと彼はフードを脱ぐ。
「……貸すね」
そう言うと彼女は簡単に眼を外してみせた。記憶などは共有されているのだろうか。
そして空いた方の眼を髪を流して隠す。
「ありがとう」
受け取ってじっとそれを見つめるシナ。
……当然だけど、眼がリアルであたしは見てられないわ……。
暫くして彼女に眼を返した。
「……もういいの?」
「大丈夫、大体わかった」
「道具や材料はどうする?」
「材料はルイに協力してもらえればすぐに集まると思う。道具はどうにかなるかな」
「じゃあまたしばらく別行動だな」
「……なんだか頼りっぱなしで申し訳なくなってくるわ……」
「まぁ、適材適所ってやつだろ」
「って言ってるけど、ルイがここまで他人に協力するの珍しいんだけど」
「余計なこと言わなくていい……じゃあアンジェ達はなんか好きに国の探索でもしてくれ。なにか協力して欲しいことがあったら連絡するから無視するなよ」
「わかったわ。申し訳ないけど今回も頼むわね」
「おーらい。乗りかかった船ってやつだろ。気になることもあるし最後まで協力はしてやる……まぁ今日は休んで明日からにするか」
「そうね。あたしも少し疲れたわ……」
「じゃ、そういうことで。明日以降は自由行動だ。なんなら城のことでも調べて欲しいかな。ロートはどうする?」
「……一旦家に帰る。明日アンジェと合流する。彼が話をしたいって」
いつの間にか名前を覚えられてた。
「了解した。じゃあまた明日な」
ルイ、シナ、ロート、ヤオが部屋を出る。
「今回はそんな大きなトラブルに巻き込まれなさそうで良かったわ……」
「既に石を盗まれるって大きなトラブルが起きてると思うけど……」
「あはは、まぁそうね……でも他の国の、大きなトラブルに比べたらまだ軽い試練かなって。ロートは協力的だし」
「そうだね……そこは良かったかも」
「ね。じゃあ今日はもう休もうかしら」
「うん、そうしよう。おやすみ、アンジェ」
「おやすみ、エル」
先程一言も話さなかったエルが、2人切りになったら話してくれた。これが信頼の証なら嬉しいなぁ……なんて、あたしはこれからの苦労を考えることもせず、眠りについた。
3k乗せることが目標でした……。




