064 みつけた
担当:四葩
「さて、ではそろそろお暇しましょうか。ご迷惑になりますし」
ニヤリとした悪い顔を引っ込めてヤオが言う
今日のところは帰るらしいまぁ長期戦になるかもだし
「情報はルイ達がギルドで探ってるだろうし……何処に行こうかな」
城にもルイ達が行くって言ってたしなぁ
そういえば、王様に謁見してないのよねこの国では
「城で合流するのはどうでしょう」
ヤオも同じ事を考えていたらしい そんな提案をしてきた
「会う理由はないけど、まぁ今まで入国したら王様に会ってたしね……約一名は宿に不法侵入してきたけど」
王様に会っていたのも呪石に関係していたからだし
今回は関係ないかも
呪石を持っている人物には目星がついているし会う必要はないかな
「王への謁見は旅人さん達には難しいと思いますよ。基本城には国民しか入れませんから」
「国民は手続きなしで入れるの」
「ええ入城用のカードがありましてね」
店主がぺらりとカードを見せてくれる
なかなかハイテクなのねこの国は
「服とか……は荷物になるしなぁ」
ほんとにどこにいこうか
「もう、商店街をうろつくでで良いかしらね」
ウィンドウショッピングしながらフードの娘捜し、今はそれしかすることがない
「とりあえず、動きましょうか」
「詫びのためとはいえ、あんな不気味な 娘に会いたいなんてな」
その店主が出した小さな一言は背を向けたアンジェ達には届かなかった
「そういえばアンジェさん。先ほど出てきた宿に不法侵入してきた方というのはニタ様ですよね」
「ええそうよ。それがどうしたの」
うろうろと商店街を見て回っていたら
ヤオが先程の話題を盛り返してきた…もしかして自国の王族を悪く言うなってことかしら
「彼女のことで質問があるのですが、ニタ様から話された話の中に私に伝えていない事はありますか」
不法侵入者扱いはスルーしてくれるのねぇ
うーん話してないこと……
「すべて話してると思うわよ。何か気になることでもあるの」
「ええ、実はキジムの事を訊かれたので」
「キジムってヤオが使っていた偽名よね。たしか養父さんの息子の名前でしょ」
ヤオが頷く。そもそもなんでニタが知っているの
「どうやら面識があったようなんです。ある日突然姿を現さなくなったから心配していたと」
「キジム本人が亡くなってもヤオがその名を使って生活してたんだもんね」
幽閉されてたから会いになんて行けなかったんだろう。会えば本人じゃないって気づけていたかも
ニタには耳からの情報しかなかったんだもんどれだけ焼きもちしたんだろうか
「誰かを護りたかったキジム国と国を憂い救おうとしているニタ様…なんだか物語の一節のようですよね」
なかなかの乙女思考なのねヤオって
「小説にでもしたらフヨンが好きそうな物語になりそうです」
柔らかく微笑みながらそんなこと言うなら
「ねぇやっぱりさフヨ……」
『アンジェ。今いいか』
ルイからの通信が入った
『フード娘の素性がわかった。例の果物屋の娘だった』
「そうだったの」
じゃあなんで店主は言わなかったんだろう
自分の娘のことでも個人情報がどうのって気にしてたのかしら。それとも他に理由があって……
『それと今アンジェたちは何処にいるんだ』
「商店街をうろついてるわ」
『ならちょうど良い。城から真っ直ぐに行ったところの広い道、わかるか。』
「ええ」
『そうか。今フード娘が宿の通りに向かって歩いてるらしいから捕まえてくれ。オレも向かう』
「わかった。じゃああとで合流しましょ」
それなりに賑わう商店街を三人で駆け出すと目の端に何事かとぎょっとする人々が見えるけど気にしていられない
呪石をなんとしても取り返さなきゃいけないのだから
「アンジェっあのフード」
辺りを見回していた視線をエルの指し示す方へ向ける。
視線の先にはこの前に見たフードの頭が人ごみのなかで揺れていた。
「みつけたっ」
やっとこ終盤 この国もそろそろ終わりに出来そうです!




