011 知らせ
部屋で一人、模索する。
エルは自分を解放して貰えると分かっているから好意的に協力してくれるだろう。頷いてくれたし大丈夫だと信じてる。
シナの言っていた友人も……まあ気になるけど、シナ自身協力してくれるのは間違いない。
今のところ、こちら側の味方はカエルのファネス、合成獣、シナ、エルだ。 ファネスの呪いはこちら側が成功すれば解けるはずだから脱出経路は確保された。
合成獣に話しかけられたのには驚いた。思ってもみなかったからね……。
この国の嫌な力には合成獣も気付いているし、あたしが思っているよりも大きな力なのかもしれない。それにここは戦争を起こそうとしている国だ。
……こんな少人数で、しかもある意味奴隷解放というハイリスクなこと、成功するのだろうか。諦めちゃいけないのは分かってる。分かってはいても、下手をしたらあたしも捕らえられ、奴隷として扱われるのだろう……
そんなことになったら二度と兄様を生き返らせるなんてことは出来なくなってしまう。それだけはなんとしてでも避けなければ。
「絶対に…成功させてやる…。何があっても、どんな手を使ってでも……」
無意識に爪を噛んでいたようで割れていた。これでは変に怪我をしかねないので手入れをしようと思い、荷物を漁った。
その時、いつの間にかルイスが戻ってきていて、床で寝ているのに気が付いた。なんであたしの部屋にいる。
「……なんでコイツいるのよ……。シナの部屋に置いてきたはずだったのに…」
舌打ちをしていたら、それとは違う音が聞こえた。
「…………だょ、」
ルイスの寝言だった。寝ている時ですら静かにしていられないのかコイツ。
「お姉ちゃん……やっぱり凄いや……。大丈夫だよ……頑張れ……」
ムカツク。こんな奴に、こんな奴の言葉で、自信を取り戻すなんて解せない。とりあえず今回だけは見直してやろう。
今回だけ。
……あたしも眠ろう。一度頭の中を整理したい。
眠りについてから、どのくらい経っただろうか。今度は脳内で声がした。こんな芸当、きっと合成獣だろう。
『娘御よ、すまない。今すぐ伝えねばならぬことがある』
……何かしら。大丈夫よ。
『娘御の横で何やら話をしている輩が居っただろう。その輩が言って居ったことがあってな』
カティのことね。何を言っていたの?
『戦争を起こす。と言って居ったのだ。こちらには秘密兵器もある。とな』
なんですって?それ、いつとは言っていなかった?
『数日後であるのは確かではあるが、分からぬ。だが、これだけは言えることがある。その戦争であの忌々しき力は必ず使われる。輩どもはあの力の威力を知らぬ。あれを使えば、この国は滅ぶ』
そんなことしたら国民全員死んでしまうじゃないの。
(……もしそうなったらあたしの計画まで丸潰れじゃないか。)
………どうにかして、止めないと。
『娘御よ。こちらも手を貸そう』
助かるわ、合成獣。あたしのことはアンジェって呼んで。娘御なんて柄じゃないわ。
『合成獣と呼ぶでない。我が名はキーア』
キーア。いい名ね。よろしく。
『アンジェ、我は自分でここから出られぬ。呪術で出られないようにされているのだ。この術が解ければ出られる』
あたしの仲間に解けるのがいるわ。頼んでみる。
『すまない。用件はそれだけだ。またこちらに来たときに語りかけよう。遠いと力を使うのだ』
ええ、構わないわ。知らせをありがとう。
お礼を言ったら、脳内の声は途絶えた。
「数日中…。いいとこ三日って感じだな…。」
明日、シナに話しに行かなくては。そう思い、もう一度眠りについた。
翌日、シナに会いに行く前に、寄るところがあったのでまずそっちに行くことにした。ファネスのところだ。
「お、どうしたんだ?」
「ねえ、呪いを解いてあげるから門を開けてくれるって言ったじゃない?覚えてるわよね?」
「ああ、もちろんだ」
ケタケタ笑いながら答える。
「あたしが脱出するとき、もし呪いが先に解けてしまっていた場合、あたしはあなたの本当の顔を知らない。こちらに来たとしても分からないわ。だからそうなった場合の予防策としてこれを付けていてくれないかしら」
ファネスに赤いスカーフを渡した。
「目印……ってとこか?」
「そんなとこ。なるべくずっと付けていて」
そう言うと、器用に首に巻き付けていた。
「OKだ。……頑張れよ」
「もちろんよ」
快く付けてくれたのはありがたい。これでどうあってもファネスだと分かるはずだ。
そのままの足でシナの方へ向かおう。
……いらない奴が後ろからいつの間にか付いてきているのが凄く気にくわないのだけれど。
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