5-22 食堂ホームルーム
ルクリア「おまえら最近、前にもまして店来るようになったな、」
ナンテン「だって~、ルーちゃん前よりも楽しそうなんだもん」
ウェルウィッチア「そうね、なんか生き生きしてるもんね!」
ルクリア「はぁ!?別に変わってねぇよ!」
ほどなくして、以外にもその日はすぐに訪れた。
ナンテンさんもウェルさんも、仕事終わりでも休みの日でも、折を見てはわたしたちの通う食堂へ揃って顔を見せてくれる、
5人で料理を囲み、他愛のない話を交わし合うと、時間がたつのも忘れてしまう。
なによりも心から楽しそうな顔をしているみんなの一員に混じれているのが、ただただ嬉しい。
ユッカ「ルクリアさん、昔はもっと怖かったの?」
ナンテン「そう!いっつもこ~んな顔して、誰それかまわずぶん殴るぞーって!」
ルクリア「いや、そこまで言ってねぇよ!」
ナンテン「ふたりに会いたくて来てるのもあるもんね~」
ルクリア「おまえは酒飲みに来てんだろ」
ナンテン「ユッカちゃ~ん!一緒に飲も~よ~!」
ユッカ「うん!いいよ~!」
ルクリア「やめろバカ!保安隊がガキに飲ませてんじゃねーよ!」
ナンテン「だって~、ルーちゃんはお酒飲まないし、ウェルちゃんも仕事絡まないと飲まないし、アザミちゃんはルーちゃんのスタンス崇拝してるから飲みそうにないし~、」
泥酔しているようなのに、よくわかってらっしゃる、
ウェルウィッチア「はいはい、もう数年待ちましょうね!」
ナンテン「やだ~、今一緒に飲むの~」
ユッカ「ジュースで付き合うよ~!」
ナンテン「え~ん、ありがと~!ユッカちゃん大好き~!」
ユッカ「よしよし、いい子いい子!」
ウェルウィッチア「でも本当に二人のおかげよね」
アザミ「え?わたしたちですか?」
ウェルウィッチア「うん!二人が来てからルーちゃん前よりも大人になったような気がするの」
ルクリア「私は前から大人だ!」
ナンテン「えへへ~、やっぱり二人にかっこ悪い所見せられないもんね~」
アザミ「はい、とっても頼りになります、」
ユッカ「すぐ部屋散らかすけどね、」
ルクリア「私ん家なんだから、別にいいだろ!」
ユッカ「ちゃんとアザミちゃんが片づけてくれるからね」
ウェルウィッチア「二人ともお家の事ちゃんとやってくれて偉いわよ、」
ナンテン「あれ~、もしかしてルーちゃんの方が面倒見てもらってるんでちゅか~?」
ルクリア「やかましい!飲むのやめろ!」
ナンテン「でへへ~」
ウェルウィッチア「うふふ、仕事でもそうなんだけどね、リーダーになったり部下が出来たりするとね、自分でも知らないうちにしっかりしなくちゃって頭や体が動いてたりするのよ、」
アザミ「責任が出るんですね、」
ルクリア「でもたま~に部下や後輩が出来るとそれだけで自分が偉いって勘違いするバカもいるから気を付けろよ、」
アザミ「ホテルにもいました、ほとんどの人は丁寧に教えてくれましたけど、ぶっきらぼうに嫌な仕事だけ押し付ける人もいました、」
ウェルウィッチア「そういうのを学ぶのも、社会に出るには大事なのよ、」
アザミ「本当ですね、」
ルクリア「私なら速攻ぶん殴っちまうけどな、」
ウェルウィッチア「これは悪い例ね」
アザミ「はい、」
アザミ「わたし、何にも知らないけどちゃんと社会で仕事できるでしょうか・・・」
ウェルウィッチア「大丈夫よ」
ユッカ「即答!?」
ウェルウィッチア「うん、わたしもいろんな職場見て来たけどね、技術のある人を即戦力で欲しいっていう人もいるけど、全く知らない人を一から教えて自分のやり方を覚えてやってほしいって人も結構いるのよ、」
ルクリア「半端な知識であーだこーだ言う奴よりも言われたことを黙ってやってくれる奴の方がありがたいってことだもんな」
ナンテン「そうそう~、何も知らなくてもちゃんと言うこと聞いてくれる人って本当助かるんだよ~」
アザミ「本当ですか?」
ウェルウィッチア「ホテルのネリネ料理長さんが言ってたよ、アザミちゃん教えたことすぐ覚えてくれるし、どんな仕事お願いしても嫌な顔一つしないで一生懸命やってくれて助かったって。いい子連れてきてくれたって、」
アザミ「本当ですか?」
ウェルウィッチア「うん!」
ユッカ「アザミちゃんすご~い!立派な社会の一員じゃ~ん!」
アザミ「良かった」
初めての職場で初めての仕事、みんなの迷惑になっていないか、少しは役に立つことが出来たのか、任務を終えた後でも気がかりが残っていた。
ウェルさんの言葉で安心した。
なんとなくだけど、お世辞やフォローじゃなく本当の話だということが見て取れた。
アザミ「でもわたし、学校も行ってないし・・・」
ウェルウィッチア「アザミちゃん、学校行ってみたいの?」
アザミ「学校行ったことないから、社会に出るための基礎知識とか、たくさんの人との人間関係の中で生きていく方法とかが全然足りてないと思うんです・・・そういうのがいろいろ学べそうでいいなって・・・」
ユッカ「まぁね~、でも学校って決していい所ばかりじゃないよ」
アザミ「そうなの?」
ユッカ「うん、勉強は毎日大変だし、ちょっと間違ったことするとすぐ怒られるし、人間関係の合う合わないで揉めたりなんかしょっちゅうだからね、」
アザミ「そ、そうなんだ・・・」
ユッカ「もう行きたくないって何回も思ったことあるもん、」
ウェルウィッチア「そうね、ある意味社会よりも厳しいかもね、」
ユッカ「みんなもそうだったの?」
ウェルウィッチア「うん!真面目に勉強ばかりしてたり、好きなことに熱中してる人ほど変な目で見られたりしたからね、私もそうだったけど、」
ナンテン「私ももう勉強なんかしたくな~い!」
ユッカ「へぇ~!なんかちょっと安心した!」
アザミ「生徒も先生も大変なんだね、」
ウェルウィッチア「ナンちゃんのお姉ちゃんも大変そうだもんね~」
ユッカ「お姉ちゃん?」
ルクリア「こいつの姉ちゃん学校の先生だからな」
アザミ「そうだったんですね」
ナンテン「実家で一緒に住んでるけど一週間くらい顔合わせてないよ」
アザミ「二人とも、とても忙しいんですね」
ルクリア「おまえが少し飲むの控えりゃいいんじゃねぇのか?」
ナンテン「これは仕事より大事な命の水だもん!」
ユッカ「あははっ!」
アザミ「真面目に学校行ってないと、ちゃんとした仕事にも就けないのかと、」
ルクリア「んなことね~よ」
ウェルウィッチア「そうよ!それでもちゃんと働いてる人はいっぱいいるわよ」
アザミ「そうなんですか?」
ナンテン「お姉ちゃんも言ってたけど確かにちゃんと学校行くのも偉いけど、大事なのはそこで何を得るかだからね~」
ウェルウィッチア「そうね、知識でもいい、友達でもいい、体力や技術でもいい、何か一つでも得られれば十分だと思うよ」
ユッカ「でも合わなくて学校来なくなっちゃう人もいるよ、」
ルクリア「たとえ人間関係とかでうまくいかなくも、世の中にはそういう合わない人間もいて、そういう時どう対処したらよかったかを考えて、次の社会に生かせれば十分だろ、」
ウェルウィッチア「そうかもしれないわね、」
ルクリア「自分が人と関わるのが苦手ってわかれば人と関わるのが少ないような仕事や生き方を探したり考えればいいさ、」
ウェルウィッチア「どれもも簡単じゃないけどね」
ルクリア「学校行ってる奴が偉いわけじゃね~よ、学校行ってようが周りに迷惑しかもたらさねぇような奴もいっからな、」
ナンテン「そうそう!いっぱいいる~」
ルクリア「学校なんか行ってなくてもうちらは立派に生きてんもんな!」
アザミ「はい!」
ルクリア「とりあえず生きてりゃなんとかなっからな!」
わたしの肩をガシッと掴んでくれる、ひとりじゃない、同じ境遇の人がいてくれるというのは凄く心強い、
学校など行っていなくても別にいいやと心から思わせてくれるのだ、
アザミ「そっか、今わたしには友達もいる、いろいろ教えてくれるみなさんがいます、それで十分です、」
ウェルウィッチア「わたしたちで教えられることがあれば何でも教えてあげるから、遠慮なく聞いてね!」
ルクリア「そうだな、どんな人間が高く売れるとか、どうするとぶっ倒しやすいとか山ほど教えてやっぞ!」
ナンテン「じゃあ私は保安隊流首の締め落とし方教えてあげる~!親指と中指を相手の静脈のところに~」
アザミ「こ、こうですか?」
ナンテン「そうそう!上手上手!」
ユッカ「ね、ねぇ、これでいいの?」
ウェルウィッチア「あははっ!何でも教えてもらいなさい!知識や経験はいつどこで何が役に立つかわからないからね!」
アザミ「はい!よろしくお願いします!」




