ドアの向こうの異世界3
恭平を助けた騎士、レイにお姫様抱っこをされて恭平のメンタルに大きなダメージが入ってから約1時間後、二人は城塞都市の門まで来ていた。
「レイ第3騎士隊長、お疲れ様です。こちらの女性は?」
「ナルブルームの森でさまよっていた。とりあえず裸足だしここまで抱えてつれてきた。彼女の聴取は私がやる。」
「そうでしたか。了解いたしました。2番聴取室がただいま開いておりますので、そこをお使いください。」
「わかった。ありがとう。」
レイはそう言って微笑むと、恭平を抱っこしたまま、2番聴取室に入って恭平を椅子に座らせた。
「さて、どこから聞けばいいのかな?とりあえず君は何者だい?その感じだと他国の密偵という感じではないよね?」
「ええと、俺、気がついたらあの森にいて、その後すぐにレイさんに助けられたんで、自分が置かれていた状況がよくわからないんです。」
恭平は申し訳なさそうに謝る。
「ふぅん。そうか。まあ君からあまり害意は感じないし、大丈夫だと思うから許可証は発行しよう。こういった身元不明の人の場合、保護者がいるから・・・そうだね。私が保護者になっておくよ。だから悪いことはしちゃダメだし、困ったら私を頼っていいんだよ?」
レイはそう言うと、ニッコリと微笑んだ。
「ありがとうございます。じゃあ早速図々しいんですけど、一旦寝泊まりできる場所と靴がほしいです。」
「んー。まあとりあえずこの街に宿屋があるから、そこでどう?」
「すいません。いつまで居るかわかりませんけど、よろしくお願いします。」
「じゃあ決まりで。早速その宿屋に行こうか。」
そう言うとレイは立ち上がって、また恭平をお姫様抱っこで持ち上げた。
「あの?俺の靴は?」
「靴はここにはないからあとでね。あと君は女性なんだから、女性らしく話さないといけないし、名前も恭平じゃないでしょ。君の本当の名前を教えて。」
いや、いろいろと違うし、そもそも俺男だし。そう思ったが、今の自分は女性なんだから名前も恭平じゃおかしいと考え直して、
「私の名前は千田鏡香です。」
そう恭平改め鏡香は答えた。
「ここが私のおすすめの宿屋だよ。」
そういってレイが連れてきた宿屋はよくアニメで出てくるような長屋風の建物だった。レイが大きな扉を片手で開けてと中に入ると、大きな玄関の中で20代後半のように見える女性が受付に座っていた
「あら?いらっしゃいレイ様。そちらの方は?」
「ああ、彼女は鏡香。これからしばらくここに泊めさせてほしいんだけど大丈夫かな?」
「ええ。構わないですよ。ええと彼女の名前は?」
「千田鏡香です。よろしくお願いします。」
「私はラピス。この宿屋、オストフェウテの娘よ。よろしくね。」
ラピスは鏡香にニッコリと微笑んだ。
「で、代金は私が出すよ。彼女はワケアリだからね。なにかあったら頼むよ。あと彼女靴履いてなかったから、この金で靴代もよろしく。」
そう言うと、レイは懐から金貨を一枚出した。
「リョーカイ!じゃあ鏡香ちゃんはちょっと待ってて、今靴を取りに行くから。」
「大丈夫そうだし、私はそろそろ行くよ。」
そう言ってレイは立ち上がった。
「あの!レイさん、本当にありがとうございました。」
「いいって、それよりも早くこの生活に慣れるといいね。じゃあ私はこれで。」
レイは最後にお辞儀をすると宿屋から出ていった。
大学生活と執筆の兼ね合いって難しいですね。私は理系で忙しいから、更新できない日もあると思うので、気長に待っていてくれたら幸いです。