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8・学校

「っきゃー。遅れちゃう」

志乃の悲鳴が家の中に響いた。


うっかりしていて学校に遅れそうになっている。

村から学校まで徒歩2時間かかり

近隣の3つの村から子供たちがやってきて、勉強していた。

 

愛鷹あしたかは「待てよ」と、家を飛び出す志乃を追いかけて

後ろから身体を掴んで飛んだ…はずが地面すれすれの低空飛行になった。


烏天狗は風を操る。その風に乗って飛ぶのだ。

羽根は動きをコントロールするためなので、それほど大きくない。


「重いっ」

「失礼だぁ」

「そうか、ごめん。二人で飛ぶには羽根が小さいんだ。

でも志乃が歩くよりは速いだろっ」

「確かにー。きゃー。浮いてる。おもしろーい」 志乃は大はしゃぎ。



しばらく行くと雪丸が歩いていた。

「雪丸さーん、おはようー」

「志乃ちゃん…愛鷹も」


「よし。競争だ」

目の前を飛んでいく愛鷹を追いかけて、雪丸も走りはじめた。

愛鷹と並んで走る雪丸。

狐族は足が速い。


いつの間にか、三人で笑っていた。


校門で大柄の教師が出迎えている。

教師の腕に下級生が何人もぶら下がって、きゃあきゃあ笑っている。


「雪丸はともかく、烏天狗も参加か?」

「おはようございます。大江先生。彼は最近村に来た愛鷹です」


「雪丸もここへ通っているのか?」

「ああ。授業は面白いよ」


「君も参加しなさい」ニコニコ笑う教師の頭に、二本の角が見えた。

「…鬼?」

「あー、人間の教師もいるけどな。儂は主にアヤカシ担当な。

あと、剣術とか体術も希望すれば習えるから、やるといい」


こうして学校に通うことになった愛鷹は、毎朝志乃を抱えて飛ぶハメになった。

「らくちーん。最高―」 喜ぶ志乃に

「…まあいいか」と思う愛鷹だった。


学問は嫌いではなかった。

読み書きは両親や近くの村に住んでいた人間たちが教えてくれたので、

基本はできていた。



村は穏やかだった。山に囲まれ澄み切った空気が流れ、夜には月が輝いた。

アヤカシも人間も混ざって暮らしている。 平和な世界だった。


読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、楽しんでいただけますと嬉しいです。


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