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翼よ、眠れ~アヤカシの末裔・外伝~  作者: 遠野まみみ


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22/22

22・エピローグ

タタタタ…    タタタ。

眼帯の箱を持って、美和は愛鷹あしたかの炭焼き小屋へ向かった。


「ここまで来るのは珍しいな」

愛鷹が作業の手を止めて美和を迎える。


「は…はあ、はあ…。さすがに息切れた。」

「どうした?」


愛鷹の顔を見たら、とても切なくて言葉が出なくなった。

「あの…あのね。志乃おばあちゃんからいろいろ聞いて…それで…」


「志乃がいたの?」

「うん。たまに村の中を歩いていて、わたしが来ると声をかけてくれて

それで、今日は昔の話をたくさんしてくれて…」


愛鷹の服の袖を掴んだら、ポロポロと泣けてきてしまった。

「…愛鷹が生きていて、よかった…」



「泣くような事じゃない」

「泣くような事だよ」


愛鷹がはめていた軍手を外して、ゆっくりと美和の頭をなでた。



美和は箱を差し出した。

「志乃おばあちゃんから。渡しそびれていたんだって」

「革細工か。いつの間に」


黒皮の眼帯はぴったりと馴染んだ。

「似合う。カッコいい」うんうんと美和がうなずいた。

「…多嘉良に託さなかったのは、俺がからかわれると思ったからかな。

…志乃はいないのか?」

「うん、渡せるから満足したみたい」

「いつまでも死人が現世にいるものじゃないからな。

届けてくれてありがとう。さて、帰るか」


美和を抱えて愛鷹は飛んだ。

「もう日が暮れるからな。その様子だとライトも何も持ってないだろう?」

「えへへ。正解です」


「小さい頃、よく飛んでもらったね」

「美和が泣くたびに藤子とうこに渡されたからな。なぜか飛ぶと泣き止んだ」

「お母さん、愛鷹の事を一番信用してるからわたしを預けたんだよ。

わたしも空から見た景色が好きだったの。

ずっと先まで見えて気持ち良かった。今もね」


「…愛鷹は、昔は志乃おばあちゃんのお兄ちゃんで、弟で。

今はわたしのお兄ちゃんだね」と笑う美和に

「そうかもな」と、愛鷹は答えた。



「おー、飛んどるなぁ」

そんな様子を100歳近くなった源太が仰ぎ見て

大江先生の塾から帰る、河童族の早瀬と梓が「こんばんはー」と

声をかけた。


村は、今日も平和だ。


読んでいただき、ありがとうございました。

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次作もよろしくお願いいたします。

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