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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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35/40

崩れながら掴む俺、世界の“始点”で最後の選択を迫られる

 静寂。


 音がないわけじゃない。

 “音という概念”がまだ生まれていない場所。


 光もない。

 闇ですらない。


 ただ——


 “始まる前”が、そこにあった。


 ユウは、そこに立っている。


 いや、正確には——


 立っていることを“選び続けている”。


「……ここが」


 かすれる声。


「世界の始点……です」


 スライムの声も、今にも消えそうだ。


 振り返る。


 だが、後ろはない。


 前もない。


 上下もない。


 あるのは、ただ一つ。


 “選択の源”


「……あれか」


 それは、点だった。


 極小。だが無限。


 触れれば、すべてが始まりそうな——そんな気配。


「基準点」


 スライムが言う。


「世界が最初に“何を選ぶか”を決める場所です」


「なるほどな」


 ユウは笑う。


「ラスボスっていうより——」


「スタートボタンだな」


 ゆっくりと、手を伸ばす。


 だが——


「警告」


 世界の声が、直接響く。


「それに触れた場合」


 一瞬の間。


「現在の世界は維持されません」


 沈黙。


「……つまり?」


「再定義」


「すべてが、別の形に変わります」


 スライムが、静かに言う。


「今の人々も、王都も——」


「“今のままではなくなる”可能性が高いです」


 ユウは、少しだけ目を細める。


「……リセットか」


「近いです」


 そして、もう一つ。


「さらに」


 世界の声。


「あなた自身も、現在の形を維持できません」


 ユウは、苦笑する。


「だろうな」


 すでに、体は崩れかけている。


 このままでも、長くは持たない。


「ユウ」


 スライムの声。


「選択が必要です」


 一拍。


「ここで止めれば——」


 ・世界はそのまま

 ・ユウは崩壊

 ・すべて元通り(ただしユウは消える)


「続ければ——」


 ・世界は再構築

 ・未来は不確定

 ・ユウも変わる(存在保証なし)


 沈黙。


 ユウは、笑った。


「分かりやすいな」


「どっちもロクでもねえ」


「……はい」


 スライムの声が、震える。


「ですが——」


「どちらかを選ぶしかありません」


 ユウは、しばらく何も言わない。


 視線は、“始点”へ。


 そして——


「……お前は」


 ぽつりと呟く。


「どうしたい」


 スライムが、止まる。


「……私、ですか?」


「そうだよ」


 ユウは笑う。


「ここまで付き合ったんだ」


「意見くらい言え」


 長い沈黙。


 ほんのわずかに、光が揺れる。


「……私は」


 震える声。


「消えたくありません」


 一拍。


「でも」


「あなたが消える世界も……嫌です」


 正直な答え。


 綺麗じゃない。


 だが——


「いいね」


 ユウは笑う。


「それでいい」


 手を、さらに伸ばす。


「じゃあ決まりだ」


「ユウ!」


「安心しろ」


 振り返らずに言う。


「どっちも取る」


「……え?」


「消えない」


「壊さない」


「その上で——」


 一歩、踏み出す。


 崩れかけた存在で。


 最後の距離を詰める。


「全部、作り直す」


 スライムが息を呑む。


「それは……」


「無理だと思うか?」


 ユウは笑う。


「思いません」


 即答。


「あなたなら」


「できると思います」


 短い沈黙。


 そして——


「……だよな」


 ユウは、軽く笑う。


 手が、“始点”に触れる。


 その瞬間。


 すべてが、止まる。


 世界も。


 時間も。


 存在も。


 ただ一つ。


 ユウの“選択”だけが、残る。


「——選ぶ」


 光が、弾ける。


 すべてが、白に飲み込まれる。

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