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最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


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28/40

世界そのものに触れた俺、ついに“存在のルール外”へ踏み込む

 時間が、止まる。

 いや——違う。

 “時間という処理”が、一時的に停止した。

 光も、音も、粒子の揺らぎさえも凍りつく。

 だがユウだけが、動いていた。

「……これが本体か」

 低く呟く。


 視界の奥。

 装置のさらに内側。

 層を何枚も剥がした先。


 “それ”はあった。


 形はない。

 だが確かに“在る”。

 空間全体に満ちるような、圧倒的な密度。


「対象:黒崎ユウ」

 声が響く。

 方向はない。距離もない。

 ただ、直接“認識”に届く。


「規格逸脱」

「干渉過多」

「存在不整合」


 評価が並ぶ。

 感情はない。

 ただの“処理”。


「排除対象に指定」


 ユウは、笑った。


「やっとかよ」


 ずっと感じていた。

 上位存在も、管理者も——

 どこか“中間”だった。


 だがこれは違う。


「お前が一番上だな」


「誤り」

 即答。


「“上”という概念は存在しない」


「じゃあ——」

 ユウは一歩踏み出す。


「全部か」


 沈黙。


「肯定」


 その瞬間。


 世界が、“反転”する。


 上下が消える。

 距離が消える。

 因果が、ねじれる。


「……っ」

 さすがに、ユウの表情がわずかに歪む。


 攻撃じゃない。

 もっと根本的なもの。


「存在定義、書き換え開始」


 ユウの“輪郭”が揺れる。

 体ではない。

 “ユウという存在そのもの”。


「……面白いな」

 歯を食いしばりながら、笑う。


「俺を消すんじゃなくて——」


「最初から“いなかったことにする”のか」


「効率的」


 淡々とした返答。


 ユウの記憶が揺らぐ。

 過去が薄くなる。

 選択が消える。


「ユウ!」

 スライムの声。


「存在保持、限界!」


「……黙ってろ」

 ユウは低く言う。


「今、いいとこだ」


 崩れかける意識の中で。


 ユウは、“見る”。


 今までよりも深く。

 もっと奥へ。


 世界そのものの構造。


 いや——


 “ルールを決めているもの”。


「……ああ」

 理解する。


「お前、ルールじゃないな」


「……」

 一瞬の沈黙。


「“ルールを選んでる側”だ」


 ほんのわずか。

 世界が、揺れる。


「観測精度、上昇」


「いいね」

 ユウは笑う。


「なら——」


 手を伸ばす。


 触れられる距離じゃない。

 だが関係ない。


 “繋がっている”。


「俺も選ぶわ」


 その瞬間。


 ユウの中で、“何か”が外れる。


 スキルでもない。

 上書きでもない。


 もっと原始的な——


 “選択”。


「——変更」


 世界が、止まる。


 今度は、さっきと違う。


 完全な静止。


 そして——


 “分岐”が見える。


 無数の可能性。

 無数の結果。


 その中から、ひとつを“選べる”。


「……これか」


 ユウは、笑う。


「最終段階」


 スライムが、かすれた声で言う。


「“存在選択権”」


「いいじゃん」


 ユウは、崩れかけた自分を見る。


 消えかけている。

 だが——


「このまま消えるのは、つまらん」


 手を伸ばす。


 “分岐”の一つへ。


 それは——


 “消えない未来”。


「選択」


 その瞬間。


 ユウの存在が、再構築される。


 過去が戻る。

 記憶が戻る。

 輪郭が、強くなる。


「……はは」


 ユウは息を吐く。


「効かねえな」


 だが——


「……確認」

 世界の声。


「適応」


 次の瞬間。


 “分岐そのもの”が、消える。


「は?」


「選択肢、削除」


 ユウの目が、細くなる。


「……なるほどな」


 笑う。


「チート対策、ちゃんとしてるじゃん」


 だが——


「なら」


 さらに一歩、踏み込む。


「“選択肢ごと作る”だけだ」


 空間が震える。


 スライムが叫ぶ。


「それは——」


「やめろ」

 未来のユウの声が、どこかから響く。


「それやると——」


 一瞬の間。


「“完全に戻れなくなる”」


 沈黙。


 だが。


 ユウは、笑った。


「最初から戻る気ないって言っただろ」


 そして——


 手を、さらに奥へ。


 “世界の選択領域”そのものへ。


 触れる。


 その瞬間。


 ユウの体が、光に変わる。


 存在が、ほどける。


 スライムが叫ぶ。


「ユウ!!」


 だが——


 ユウは、止まらない。


「面白いな」


 笑いながら。


「ここまで来ると——」


「全部、自分で決められる」


 世界と、対等。


 いや——


 それ以上へ。


 物語は、最終局面へ突入する。

 “存在そのものを書き換える戦い”が、始まった。

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