表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スライムと契約した俺、気づけば全スキルを支配していた~ぷるぷる相棒が実は最強すぎる~  作者: ローナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/40

限界を越えた俺、スキル統合で規格外へと進化する

踏み込んだ瞬間、世界の輪郭が変わった。


 音が遠のく。色が淡くなる。

 代わりに、“流れ”だけがくっきり見える。


「——今だ」


 ユウの中で、何かが噛み合った。


 《俊敏》《強靭》《硬化》《剛力》《黒炎魔法》。

 バラバラだった歯車が、ひとつの軸に揃う。


「統合臨界、到達」


 スライムの声が、やけに澄んで聞こえた。


「複合運用から——“統合”へ移行」


「……やれ」


 短く命じる。


 次の瞬間。


 全スキルが“別々に動く”のをやめた。


 ひとつの意思みたいに、まとまる。


 力が、濁らない。

 無駄が、消える。


 ただ純粋な“出力”だけが残る。


 ――《統合スキル》仮生成


「……いい」


 ユウは笑った。


 体が軽い。

 それでいて、重い。


 矛盾が同時に成立している。


「来たな」


 男が構える。


 さっきまでとは違う。


 明確に“警戒”している。


「それがお前の答えか」


「そういうこと」


 ユウは一歩踏み込む。


 ——消えた。


「……っ!?」


 男の目が見開かれる。


 次の瞬間、背後。


 拳が振り抜かれる。


 ドン、と低い音。


 男の体が、わずかに揺れる。


「今のは——」


 驚きが混じる。


 初めてだ。


 この男に、確かな“手応え”が入ったのは。


「まだいくぞ」


 ユウは止まらない。


 動きが滑らかだ。


 考えていない。


 体が“最適解”を勝手に選ぶ。


 踏み込み、回り込み、打つ。


 すべてが繋がっている。


「……いいな」


 男が笑う。


 だが——


 完全には追いつけていない。


 反応が、わずかに遅れる。


 それだけで、十分だ。


「取る」


 ユウは懐に潜る。


 今までより、さらに深く。


 心臓に近い位置。


 そこに、触れる。


 ビリッ。


 今までで最大の衝撃。


 視界が白くなる。


 だが——


 離さない。


 掴む。


 引きずり出す。


 ――《戦闘適応》解析開始


「……これか」


 男の強さの核。


 状況に応じて最適化される力。


「負荷、極大」


 スライムが警告する。


「統合状態と干渉」


「関係ない」


 押し込む。


 融合する。


 拒絶をねじ伏せる。


 ――《戦闘適応》統合完了


 静寂。


 一瞬だけ、時間が止まる。


 そして——


 ユウの目が開く。


「……見える」


 すべてが。


 男の動き。重心。次の一手。


 未来が、薄く透けているみたいに。


「そうか」


 男が小さく呟く。


「そこまで行ったか」


 声に、わずかな興奮が混じる。


「終わらせる」


 ユウは踏み込む。


 速い。


 重い。


 そして——正確。


 男の攻撃を最小限で受け流し、

 最短で懐に入り、

 最大効率で打ち込む。


 ドン。


 ドン。


 ドン。


 連続で入る。


 初めて、男の体が大きく後ろへ下がる。


「……はは」


 男が笑う。


「やるじゃねえか」


 口元から血が流れている。


 それでも、笑っている。


「これでどうだ」


 ユウが構える。


 黒炎を纏った拳。


 だが、もう“黒炎”じゃない。


 統合された、別の何か。


「名前をつけるなら——」


 小さく呟く。


「“支配”だな」


 その一撃を、放つ。


 轟音。


 地面が揺れる。


 衝撃が広がる。


 そして——


 静まる。


 男は、その場に立っていた。


 だが、動かない。


 数秒の沈黙。


 やがて——


 ゆっくりと、膝をつく。


「……負けだ」


 はっきりと、言った。


 風が吹く。


 戦いが、終わる。


「……やったな」


 スライムが静かに言う。


「ああ」


 ユウは息を吐いた。


 体が熱い。


 だが、壊れてはいない。


「次の段階、到達」


「まだ途中だ」


 ユウは空を見上げた。


「こんなもんじゃない」


 もっと上がある。


 確信できる。


「いい目だ」


 男が言う。


 膝をついたまま、笑っている。


「その先、行ってみろ」


「言われなくても」


 ユウは軽く答える。


 その日。


 街で一番強い男は、敗れた。


 そして——


 新しい“頂点”が生まれた。


 だがそれは、終わりじゃない。


 始まりだ。


 もっと強い力を、奪うための。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ