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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第二節 学びは交響曲

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103.先輩と後輩。模擬戦のお誘い。



時刻は、朝まで遡る。

朝食が終わり、学園の一日についての説明などを聞いた後、特別クラスについての話になった。


「……私達が所属しているクラスというのもあるが、中等部の特別クラスに、編入してもらう予定だが、問題ない、ね」

ユディット先生はこちらの様子を伺っている。

「ん?…ああ、ナデシコもいいよな」

「問題ないわよ?…それにしても、この前、中学を卒業したと思ったら、逆戻りね」

「仕方ないさ、『ここ』では俺達は一年生だ」

いや、正確には一ヶ月ちょいだが。

「分かってるって、基礎を疎かにして、迷宮に挑む程、頭に血は昇っちゃいないわ」

そもそも、俺達が魔法を習う動機は、アーテナイに言われたからではない。

もう一つの手掛かり、迷宮都市の探索の際に、魔法を身につけたほうがいいと判断したからだ。

それを、俺もナデシコも忘れていない。

ユディット先生の近く居る事で、別の手掛かりを手に入れられるかもしれないしな。


「……キミ達の年頃の人間は、数年の年齢の上下に意味を見いだす、と思っていたが…」

ああ、そういう意味だったのか。あいにく、年下に混じって勉強するのが嫌、って程ガキじゃない。

「『こっち』にもあるのね、先輩後輩…」

「ま、これまで通り、極力、目立たなければいいだろう」

「そうね」

「…学園長、この人達、自分達が居るだけ大目立ちって、自覚ありませんよ?」

「……とりあえず、クラス内での理由付けで十分だろう。…ワタシの蔵書目的で、学院生も学園内には来るから、ね」

俺達は進んで目立とうとしてるわけではない。ただ、そそられる方に流れると結果的に目立ってしまうのだ。


というやりとりが、今朝あったのだ。


俺達の前のクラスメイトに目をやる。皆、ナデシコより一回りほど小さい。

皆、整った顔立ちをしてるが、美人、というより可愛らしい、という感想が先に来る。

中学生の頃は、小学生が子供に見え、高校生が大人に見えた。皆から見た俺達は異物なのだろう。質問もやむなしだ。


「……その質問、ワタシが答えよう、メグくん。…ワタシが、必要と判断し、許可した。…以上だ」

何も説明してない。いや、説明されても困るのだが…。


俺達は、基本的に異世界の事情は隠している。正気を疑われる類いのものだし、かかる火の粉が増えるのも厄介だ。

この世界の人たちは、基本的に善人だが、若干の警戒は残してる。

信頼できる人物か、仲良くなったら、別にいっか、のガバガバセキュリティなのだが。

気付けば、事情を知る人物も両手を越えてる。まだまだ増えそう。


「学園長自ら……分かりましたわ。中断させてしまい、申し訳ありませんでしたわ」

メグは何か話す訳にはいかない、深い事情があると、思ってくれたようだ。逆に申し訳ないな。


「気にしないで、メグ。じゃ改めて、私はナデシコ、得意は強化ね。魔物との戦闘が何度か、生き残れたから運はいい方だと思うわ。今まで本格的な魔法の使用は禁止されてたから、ここで覚えたいと思うわ」

熊、アーテナイ、巨大トカゲ、蛇の魔物の群れ、亀。どれも勝ちはしたが、たしかに運も良かった。

あ、やべっ、自然にアーテナイを魔物カテゴリに入れてた。アーテナイはそんな、か弱い存在ではない。


「俺はヤマト。得意は付与。少し変わった剣を使ってる。従者であっても、護衛ではない。後は、ナデシコと同様、だな。よろしく頼む」

刀はこちらの世界では伝わらないし、剣でいいだろう。それも自己流だし、戦いのプロ、とは言えないのだ。


「へぇ…強化、ね」

「剣、ですか…」

「まぁ、では一緒に基礎から魔法を学べますのね。楽しみですわ…」

俺達は値踏みされた、三者三様だが確かに。ナデシコはその視線を楽しげに受け止める。俺は、俺でこちらの世界の剣術に興味がある。ドワーフ達は、斧や槌が殆どだったのだ。


「……ふむ、いい傾向だ。…互いに、関心を持っているようで、なにより」

ユディット先生は興味深げに。俺達を見比べる。


「……ではキミ達、挨拶が終わったのところで、野外で交流、といこうか、な?」

「学園長?今日は基礎の座学の予定ではなかったのですか?」

「……基礎さ、座学ではなくなったが、ある種、もっとも実践的な基礎…即ち、彼我の実力差の把握…」

「凄く嫌な予感がします!」

「……模擬戦、無論、ある種の制限やルールの上で、ね。…いかがか、な?」

その問いかけに、エマ先生を除く、全員が笑顔で承諾した。


これが、この特別クラスの生徒が初めて一致団結した瞬間だった。


「ねぇ、せっかくだし、あたし達と賭けをしない?」

ライリーは、俺達を見上げる。

「いいわね、チップは?」

ナデシコは即受けていた。似てるな、この二人。

「そうですね。……呼び方、というのは、どうでしょうか?勝った方が、先輩、ということで」

イザベラは、少し考えてからそう提案した。

「なるほど、歳は俺達が上だが、先に学んでいたのは自分たち、ってか」

絶妙に嫌なラインだ。

「あら、それでは少々釣り合いが取れませんわね。わたくし達が負けたら、お兄様、お姉様とお呼びしましょう」

「「はぁ!?」」

なるほど、メグは厄介だな。二人が嫌がることを分かった上で、自分にはノーダメなことを提案してきた。その狙いは、恐らく二人に本気を出させるため、ってとこか。

「面白いわね。じゃ、それでいきましょう!今のうちに、普通に呼んでおこうかしら、ライリー、イザベラ、メグ、掛かって来なさい!」

ナデシコは楽しそう、なによりだ。



「昨日まで平和で静かなクラスだったのに…」

「……昨日までより、騒がしいが、楽しい学びになるさ。…なにせ、キミとワタシの初めての共同教室だから、ね」

盛り上がる俺達を余所にへこんでしまったエマ先生を、ユディット先生は楽しげに撫でていた。







ヤマトナデシコの事情を知る異世界人。(二人からの視点)

ラケル9人:アーテナイ、アメリアちゃん一家の4人、リニー、ベン、シェーヌ、工房長

ロニア3人:ネリー、フルリス、ユディット

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