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第11話 能力解放

 

 ここにいる七人に意識を集中していたから少し気づくのが遅れてしまった。

 ここから直線距離で約100メートル程だ。


 俺は気配のする方向へ向いた。


 ザッザッザッ


 森の中からやってきたのはザックだった。

 ルーラは杖を持ってすぐに戦闘ができるように切り替え、ギルドの男達はやってきた顔を見て恐怖している。



 「アレン何をしているのかね。」


 「ザックか、ってよく分かったな。」


 「君が眠ることなく森の中へ行ったことは気がついた。」


 こっそり抜け出したつもりだったけどバレてたか。


 「気づいてたのか。」


 「まぁそれはいいんだが、少々目立ってしまったね。」


 「目立ったって?」


 「そこの七人に私達の強さを知られてしまった。周りの人に私達のパーティは強いと噂されて目立つのはこれからいろいろとめんどくさい。」


 「あなた、私達をどうするき。」


 ルーラが青年の声で聞いた。

 青年の声で喋るなら、せめて男性口調にして欲しいと心の中で思った。


 「そう怖がらなくてもいい。ただ一部の記憶を消させてもらうだけだよ。」


 「き、記憶を消す!?」


 俺とルーラかハモった。

 それを聞いた戦闘意志のない男たちが反応する。


 「き、記憶を消すだと?」


 「そうだ。」


 「お前そんなことができたのか?」


 「できるよ。私になら。」


 「そ、そんな魔法は今現在存在しない! ま、まさか……」


 ルーラの顔が引きつっている。


 「そのまさかだよ。私は能力保持者だ。」


 「の、能力保持者なのか!?」


 ルーラとギルドの男達が目を見開いて驚いている。


 ふむ。

 能力保持者ってそんなに凄いのか…… 

 まぁ確かに能力保持者のだいたいがSランクにいるんだもんな。

 これは余程の事がない限り、俺も能力あるよーって言わないようにしないとな。


 それよりザックは記憶を消す能力があるんだな。

 それ、けっこう最強じゃね?


 「俺たちはそんな奴らを相手にしてたのか……」


 ギルドの男達はザックが能力保持者と知り完全に戦意消失し、ぐったりとした。


 「ザック、自分が能力保持者って事言って良かったのか?」


 「大丈夫だよ。その記憶も一緒に消せばいいだけだ。」


 ほほーう。

 怖いおっさんなことだ。


 「ねぇ、もしかしてあなたも能力保持者?」


 ルーラが俺に尋ねてきた。

 少し怯えている様子だ。


 「能力保持者じゃないよ。」


 「…………」


 「たとえ能力を持っていたとしても意味の無い人殺しなんてしないよ。」


 彼女はまだこちらを睨んでいる。


 「ほら大丈夫だよ。さっきまで普通に話してたじゃん。俺がそんなに悪そうな人に見える?」


 「……まぁそうね。あなたは腹がたつけど悪い人だとは思わないわ。」


 さっきから彼女に対して嘘ばかりついて、なんだか申し訳ない気持ちが込み上げてくる。


 「すまない……」


 「何か言った?」


 「何も言ってないよ。――なぁザック、この魔術師には能力使わないでくれないか?」


 「どうしてだ?」


 その理由。

 ただ単に自分が仲良くなれそうな人を見つけた。

 少しの間だけど彼女が俺と話をしていた記憶を消されてしまうのはなんだか嫌だった。

 でもそんな理由ではザックは納得しないだろう。


 「俺達はまだこの街について詳しく知らない。だからここで恩を売る代わりに、この街にいる間こいつから協力を得る。この魔術師はAランクらしい。いろいろ融通が効くかもしれない。」


 「ちょっと目の前に本人いるんですけど!   そんなこと本人の前で言うもんじゃないでしょ! というか、そこのあなたが能力保持者って事を今すぐ忘れたいわ! もし私がうっかりその事を誰かに喋ったらあなた達に殺されるかもしれないじゃない!」


 なるほどそう来たか。

 確かにそれが普通の判断か。

 こんな恐ろしい情報消した方が楽だろう。

 まぁこいつには我慢してもらおう。


 「確かにアレンの言う通りだな。……そうだな、君は記憶を消さないでおこう。」


 「ちょっと、なんでよ! 私の言ったこと聞いてた?」


 ザックは周囲を見渡した。


 「アレンを襲っていたようだが、その責任をまさか取らないおつもりで?」


 「く……なんで私だけなのよ!」


 ルーラはギルドの男達の方向をギロリと見た。

 その男達は慌てて視線をズラす。


 「チッ。 ――はぁ、お金で動くもんじゃないわね。」


 「まぁこれでチャラになるんだし。」


 ギロッ


 ルーラが俺を睨む。

 そして落胆する。


 「あなた達を本当に襲うんじゃなかったわ…… ん、待って。」


 「どした?」


 「あなたが私の記憶だけは残すって提案しなかったら良かったのよね。あなたのせいだわ! やっぱりあなたは悪人! 悪い人よ!」


 い、言い訳を考えないと……

 えーと、えーと


 「お前の記憶がないうちにルーラというAランク魔術師は男でなく女で、火、水、風の三属性の魔法が使え、歳は19歳で冒険者なりたての時は、周りに信じてもらえなくて苦労したって事を知っている人物がいたら怖くないか?」


 「た、確かに。」


 よし。

 俺は彼女が視認できない速さでガッツポーズをした。


 「だろ? だから記憶消されない方がいいかもよ。逆にギルドの男からはお前が女だったって記憶が無くなるんだからさ。」


 「……うん。確かにそうね、分かったわ。あなたの口車に乗ってあげる。」


 「ありがとう。」


 「話はいいかな?」


 ザックが尋ねた。


 「いいわよ。」


 「君は私達がこの街にいる間、協力してくれるんだね?」


 「協力するわ。」


 「よし。――」


 ザックはギルドの男達の方向を向いた。


 「今から君達の記憶を消す。」


 男達は唾を飲み込む。


 「そう心配しなくていい。痛みはないし、まして死ぬようなことも無い。君達は明日なぜここにいるんだという疑問が生まれるだけだ。だから安心したまえ。」


 そう言ってザックは内ポケットから白いハンカチで包んだ薄紅の花を取り出した。


 「まず、君達には眠ってもらう。」


 そう言って茎をつまんで息を吹いた。

 すると息を吹いた方向にいた男達はパタパタと倒れていった。


 「何その花。」


 「これは睡眠花(すいみんばな)と言って魔力を加えると効果が出るのだよ。この花の匂いを嗅いでしまうと眠たくなるんだ。」


 ザックの言う通り、男達は気持ちよさそうな顔で地面に倒れている。


 そんな花があるのか。

 ふむふむ。

 それはとても興味深い。

 というかそんな花いつ拾ったんだ? 

 もしかして、100年前の花か? 

 ずっとポッケに放置されてた? 

 おっさんの臭いも染み付いていそうだが、ザックの場合はお高い香水の臭いが染み付くだろう。


 これはただの外見から見た一個人の見解であり、事実と異なる場合があります。


 結局何が言いたいかと言うと、ザックはイケてるおっさんだということ。



 「そんな花があるんだな……」


 「あぁ。」


 ザックは花をハンカチに包み、内ポケットにしまった。

 その後右手を前に出し手を広げ、目をつぶった。


 そして目を開けて言う。

 開けた右目は赤色に染まっていた。


 「想起虚化(メモリーアウト)。」


 周囲の空気が少しゆれる。

 他に目立った様子はない。


 「――これで彼らの記憶は消えたよ。」


 こちらを見た時にはいつもの青色の瞳に戻っていた。


 「……え、もう終わったのか?」


 「あぁ、完璧だ。」


 その能力強すぎないか…… 

 相手が気が付かない内に記憶を消せるなんてこれはとんでもないな。


 「そ、その能力強いな。」


 「まぁ弱点もあるよ。」


 「弱点? どこが?」


 「まず特定の記憶は消せない。」


 「え? 今消したんじゃないの?」


 「私は指定した時間の記憶を消す事しかできない。だから今は私達がギルドの建物に入る時から今現在までの記憶を消したのだよ。」


 「それでも十分強いよ……」


 「そ、そうよ! そ、そんな能力十分強いわよ! 強すぎるわよ!」


 今まで呆然と見ていたルーラがザックの言葉を聞き、叫んだ。


 「でも、消したい記憶がいつ起こったのか知らないと消すことができないのかしら……」


 「そういう事だね。――でも君はこの能力の弱点を知らなくていいかな。」


 ザックは彼女の方を向き、目を閉じた。

 そして目を開くとまた赤色の目になっていた。


 「え、ちょっ……」


 ルーラはザックのいきなりの対応に戸惑い、目をつむり、両手で攻撃をガードするポーズをとったが、そのちょっとした抵抗は全くの無意味だった。


 「想起虚化(メモリーアウト)。」


 「……あれ、私……」


 ルーラは少し混乱しているようだ。

 俺はその光景を横で見ていが、いきなりの事すぎて驚いていた。


 「あ、えーっと、今ので彼達の記憶は消えたの?」


 ふむ。

 ザックが初めて能力を使った後の記憶までがあるのかな? 

 恐らく弱点についての話だけが消えたのだろう。


 「そうだ。」


 「そ、それはやばいわね…… これは絶対敵に回しちゃ行けない相手だわ、これは絶対敵に回しちゃ行けない相手だわ、これは絶対……」


 壊れてしまったのだろうか。自分に暗示をかけるように同じ言葉をブツブツと繰り返している。


 彼女は俺が驚いている記憶が消えているから、俺も驚いたおいた方がいいか。


 「す、凄いな。(棒)」


 やばい、俺演技力ゼロだな。


 「よし。では彼達の処理をしよう。」


 ザックは倒れている男達の方へ行ったので、俺も青ざめた彼女はおいておいて、手伝いをすることにした。


 ザックは片手で二人の襟を持って、計四人の男を運んでいる。俺は片手に一人ずつだ。


 「じゃあ、私達のテントがある場所まで戻ろう。」


 そうしてテントがある場所まで歩くことにした。

 ルーラは後ろから気が抜けたようについてきているが、いつか元気になるだろう。

 知らないけど。


 まだ空は暗い。

 テントにつくぐらいに日が開けるだろう。






 ---ルーラ目線---






 私は一番相手にしてはいけない人たちに手をだしてしまった。

 ただ私はストライド達に金で雇われただけだった。その取引金額にやられてしまった。


 なんなのよこのパーティ…… 

 新人冒険者じゃないの? 

 全く聞いていた話と違う。

 上級者のお前じゃ勝てるとか馬鹿じゃないの? 


 男達が簡単にコテンパンにされたのを見て、その新人冒険者の戦闘能力に興味を持った。

 だから私から戦闘意思を示して、ちょっとこの人と戦ってみたいと思ったのがほんとに愚かだった…… 


 まっっったく歯が立たなかった。

 しかも彼はまだ本機を出していない様子だった。

 魔法も何も使ってない、ただ単純的な物理攻撃。

 私の魔法防壁もパンチで破壊。

 異常な程の身体能力。

 彼の動きを目で追えない場面も多々あった。


 私目が悪くなっちゃったのかしら…… 


 な訳はない! 


 あのアレンという化け物が化け物なだけだ。


 そして何? 

 後から来たザックという男は。

 ちょっと容貌はイケてて、一目惚れしそうになっちゃったけど、一気に引いた。


 まさかの能力保持者? 

 でもそこは百歩譲って能力保持者であることは受け入れよう。

 能力保持者は確かにいる。

 たまーーーに見かける。


 でもね、その能力が強すぎるわ! 

 何あの能力。

 ほんとに何? 

 記憶を消せる? 

 チートよチート! 

 絶対あいつ自分に都合の悪い事があったらすぐ人の記憶を消して無かったことにするんだわ! 

 私もその能力ほしい!


 昔、まだ私が女で活動してた時、野営でパーティの男にトイレ中を見られてしまったことを忘れさせたいわ! 

 もうあれは屈辱よ……


 ってそんなことはもういいわ! 

 それは私の中では無かったことにした話でしょ! 


 もうとにかくこのパーティはやばい。

 逆らったらダメ。

 でも襲ってしまったのはもう過ぎてしまった過去のこと。

 恩を売らなきゃ。

 返さなきゃ。


 Aランクで魔術師。

 私はこんな肩書きで満足してる場合じゃないわね。










 名称 ザック・リチャード


 種族 魔人族


 称号 魔王の守護者


 能力 『想起虚化(メモリーアウト)

 『魔力遮断』


 魔法 火霊魔法


 耐性 不明





 名称 ルーラ


 種族 人間


 称号 Aランク魔術師


 能力 なし


 魔法 『火霊魔法』

 『水霊魔法』

 『風霊魔法』


 耐性 不明


 その他

 女ということを隠して男として生きていた。紫色のローブを身につけて、木の杖を持っている。




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