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沙也加と僕  作者: ユキから
33/33

新しい始まり

ホテルの部屋に戻った時、日付が変わった。


「うふふ、ねえトモ君、これって夢じゃないよね?」

サヤカが、ちょっとはにかみながら部屋の中へ入って行く。

『多分・・・現実だと思うよ。』

「多分?あっ、ねえ、ケーキあるよ。誰か用意してくれてる。」

『おっ、そっか、お祝いだもんな。嬉しいなぁ・・』


二人っきりの部屋、ソファに座る時、サヤカが甘えるように腕を絡めてくっつくように座ってきた。

「トモ君、一つ聞いていい?」

『ああ、なんでもいいよ。』

「突然の結婚、後悔してない?あ、というか、後悔しない?」

『しないよ、するもんか。僕さぁ、いっつも思ってた。サヤカの前から隠れるようになって、ヒヤヒヤしてた。そんな時、いつも考えてたのは、再会した時、すぐにプロポーズしようって。』

「ひど〜い、再会してから何ヶ月?全然ウソに聞こえる。」

『ウソじゃないよ、僕って、いざとなると、う〜ん、中々勇気が出なくて、ごめん。』

「うう〜ん、トモ君、昔のまんまだね。ある意味、よかった。」

『おっ、ある意味?』

「えへへ、すぐに言われたら、軽いよね。都会に染まってないってことでしょう?」

『そ・・染まりようがないよな。友達が少ないから、うん、特に男性がいないよなぁ。だからじゃない?影響を受けてないのは。』

「よかった、私にとって最高のことよ、ありがとう、友達少なくて。」

『おいおい、それって褒め言葉?アハハ、でもいいか。』


ケーキを食べようとした時、なんとなく雰囲気が・・・優しいキスが・・・


「うふふ、いいね。」

『あ、そうだ、どうする?』

「ん?何が?いいよ、すぐに?」

『おっ、ち、違うよ。入籍したことを発表する?どうしようか?』

「あ、ホントだ。トモ君の結婚だと、ファンの人たちから・・・わぁ、どうなるんだろう?」

『こら、僕だけじゃないだろう、サヤカの方が大変だろうが?今、一番勢いのあるところだぜ。』

「二人共ってこと?どうする、秘密にしてようか?」

『それだって、バレたときの影響が大きいだろう?お互い、ファンの人たちに祝福されるような発表って、無理かな?』

「誰も裏切ってないから、気にすること無いんでしょう?けど、そうもいかないか?」

『いっそ週刊誌とか・・・てのも、大騒動だろうな?』

「どう、沙織さんに全てお願いするって。」

『ん?どうお願いするんだ?』

「どっかで暴露してくれないかなぁ?大爆笑、とってもらうとかだったら?」

『そりゃいいよなぁ。でもさ、引き受けてくれるかな?』

「沙織さん、いたずら心でやってくれるんじゃない?あ、でも、その後が三条優也さんとしての新しい顔に変身しなければね。」

『ん?あ、そうだな、お笑いを取り入れなきゃ。ま、元々頭、そんなに良くないから、すぐに対応出来る?』

「ねえ、私もイメチェンするね。えへへ、どうしようかなぁ?おバカキャラって、結構難しそうだよ。」

『サヤカは、そこまでしなくてもいいんじゃない?そうだな、もっと笑顔を磨くってのは?』


あれこれ二人で時間が経つのも忘れ、ファンの人たちに納得してもらえる方法を考えていた。


「ねえ、明日、沙織さんにお願いすることにして、もっと肝心な話ししない?」

『肝心って、結婚式のこととか?』

「それはいつでもいいの。どこに住むの?」

『そうだよ、それを考えなきゃ。今のところは、なんか新婚向きって感じじゃないな。せっかくサヤカと楽しい毎日を過ごすんだから、どっか探そうか?』

「あのね、私、一つだけワガママ聞いてくれる?」

『ああ、もちろんだとも。なに?』

「お部屋のことなんだけど、最低でも2LDKにして欲しいの。」

『おう、分かった。けど、なんでそれがワガママ?』

「えへへ、かおりと真由美。ずっと前からサヤカが結婚したら、お邪魔虫って言われても絶対に泊まりに行くから、部屋を用意するようにって、エヘヘ、約束してるの。」

『なんだ、そういうことなら、ワガママでも何でもないよ。よし、最低限の希望が決まった。』

「ありがとう。やっぱり優しいね。」

『優しいのがこれ?もっと優しくなれるんだけどなぁ・・・』


『そうだ、同居とかは、家が決まらないと無理じゃん。せっかくだからと言うのも変だけど、沙織さんが公表してくれるまで、これ以上に進まないってのはイヤかい?』

「あは、おかしい。トモ君ったら、もう沙織さん頼みに決めたみたい。」

『おっ、そう・・・だな。アハハ、すっかり人任せにするのが身に付いたようだな。』

「と言うことは、当分はチュウまで?う〜ん、でも、いいよ、その事も沙織さんに報告するよ。」

『それは僕から言うよ。』


「結婚・・・したんだよね、えへへ、そう言えば、市役所の人、バレなかったよね。」

『名前が本名だし、あ、でも、沙織さんの名前を確認した時、ちょっと小首を傾げてたんじゃないか?』

「あ、そうそう、その時、私たちを二度見してた。不思議だったんかなぁ?」

『ま、そこまで有名じゃないからね、いい思い出にしとこうよ。』

「うん、はっきり覚えてる。」


それから、眠ることなく新居の話しや、家具とか食器、部屋着の話しとかまで楽しい話題で盛り上がった。


朝、それぞれにシャワーを浴びて、朝食の用意がしてあるレストランへ降りて行った。

そこはバイキング料理で、開店の数分前に着いたので入り口で待っていた。

そして、開店と同時に中へ入る。

『あはは、子供みたいだ。』

「だって、お腹すいたもん。お夜食がケーキと飲み物だけだったんだもん、当然でしょ?」

『まあ、確かに。今、言ったのは、修学旅行に行けなかったから、色々想像するクセがあってさ、なんか並ぶんじゃないかと、そういう気がしたんだ。』

「修学旅行か・・・っていうか、ほとんど恋人みたいなお付き合い、してないね。うふ、なのに、お嫁さんになっちゃった。なんか、順番が無茶苦茶だよ。」

『確かに。取り敢えず、いろんなことを飛ばして、大きな目標に到達した。これから、抜けたことを一つ一つ探して埋めて行こう。』

「うん。あはは、もう焦ることなんか何もないもんね。たっぷり甘えちゃうからね。」

『いいぞ、そういうの夢に考えてた。』

「夢に?ねえ、どんな風になってた?」

『あはっ、ちょっと言えないな。なんか、サヤカ、怒りそうだ。』

「わあ、そんなに酷いことなの?怒んないから教えてよ〜。」


僕の腕に絡みつくようにしてきた時、レストランのドアが開いて中に入れるようになった。


中に入ると、和食と洋食の2種類が用意されていて、美味しそうに、しかも種類が豊富に並んでる。

「トモ君、どっち?」

『そうだなぁ、いつもはパンと飲み物くらいだから、和食にしようかな?』

「あ、じゃあ私、洋食にする。少しずつ交換して食べよ。」

『お、いいね。じゃあ大盛りにすっか。』


バイキング料理の良い所をふんだんに使ってみた。

朝食なのでお肉やお魚には限りがあるが、種類が豊富なのでいっぱいお皿に盛り付けたくなる。サクラのお皿を見ると、同じぐらい盛っている。

「ねえー、トースト食べるよね、何枚?」

『ご飯あるから、1枚でいいよ。』

「分かった。いっぱいになったから一度席に置いてくるね。」

『じゃ、僕も。』

「ウフ、優しい。」


いつのまにか、人が増えていて少し並ばなければいけなくなっていた。

ただ、今のところここにいる人に気付かれていないようで、気兼ねなくトレーをいっぱいに出来た。

「ンフ、すごい。いっぱい取ったね。」

『ほんとだ、これ、全部食べれる?』

「食べるよ、ユウヤは無理なの?」

『いや、大丈夫だよ。けど、周りの人たちを見てごらん、うちの半分くらいじゃない?』

「ねえ、それより見て!玉子だけでも、スクランブルエッグ、目玉焼き、玉子焼き、ゆで卵・・ん?生卵?」

『あ、これ?卵かけご飯用にだよ。あ、そっか、和食コーナーの全部だけじゃなく、洋食コーナーのも全部だったんだ。アハハ』

「スクランブルエッグとかゆで卵、美味しそうだったんだよね。ねえ、卵かけご飯、一口頂戴ね。」

『お、いいよ。ようし、頂きます。』


二人で両手を合わせて声を揃えた時

「ちょっと待った。一緒に食べるから、いいでしょう?」

沙織さんと圭太さんの二人だった。

『あ、おはようございます。手伝いましょうか?』

「いいから、すぐに来るから待ってて。」


さすがに沙織さんだと、周りがほっておかない。

すぐに騒然となって、早朝から何事かと訝る人もいる・・・そうでもない?

多分、ついでに僕とサクラも注目されていて、声がかかるようになって、面映ゆい顔のままお辞儀を繰り返していた。

「ねえ、携帯は?」

沙織さんがトレイを置きながら、話してきた。

『あ、僕は部屋に。』

「あ、私もお部屋・・。」

「でしょうね、一緒に食べようと思って電話したのに、どっちも繋がんなくて。」

『すみません、ごめんなさい。開店前に並ぼうと思ったら、携帯のこと、すっかり忘れてました。』

「いいのよ、怒ってるんじゃないから。」


朝からすごいオーラを出しているのだろう、他の席からの視線が異常なくらい多くて、食事に集中するのが難しい。

「寝れた?」

沙織さんが、周りのテーブルには聞こえないくらいの小声で言ってきた。

『いえ、二人とも起きてました。』

「あら、ウフフ・・」

と言って圭太さんと目配せして、ニヤッとしている。

『あはっ、勘違いさせちゃいました。ずっとこれからの事を話し合ってました。』

「ん?ホント?まさか?」

『あ、多分、まさかだと思います。沙織さんが今想像している通りだと思います。』

すると、目を大きく開いて沙也加に

「サクラ、本当なの?」

沙也加は少し照れながら言ってる。

「はい、色々話してると、簡単じゃないことが分かって相談していると朝になってました。」

「あらあら、よく我慢出来たわね。ま、焦ることもないか?で、何が簡単じゃないの?」

僕はもうここだと思い、沙織さんに面倒を見てもらおうと決めていた。


『どういう風に公表しようかと。あと、住むところとか。』

「発表か?で、どうするつもり?」

『あ、いや、実際のところ、夜中に相談する人もいないので、結論は・・・』

少しタイミングを外すようにして

『沙織さんにお願いすることに決めました。』

沙也加の腕を引っ張り、頭を下げて『よろしくお願いします。』と、声を揃えた。


「まあ仕方ないわね。見届け人だもんね、ただ、社長さんとかに相談してからにしよう。私は最後を引受けるから。あなた達のスポンサーとかも問題ないようにしてもらわないとね。」

『あ、はい。それじゃ申し訳ありませんが、そのようにさせて頂きます。』

「うん、乗り掛かった船、そのかわり、私になったら破茶滅茶になること、覚悟しておきなさい。」

『はい。それが楽しみで、夕べからワクワクしているのは、エヘヘ。』

「じゃあ一つ解決した。あと、住むところ?


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