片想い
「ねぇサヤカ、どうするの?」
「うん、もう時間ないね。」
「そうだよ、残り4ヶ月。年が明けたらすぐに入試だよ。」
野崎沙也加は、一番の親友矢口かおりに、心配事の相談に乗ってもらっていた。一緒になって、ずっと心配してくれている優しさが、とっても嬉しいと思っていた。
「あ〜じれったい。何とかしようよ。」
「かおりか焦ることないよ。でもねぇ、何とかしたくても、何ともなんない。多分、ダメなんじゃない?ア〜ア・・・」
「溜め息なんてやめてよ。・・・じゃあ、諦める?」
「イヤ〜‼︎ な〜んて、無理なんだよう〜。」
「バカな子。」
12月に入った。
雪国では、もう何十cmの雪が降ったとか、JRの足が乱れているとかをテレビのニュースで報じている。
今日は土曜日。学校が終わって、私サヤカの家に二人で帰ってきた。
「ねぇかおり、彼、どこを受けるんだろう?」
「知らない。自分で聞いてみたら?」
「つ、冷た〜い。何、今のクールな言い方?酷くない?」
「だってサヤカが悪いんじゃない。」
「私?」
「そうだよ、ずっとだよ、こんな状況。もう、1年以上になるのよ。」
「そ、そうだね。」
「だから修学旅行のとき、もっと・・・今さら遅いね。あ〜ぁ、私まで溜め息が。」
かおりったら、呆れた顔で
「最後に話したの、いつだっけ?」
私はハッキリ覚えている。
「バスケの大会。」
「7月ってこと?」
「ほら、あの時だよ。試合の後、卒業写真用の記念撮影、絶対隣をキープしたくって。」
「そうだよ、思い出した。サヤカ一人だけ男子の方にいるんだもん。驚いたよ。」
「エヘヘ、あの時、トモ君さあ、一段高いところに立ってたから、見上げたら、すぐに手を出し引っ張り上げてくれたのよ。ドキドキしちゃった。」
「はいはい、その時、彼の愛を確信したんだよね。」
「ビビーッってきたんだけど。」
「それから・・・現在に至る。素通りで。」
「素通り言うな‼︎」
お母さんがココアとケーキを運んできてくれた。
「なぁ〜に二人して、暗いわよ。」
「サヤカのいつものアレですよ。あ、ケーキ、頂きま〜す。」
「例のアレ?そんなことで大丈夫、もうすぐ受験よ?」
「それは大丈夫。」
「ならいいけど、かおりさん、迷惑でしょう?」
「乗りかかった船。そのうち、沈めてやります。」
「いつでも沈めてやって。彼に好きだから、付き合ってって言うだけなのにねえ。」
「お母さんの言うとおりですよ。引っぱたいていいですか?」
「どんどん叩いてやって。ところでかおりさんは、好きな人いないの?」
「こんなサヤカを見てるでしょう。自分でなんて、考えられなくて。」
「ごめんなさいね。告白してフラれたっていいじゃない、ねえ?」
「それがイヤなの。」
「その彼、誰か好きな人いるんじゃないの?」
「それならいないですよ。少なくとも学校には。ね、サヤカ。」
「うん。 多分ね。でも、本当のところは分かんないよね〜。」
「いないよ。大丈夫だよ、毎日観察してるじゃん。」
「あ、でもいないからって、私のことを意識してるんでもないよ。あ〜、モヤモヤが治んない。」
私が好きな人?男子バスケ部で副キャプテンだった人。2年の時から同じクラスなのに、ほとんど話し掛けてくれたことがない。
彼の名前は 山城友哉。身長170cm、体重55kgくらい?
実は、殆んど正確な情報ではない。でも、メッチャイケメンなの。その上、優しいの。
「寒いなあ。お前、よく平気だな?」
『このくらい何ともないよ。』
「何もこの寒空の下、外で遊ぶことないと思うけど?」
学校帰りに、公園の広場に立ち寄ったボクと親友。
ボク、山城友哉、親友は川村健一。軟式テニス用のゴムボールでキャッチボールを2時間近く続けていた。
「中3にもなったら、他にやることあるんじゃねえか?」
『何がある?』
「例えば、デートとか?」
『相手もいないのに?』
「そりゃあ・・・でもさ、友なら誰かに声を掛ければ?」
『誰かにって、誰でもいいってわけには行かねえよ。』
「じゃあアイツだ。」
『無理だって。・・・仕方ねえ、今日はこの辺で止めるか?』
そろそろ夕暮れが近づいてきて、薄暗くなり始めていた。
「せめて風のないところへ移動しようぜ。」
『どこ?』
「俺、300円持ってる。お前は?」
『そのくらい。』
「じゃあ決まりだな。」
『ああ。』
「俺、マックセット。はい230円と。」
『ボクも、同じのを。』
女性の店員さんが、手際良くバーガー、ポテトとコーラをトレイに乗せてくれる。
それを受け取り、2階席へ。
いつもの同じ席に座ると
「なあ、俺、最近納得できねえんだけどさあ、お前のポテトの量、多くねえか?」
『ん?そんな事ねえだろ?』
「いやー、絶対多いって。」
見るからに袋の厚みも、はみ出し具合も多いって分かるが
『そんな事ねえって。』と、一応、否定してみる。
「じゃあ貸せ。数えてみっから。」
『いいよ、そこまで言うなら。』
健一は真剣な顔で、トレイの上に紙袋を破いて広げ、数え始めた。
「1,2,3,4・・・」
そして、「ほらぁ、やっば5本も多いぞ。どういうことだ?」
『たまたまだろ?僕に聞いたって。』
「いや、あの店員さんさあ、お前を意識してるんだ。」
『まさか、俺たち中ボウだぞ、ガキを意識するもんか?』
「どうだ、ああいうタイプは?」
『キレイなお姉さんって感じ?』
「やっばアイツの方がいいか?」
『ん?』
「そろそろ告らねえか?」
『だから、何度も言うようだけど無理だって。』
「何を心配してんだ?振られるのが怖いか?」
『さすがに受験前だからなぁ。ショックを考えると、今の方がいいな。』
「アイツ、どこを受験するんだろう?」
『知らねえ。』
「かおり、何見てんの?」
「生徒名簿だよ。ねえ、彼、もうすぐお誕生日だよ。知ってた?」
「うん、13日。」
「さすがに知ってたんだ。ねえサヤカ、ここがチャンスじゃない?」
「そうなんだよね、そう思ってるんだけど、どうすればいいのか分かんない。」
「メールしなさいよ。」
「アドレス知らないもん。第一、携帯持ってるの、見たことない。」
「そう言えばそうね、私も見たことない。」
「お手紙書きなよ。」
「今のご時世にお手紙?受け取ってくれる?」
「そんなの、気にしてんの?・・・サヤカねえ、あんた、ホントにイライラするわ。書いてみなよ、渡す方は手伝ってあげるから。」
「ホント?渡してくれる?」
「しょうがないじゃないの、その代わり何か奢りなさいよ。」
「うん、分かった。じゃあ書く。何、書けばいい?」
「バッカじゃない?自分で考えなさいよ、愛してるってでも書けば?」
「わぁっ、突き放した〜。」
私は、手紙を書こうと、便箋と封筒を買いに行った。
驚いたのは、その種類の多さだった。
可愛い女の子向けのが、いっぱい並んでいる。
こんなにたくさんあるって事は、今でもお手紙を利用している人が多いんだと、認識を新たにした。
そう言えば、テレビ社会だと思っていたが、ラジオを聴いている人がたくさんいるということも聞いたから、同んなじだね。
どれにしようか迷っていると、かおりが薄いグリーンの便箋を差し出して
「これなんかいいんじゃない?柄もなくて、シンプルだけど、何か友くんのイメージに合ってる。」
手にとってジックリ見ると、確かに大袈裟でなく色合いがいい。
「そうだね、かおりの言う通り、友くんのイメージがあるね。これにする。」
「あら、結局自分で決めれない?」
「ち、違うよ。私もさっきこれに目を付けてたのよ。」
「はいはい、そういう事にしておきましょうね。負けず嫌いな性格。」
私は、大切に胸に抱えて家に帰った。
「ただいま。」
「お帰りなさい。いいのあった?」
「うん。」
「あら?バースデーカードじゃないの?」
「うん、お手紙を書くの。」
「そう、ラブレターね。」
「ねえお母さん、いきなり好きって、おかしいよね?」
「そうね、あまりストレート過ぎると引いちゃうかもね。」
「だよね?どうしようか?」
「トモヤさんのお誕生日って、いつなの?」
「13日だよ。」
「あらあら、まだ一週間もあるじゃない。ジックリと考えて、素直な気持ちを書けば?」
「そ、そうだね。」
それでも部屋に入ると、つい机の上に便箋を広げてみる。
そして、腕組みをして最初の書き出しを考える。このお手紙が、自分の一生を左右すると思うと、中々簡単には書けない。
12月の夕暮れは早い。
4時過ぎだというのに、辺りは暗くなってきていた。
『さあ、帰ろうぜ。』
「おぅ。」
ボテトの量が気に入らなかった健一は、ずっと不機嫌だった。
お店を出ようとした時、例の女店員さんが
「ありがとうございました〜。」
と、言ったことまで気に入らないみたいで
「チッ!」と、舌打ちしていた。
「明日は?」
外に出ると聞いて来た。
『さあ?』
「俺は家の手伝い。」
『そっか、じゃあお坊っちゃま、いっぱいお手伝いしてね。あはは〜。』
「あはは、じゃあな。」
健一と別れ、僕は帰り道にある本屋さんに立ち寄った。
買いたい本があるわけじゃなく、母さんが出掛けていて、帰りが6時ごろになると聞いていたので時間潰しだった。
バスケの雑誌を手に取り、パラパラとめくっていると、不意に誰かに肩を叩かれた。
誰?と思い振り返ると、そこにいたのは、背のそう高くない女性が立っていた。
「よっ!・・・アレッ、分かんないの?」
『あ、エッ?』
「さっき会ったでしょう?マックのカウンターの中、見なかった?」
『アッ、あ、そうですね。制服しか・・・』
「それもそうね。もう一人の子は?」
『あ、帰りました。』
「で、君は帰らないの?」
『僕は時間潰ししてるんです。6時ごろまで。』
「そう?1時間以上あるね、じゃあ、ラーメン付き合って。もち、奢るから。」
『エッ?』
「私、一人暮らしなの。ラーメン屋さんって、中々一人で入り辛いのよ。分かる?」
『え、ええ、何となく。あ、でも、名前も知らないのに?』
「唯。呼び捨てでいいわ。」
『ユイ・・・さん。』
なんだか知らないうちに、街で美味しいと評判のラーメン屋さんに連れて行かれた。
但し、一杯800円という値段から、僕たち中学生のお小遣いでは食べに行けない。
ユイさんは、店員さんの案内に付いて店の奥へと歩いて行く。
私は、便箋を前に、1時間以上も何も書けないままだった。
部屋のドアがノックされた。
「はあーい。」
「さやか、入るわよ。ラブレター書けたの?」
「ラブレターって強調しないでよ。恥ずかしいんだから。」
「あら、まだ全然?お父さん、遅くなるんだって。晩ごはん食べましょう。」
「えっ、もうそんな時間?」
「ちょっと早いけど、温めるより出来立ての方がいいでしょう?」
「うん、じゃあ・・・。」
お母さんの後を付いて階段を下りていくと、いい匂いがしてきた。
「酢豚?」
「そうよ、今夜は中華よ。」
「美味しそう。」
お母さんのお料理は、いつも文句のつけようがない。
寒くなって来たこの頃は、温かくって、少し甘めの味付けが多くなる。
これが、夏場だと冷たいのとか、酸っぱ目の食欲を増進してくれる料理になる。
実は、私も彼を好きになった頃から、お母さんにお料理を教えてもらっている。レパートリーはまだ多くはないが、味の方はお父さんのお墨付きなんだ。
急にお料理を教えてとお願いしたことから、お母さんに彼のことを知られてしまった。
「ねえサヤカ、友哉くんってどんな子?」
「見た目、カッコいいよ。イケメンって言っちゃうと、何かチャラい感じでしょう?そう言うんじゃないのよね。背がスラッと高く、全ての動きがスマートなの。その上、メッチャ優し・・・そうなんだ?」
「何、そこが肝心でしょう?」
「部活やってた頃は優しかったよ。ただね、引退してから、あんまり話し出来なくなっちゃって。」
「思春期なのね?中3くらいの男の子って、急に恥ずかしくなる時期があるのね。」
「思春期?」
「女の子は、アレが始まると急に大人っぽくなってくるし、胸が膨らんでくるでしょう?そう言う変化を案外受け入れられないって言うのがあるんじゃない?」
「それで壁みたいなのが出来るの?」
「そうだと思う。男の子は、そう言う目に見える変化はないけど、おチンチンが大きくなったり、そこから精子が出てきたり、多分、人に言えない変化を意識してるかもね。」
「ふう〜ん、おチンチンって、大きくなるんだ?」
「そうよ、それは恥ずかしいことでもなんでもなくて、女性にとっても必要なことだから、本当は恥ずかしくないことなのにね。」
「どう、ここのラーメン?」
『美味しいです。』
「美味しいよね、私、以前一度、店長さんと来たんだけど、美味しかった。でも、一人じゃね。」
『今日はどうして僕を?』
「それより、中3よね?どこを受けるの?」
『あ、一応、宝明学園を。』
「宝明?・・・ヘェ〜楽しみが増えたわ。ウフッ!」
『どうしたんですか?』
「ん?あ、何でもないわ。そっか、宝明学園か・・・合格しなさいよ、結構レベル高いよ。」
『あっ、はい。』
『ごちそうさまでした。ホントにいいんですか?』
「いいのよ、バイト代入ったばっかりだから、気にしないで。」
お店を出て、少し並んで歩いていると
「6時って言ってたわね?」
『ええ。』
「後少し時間あるわね、ちょっとだけお話ししない?」
断れる雰囲気でも無く
『あ、はい。』
「ねえ、身長は?」
『175cmです。』
「わあ〜、そんなにあるんだ。じゃあ高校生になると、軽く180超えちゃうね。私より20cmも高いよ。」
『そうなんですか?』
「で、彼女とかいるの?」
『いません。』
「でも、好きな子はいるんでしょう?」
『あ、そ、それは・・・』
「いるんだ?片思い?」
『そうです。』
ユイさんと身長の差があり過ぎるので、立ち話で下から覗き込まれ、目と目が合うとドキッとさせられる。
「キスとかしたことある?」
僕は驚いて、一歩後退りをした。
『な、無いっすよ。』
慌てて手を振り、否定すると
「あらっ、恥ずかしいことだった?ふぅーん、中3にもなってまだ?」
『そ、そんな相手、いませんよ。からかわないで下さい。』
「からかってないわ、ただ、君に興味があるんだ・・・」
『き、興味って・・・ボ、ボクなんか・・・止めて下さいよ、ホントに。』
「2才年上って、どう?色々教えてあげるよ?」
『あっ、帰ります。ごちそうさまでした・・・』
「あっ、待って。・・・今度また、お話ししましょう。約束して。」
『あ、話しだけなら・・・』
お母さんと二人っきりの食事の後、部屋に戻った。
そして、再度、机の上の便箋を見つめた。
ボールペンを握り締めたが、お母さんからの性教育が頭の中を駆け巡り、集中力を欠かすのだった。
(私のこれからの全ての初体験の相手は、友くんだけよ。)
今頃、友くん、何をしているのかと思うと・・・頭を抱えて机に突っ伏していた。
その時、携帯の着信音が鳴り出した。
慌てて頭を上げ、ディスプレイを覗き見ると
案の定、かおりからだった。
通話ボタンを押す。
「サヤカ?・・・手紙、書けた?」
「あ、あと少し。」
「ハハーン、まだ全然ってとこね。」
「あ、何で分かるの?」
「分かるわよ、サヤカと何年一緒にいると思ってんの?声のトーンですぐに。」
「すご〜い、かおりって、尊敬するわ。」
「別に尊敬されなくてもいいよ、それより、何やってんの?」
「ん〜、書けないよ〜。」
「あのね、私にとって他人事だから関係ないんだけど、私だったら、おめでとうから入って、イブに何をして、お正月は?とか、どこの高校を受験するの?とか、取り敢えず聞きたい事を書くよ。」
「すご〜い、今の参考になる〜。そっか、そう言うのでいいんだよね?」
「バスケの思い出なんかも、案外盛り上がるかもよ?それから、絶対に必要なことは、携帯の番号とアドレス書きなさいね。」
「あ、でも、持ってないかも?」
「今はそうでも、いつか持つようになるって。その時、きっと1番に登録してくれると思うよ。思い出してごらん、私達だって初めて買った時、すぐに登録したじゃん。」
「あ、そうだった。ありがとう、かおり。やっぱりいい友達だ。頑張って書くね。」
「はいはい、でも、今ので奢ってもらうの、少し高くなったわよ。」
「はいはい、喜んで。じゃあ、ありがとう。」
おかしいもので、早く電話を切って手紙を書きたくなったのだ。
すると、今度はお母さんがコーヒーを入れて運んでくれた。
「あら、まだ書いてないの?ま、そうだろうと思って、コーヒーを淹れたわよ。眠気覚ましに。」
「ありがとう。今までかおりと電話してたからね。あ、でも何か書けそうよ。」
「そう、良かったね。かおりさんにアドバイスしてもらったの?」
「うん、結構参考になったから。」
「お父さん帰ってるわよ。サヤカの彼氏の話し、しておいたわよ。早く決めなさいって、そしてね、全てを公認するから、よろしくやりなさいって伝言。」
「何?よろしくやりなさいって?」
「ん?あゝ、全部でしょう?キスからセックスまで。」
「ブッ!お母さん、そんなに急かさないでよ。適当にする、あ、いや、自然にするから・・・」
「そうだ、一度お家に連れて来なさいって。お母さんも会いたいし。」
「あ、上手く行ったらでしょう?まだ、これからだし。」
僕はすっかり暗くなった帰り道を歩いていた。
(全く・・・ユイ・・さんってどういう人なんだ?2こ年上だと高2?どこの高校かも知れないし、第一何、色々教えてあげるって?)
家の中で明かりがついていた。
『ただいま。』
「お帰り・・・お腹すいたでしょう?」
『あ、いやラーメン食べて来た。』
「ラーメン?どこで?」
『駅前の。』
「健くんと?」
『いや・・・誰だっていいじゃん。』
「晩ごはんは食べるでしょう?」
『うん。着替えてくる。』
「1時間ほどで用意出来るからね。」
『ああ。』
2階の部屋はけっこう冷えていた。
足元の電気ストーブをつけ、ベッドに座った。
どうしても今日の出来事が頭をよぎる。ちっちゃいけど、クリッとした目が可愛く、少し大人っぽい仕草に見惚れていたことを思い出した。
(キスとかした?・・・してねえし、その相手は沙也加しかいないと思ってるぞ。)
「何でマックの店員さんと?」
晩ごはんを食べながら、母さんにラーメンを食べた相手の事を聞かれ、その事を話すと
『知らないよ、けど、事実だから。』
「2歳年上だと、あんた、狙われたのかも?」
『狙われた?何だよ?』
「あなた、カッコいいからよ。」
『何言ってんだよ?』
「自覚症状が無さ過ぎ。う〜ん、サヤカさんとどっちがステキ?」
『そりゃ決まってんだろ?あのさぁ、そう言う目で見てねえし、見ようとも思わない。』
ようやく手にしたボールペンが役立つ時になった。
まずは、友くんのお誕生日をお祝いするところから書き始め、前にいつ話したか質問する文章を入れてみた。話さなくなってからも、友くんの行動はハッキリと見ていたとか、あの時、本当は助けて欲しかったとか、甘えることも忘れなかった。もちろん、受験が近いので、勉強は捗ってるか遠回しな表現、どこを受験するかさりげなく聞いてみた。
結果、書き終えた便箋の枚数は、20枚を超えるまでになっていた。
ふと時計を見ると、午前3時を指していた。
最後に、私の携帯の番号とメールアドレスを書き、締めた。
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