2話 ニックネーム
〜前回のあらすじ〜
入学式、教室のドアを空けたらいた(美)少女が、前世の俺の上司'ボス'だった。
…は???いやいやいや、眼精疲労か?
それとも緊張による睡眠不足でついに幻覚でも見えるようになったか???いや、確かにここ1週間はテスト前のような睡眠時間…。コミュ力Fの俺がとりあえず第一印象だけはうまく作れるような挨拶を考えるために悩みに悩んで悩みまくり夜しか眠れず6時間睡眠だったわけだが(普段は8時間睡眠)、その苦労も?このクラスメイトのおかげで?一気にカンペ飛んだっ!?俺の平穏な学園生活がドア開けただけで砕け散ったんだが……。
…いや、待てよ。一旦落ち着け。見た目がドッペルゲンガー並みに似てるか俺の幻覚フィルターがかかってるか、はたまた本物のボスなのか…いや、うん、ボスだわ。はい、あきらめます。前世で何年一緒にいたんだよってくらい歴が長くてもう推しかってくらいに網膜に焼き付いてるのに見間違えるわけない。うん…うん!?待って待って待って!?ならさ!?
とりあえず挨拶しとかなきゃマズくないか…?
だって、よく考えろ…
記憶なかった場合→おそらく(ルックス諸々で)クラスの中心になるであろうこの人に、いや、このお方にちゃんと挨拶しとかないと…イメージマイナス&いじめ&ハブられるなどなどといった弊害が待ち受けている可能性高!
記憶あった場合→前世のボスは(俺の記憶があろうがなかろうが)社会性のなっていない人間をとてつもなく嫌悪する傾向にあるため、きちんと望まれた通りTPOにあった振る舞いをしないと…首が飛ぶ(上記のように社会的に)
つまり…ここから導きだされる最適解は、'初対面のクラスメイトを普通に演る'(ドアを開けてからここまでの考察にかかった時間0.5秒)
…俺さっきから、めっちゃ当たり前のことしか言っていないな…
まぁそんなことはさておき…
「おはよう!始めまして(?)。俺の名前は神月柊。よろしくね。」
…我ながら上手いこと言っている方だと思う。だって考えてみろ!?相手は前世の上司だぞ?所謂社長だぞ?怖いわ!だって急に社長にタメ口で話さなきゃいけない状態だなんてさぁ!? 生まれ変わってからの15年間会ったことないから油断してたわ!?(狂気)
しかも俺的には全然初めてじゃないし…。
…さぁ、どうくる…。答えによって俺のハッピーライフのためにとる行動が変わってくる…。
彼女はきょとんと瞳をパチパチさせるが、ふっと笑って
「おはよ〜。こちらこそよろしくです!私は宵城 海月。カミヅキくん?シュウくん?どっちがいい?」
…おっと?始めましてって返してこないぞ?
けど前世のボスの面影消えてめっちゃホワホワしてるんだけど?うん、これ記憶ないでいーのか?彼女の名前も前と違うし…俺の名前の方もそこの二択をきいてくるのか…。フツーのちょっと距離近い女子だ。
つまり、記憶ないでいいんじゃないか?いいよな?そうと言ってくれ…。いや、言われたら困るけど…。 ってかホントに緊張でさっきから表情筋が引きつって悲鳴あげてるんだが…。
「どっちでもいいよ。まぁ強いて言うな――」
「あっ、ヒイラギくんもあり? 友だち1号オリジナル特典〜みたいな! なんなら私のこともクラゲでいーよ〜 ほら、海に月ってかいてクラゲって読むじゃん?わぁなんかこれいーね!オシャレなニックネームだぁ。」
………おいおいおいおい。ニックネームだぁ。じゃないんだよ…。いや、確かにかわいーよ?両手キュって握ってさ?ふにゃ~って笑ってるんだよ?しかも美少女だよ?そりゃかわいーよ。うん。けどさ?'ヒイラギくん'は話しが違う気がするんだが???
だって'ヒイラギ'に'クラゲ'ってさ………
――前世の俺たちのコードネームだぞ――




