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炎の騎士伝  作者: ものぐさ卿
第三節 英雄讃歌
308/324

友としての忠告

 帝歴404年1月13日


 今夜は結婚式の前夜ということもあり、宮殿にて舞踏会が開かれることになっている。

 世界各国から様々な要人が集まることもあり、王国騎士団総出での厳重な警備網が敷かれていた。


 煌びやかな宮殿の装飾、そして国内随一の腕持つ演奏隊が奏でる優雅な音楽に乗せられ、中央では既に何組かの者達が舞踏会を嗜んでいる様子。


 本来なら俺も、歌姫の護衛として裏方から護衛の一人として対応するのが当初の予定だったのだが学院での活躍故か、はたまた十剣へのコネ目的なのか護衛の俺に向けて各国の要人が先程から何人も挨拶に来ている始末である。

 当然護衛どころではなく、気付けば護衛の任をクラウスさんから外させれてしまい、仕方なく彼等の相手をしていた。


 当然その中には、縁談目的なのか名のしれた商会及び名家の令嬢も居り、遠目から嫉妬染みた恐ろしい視線を感じる。

 視線の主は勿論、我が主であるルーシャだ。


 せめて外野で目立たないようにしたいのだが、どうやら周りはソレを許してはくれないらしい。


 「あらあら?

 随分と人気ですわね、シラフ?」


 聞き覚えのある声に気付き、視線を向けると翡翠の髪色をした美しいドレス姿の女性が目に入る。

 一応顔見知りではある、主にルーシャを通じての関係ではあるが………。


 「シトリカ。

 まぁ当然お前も来ているか」

 

 「ええ、当然ですわ。

 我がクローバリサ家が今宵の催しに招待されない訳がありませんもの」


 と、シトリカが自負すると先程まで俺の周りを囲っていた令嬢達が表情を変え、引きつった笑みを浮かべ始める。

 当然の反応だろう、クローバリサ家の令嬢である彼女の存在がどれほど厄介なのか分からないような奴ではないからだ。


 俺と同年代の彼女は自国や他国の貴族は勿論、商会にまでその名は知られている程。

 俺達とそう変わらない子供も良いところであるにも関わらず両親に変わって商会との取引を受け持つくらいには、中々の傑物である。

 で、実際のところ彼女の実力は本物だと言える。

 周りからの評価も当然高いのは、多少周りの情報に疎い俺でも理解出来るくらい凄い人物だ。

 しかし、それと同じくらい疎まれている存在でもあると言える。


 ある意味では俺と似たような側面もある為かルーシャを交えなければ良くも悪くも仲の良い友人みたいな間柄といったところだ。


 「まぁ、諸々の積もるもあることですし。

 シラフ、少々私に付き合い来なさいな」


 そう言って、俺の右腕を掴み取り巻きから強引に引っ張り出すそうとする。

 しかし、気に入らないのかすぐさま彼女達が俺の左腕を掴み引き止めた。


 「ちょっと、待ちなさいよ!」

 「今は私達がシラフ様と……」


 「………、あら?

 まだ何かありますの、貴女方は?

 それとも、弱小で名ばかりの取り巻き風情が私に楯突くおつもりで?」


 「ひっ……」


 シトリカの威圧に圧され、すぐさま手を払い俺の元から立ち去っていく彼女達。

 相変わらずというか、なんというか……。 

 こういう時に限って、強く出れるのはなんとも彼女らしさ満載である。


 「良かったのかよ、あんな追い払い方をしてさ?

 一応お前の取引先の一つだろう、彼女達は」


 「あー、そうでしたわね。

 まぁあの程度で圧される器なのですから、いつまでもあの程度ですのよ。

 精々貴方の主様くらいは噛みつくくらいの気概がないのでは、話になりませんもの。

 それに、あのような輩に強く断れないのも変わりませんわね?

 いずれ女絡みで痛い目に遭いますわよ」 

  

 「そうだな。

 で、わざわざ絡んできた用件は?

 シトリカが何の理由も無しに助けた訳でもないだろう?

 事前に言っておくが、無理なものは無理だからな」


 「別に、そこまでの無理はさせないですわよ。

 シラフにとっても悪くない話ですわ」


 「悪くない話、ね……」


 「ええ、お父様も貴方に会いたがってましたし。

 シファ様を連れて、今度顔を出してやりなさい、とまぁさっさと本題を参りましょうか?」


 そう言うと、くるりと俺の方を向き直った。

 そして、左腕を掴んでいたその手を俺の手の平の方へと向けると、優しく手を取り握ってきたのである。


 「何の真似だ?」


 「まずは今宵の私の相手を務めて貰いましょう。

 私もさっきから余計な虫の声に聞き飽きていた頃合いですので」


 「俺に舞踏会なんて場が全うに務まるとでも?」


 「以前よりかは様にはなっておりますわよ?

 学院には、社交場の一つもなくて?」


 「全くないわけじゃないが……」


 「なら、構いませんよね?

 エスコートはしますので、私に任せなさい」

 

 当然拒否権は無いようである、傍目から見ればシトリカと俺が手を取り合うように見えなくもない。

 が、実際結構な力で俺を離すまいと手を握る彼女の圧に俺は逆らえずにいたからだ。


 「わかったよ。

 シトリカ、君に任せる」


 「よろしい」


 と、そんな会話を間もなくして一曲の演奏が終わった。

 すると、シトリカは何を思い立ったのか会場の中心部分へと案内し俺達はそこに立つ。

 

 「えっと、シトリカさん?

 何を考えているんです?」

 

 会場の中央には今宵の主役であるルークス王子やレティア王女が当然居り、彼に至っては余程ウケたのか口を隠して笑いを堪えていた。

 そして、少し中央から離れた場所からルーシャは俺達二人を見て驚いた表情を浮かべている。

 

 「分かりませんの?

 私の相手をして貰うんですのに?」


 「いや、それは分かってる。

 何でわざわざ中央に、今回の主役はあの新郎新婦の二人だろ?」


 「我がクローバリサ家がその威信を世界に知らしめなくてどうするのです?」


 「待て待て待て……、本気か?」

  

 「何を言っておりますの?

 これが冗談を言ってるようにお見えですの?」


 うわ、コイツ本気で言ってる。 

 いやそもそもシトリカは昔からこういう奴だった。

 世界が自分達中心であると本気で言うし、ソレを体現してくる奴である。

 ルーシャと張り合うのも、彼女のそんな一面から来ていた訳であり……。


 身体中から変な汗が止まらず俺は今になって真っ先にこの場から立ち去りたくなってきた。

 目立ちたくないからせめて、端の方で取り巻きの相手をしていたのだ。

 なのに、シトリカ………お前は……


 「さあ、シラフ!!

 私のお相手をしっかり務めてもらいますわよ!!」


 間もなくして演奏は始まり、シトリカの動きに俺は無理矢理合わせられ、会場で異様な視線を浴びる事になった。



 序盤の勢いも落ち着き、曲調も落ち着いてきた頃。

 辺りの方に意識が向けられるようになった。

 

 最初こそ勢い任せなのだが、自分を中心だと謳うだけの口先を体現するかのように、すぐさま俺の動きを楽器を調律するが如く上手く視線や身体運びで誘導してくる。


 周りを巻き込み、己の為の傍若無人の限りを尽くすかに思えば相手に合わせ能力も持ち合わせている。

 

 「足をもう少し前に、手はもう少し真っ直ぐ」


 と、真剣な眼差しで指摘しこちらの腕を引いてきた。

 遠目から見る分には、整った顔立ちのかなりの美人であろう。

 その本性を知ると、少々扱いの難しさを感じるが。

 本人の中身は、これでもかというくらいの善人気質であると言えよう。


 俺の知る限りでの彼女に関する有名な逸話と言えば、彼女自らが設立したシトリカ法人の存在。

 彼女は幼い頃から自身の小遣いの半分を慈善事業に寄付していた、俺達にソレを自慢するくらいには誇らしげに語っていた程である。

 しかし、ある時、その慈善事業が後に寄付金の一部を着服及び横領騒動が起こってしまうと、間もなくして彼女は自ら新たな慈善事業を設立することを決意。

 

 最初は運営に苦労したようだが、持ち前の前向きさと熱意、本人の実力もあって設立の翌年には国内でもほんの一部しか認められない国家公認の組織の一つとして認められると、事業名を現在のシトリカ法人と改名し現在に至るまで活動を続けている。


 事業設立の際には、俺やルーシャやシルビア様、テナやその父親、十剣の長でもあるアストやクラウスさんまでも巻き込んできたのが懐かしく思う。

 当時の俺やルーシャ、シルビア様に至ってはよくわからない話だったが………。

 シトリカの熱意に押され、彼女の父親の説得の際に騎士団長と十剣の長や姉さんと俺達で向かった際のあの人の顔は困惑どころか引きつった笑みを浮かべ返事一つで快諾してくれたりしたっけ……。


 事業の運営はその後、シトリカ本人と何人かの従業員を自ら雇い活動を始める事になる。

 最初の数ヶ月は父親から仕事を割り当てられ、屋敷の隅にある部屋の幾つかを事務所として利用していたようだが半年後には自分で仕事を受け持つようになった。

 それから、間もなくして王都で部屋を借りて自身の事務所を持つようになったりと、それからどんどん事業は膨らんでいったという具合に現在へと至る。


 「中々、様になっていますわね」


 「そりゃどうも」


 昔から周りを巻き込んだり自分中心の世界観で動く彼女ではあるが、その核にあるのは純粋な正義感そのものだ。

 彼女から言わせれば、自分の正しいと思ったことを、自分がその筋を通し実現させただけなのだろうが、実際に体現出来るような奴はまずいないだろう。

 

 曲も終盤へと差し掛かり、次第に馴れてきた自分は目の前の彼女へ視線を向ける。

 心の底から楽しんでるのか、眩しいくらい笑顔で輝いていた。

 

 そして、曲が終わると誇らしげに俺に向かって眩しい笑顔を向けてきた。

 

 「楽しそうで何よりだが。

 そろそろ離れてくれないかシトリカ?」

  

 「何を言いますの、まだまだこれから……」


 と、次の曲もやる気全開で再び俺の手を握ろうとする彼女だったがその肩を、後ろから見知った人物が掴んだ。

 綺麗な長い金髪、いつにも増して念入りに着飾っているルーシャ・ラグド・サリア、その人である。


 「あのさ、シトリカ?

 私のシラフに、何をしているの?」


 と、ここで掴み合いの喧嘩は不味いと理解はしているのかルーシャは笑顔で彼女に話し掛けた。

 しかし、笑顔が怖い。

 これ以上ないくらい怖い………。


 「あー、ルーシャ 第二 王女ではありませんか?

 私達に何か御用がありまして?」


 「ええ、色々と話たいことが山程ありますわ」


 怖い怖い怖い、怖いよこの人達。

 いや、コレは多分俺が悪い……安易にシトリカの誘い乗った俺が全面的に悪いのだろうな。

 よし、ひとまずここは俺から謝罪を入れて穏便に事を済まそう。


 「あの、ルーシャ………、

 その、俺が悪かったんだ……だからな、その」


 「「シラフは黙ってて?」」


 「…………」


 あー駄目だ、自分じゃ無理です。

 これから大喧嘩に発展してしまうのか、この後が恐ろしすぎて様子を見ている事しか出来ない。

  

 そして、俺達の様子を見て笑いを堪えているルークス王子、そしてレティア王女までも笑いを堪えて俺達の方を向かず視線を逸らしていた。

 

 「程々にしなさいよ、シトリカ?

 今回は大目に見てあげる」


 「あらあら、そんなに余裕がありませんの?

 自分がシラフの一番だと仰るのでしたら、この程度の戯れにわざわざ苛立つ必要もありませんですわよね?」


 そのくらいにしろ、シトリカ。

 頼むから、ルーシャをこれ以上刺激しないでくれ。


 「そうね、自分が殿方から振られた腹いせに他の男に慰めて貰ってる尻軽女のようにはなりたくありませんのでねぇ?

 それじゃあ後でね、シラフ」


 そう言って、俺達の前から立ち去ったルーシャ。

 ただ嫉妬して絡んできただけか?

 いや、だが穏便に事が済んで何より………。


 「フフフフフフ……言ってくれましたわね………。

 いいでしょう、貴女がその気なら………フフフ」


 シトリカさん、その表情を誰かに見られてる場でしてはいけませんよ。

 と、本人に言いたくなるも、言ったら俺のナニカが終わる気がするので抑える。

 

 次の曲が始まろうとするが、このままじゃ流石に不味いと感じた俺は彼女の手を引き一度会場の外へと向かう事にした。


 ルーシャ及びシルビア様の護衛には、アクリやクラウスさんが付いてるから問題ないと信じたい。

 シトリカは少々不満げな様子だが、部屋を出ると徐々に気分は落ち着いていったのかいつもの彼女へと戻っていく。


 「もう大丈夫ですわよ、シラフ」


 「本当だよな?」


 「ええ、そこまで子供じゃありませんわ」


 そう言って、俺の襟元の方を掴み曲がったネクタイの方へと手に伸ばした。

 

 「少し曲がっていますわよ。

 まぁ、あれだけ素人が動けば乱れるのも当然ですわよね……」


 「済まないな。

 それと、そろそろ本題に入ろうか。

 何で俺に声を掛けたんだよ、シトリカ?」


 「何も心当たりがありませんの?」


 「俺の何を知っている?」

  

 「本名と、お父上の所在。

 そして、我がクローバリサ家との因縁でしょうか?」


 「………、それには気づいてたんだな」


 「ええ、嫌でも耳に入りますので。

 私のお母様が、貴方の父親の前妻でしたから。

 今の私のお父様が、腹違いの兄だなんて全く世の中何があるのか全く分かりませんわよね」


 「………」


 「私の事はいいんですのよ。

 問題は、そちらの方でしょうシラフ?

 これからどうするおつもりで?」


 「ルーシャの示す王道の為に動く。

 その先にあるのが、俺の目指したいモノだと信じているからな」


 「忠誠心も過ぎれば、盲信ですわね。

 ですが、貴方らしいですわね。

 では、お父上と戦うおつもりで?

 それとも、サリア王国を敵に回すと?」


 「どちらも可能なら戦いたくはない。

 でも必要なら、俺はどちらとでも戦う。

 必要なら、誰であろうと殺すさ」


 俺ははっきりと、シトリカに伝えた。

 すると、彼女の表情が僅かに険しくなり怒りか、何処か憐れむような表情に変わった。


 「訂正しますわ。

 貴方、やはり変わりましたわ。

 一度、鏡を見たほうが良いですわよ?」


 「どういう意味だよ?」


 「今の貴方、人間には見えませんのよ。

 というより、人から別のナニカに変わりかけているような、少し危ういように見えますわね」


 「それは魔力的な表現としてか?」


 「自覚がありませんの?

 最近、何か変わった事でもあります?

 学院に向かってから、何かありましたの?」


 「特には、何も……」


 「嘘ですわね。

 神器を扱えるようになりましたわよね?

 クラウス様やアスト様と一戦を交えたわね?

 そして、この間なんか王国騎士団の一般兵と一悶着あったみたいですわよね?

 それで、何も無かったなんてあり得ませんわ」


 「…………、そうか」


 「シラフ。

 貴方はこれ以上、神器を使うのは控えなさい。

 第二王女、ルーシャの為を思うのなら、彼女の騎士としてあり続けたいのなら、その力を手放しなさい。

 貴方の友として、今後の良き盟友、仲間としての忠告ですわ」


 「………。」


 「死にますわよ、シラフ。

 それも碌な死に方はしない。

 私、分かりますのよ。

 今の貴方は、そんな危うい場所に向かっていると」


 「それでも、俺はやるしかないんだよ。

 もう誰も失いたくないから、目の前で自分の大切な人達を失いたくない」


 「失いたくがない為に、自分を犠牲にしますの?

 失いたくないから、殺すつもりで?

 自分の大切なモノを守る為に、自分の大切なモノを切り捨てるの?

 先程の貴方の選択はそういうモノでしょう?

 故に破綻していますのよ。

 それも貴方が最も嫌うであろう、自分の大切な誰かを犠牲にする方法を選び取っている時点で、貴方はもう私の知るシラフ・ラーニルではありませんわね」


 「シラフじゃないみたいだからな、俺は……」


 「っ………、本当に貴方という人はどうして……」


 「…………」 

 

 「分かりましたわ。

 貴方がそのつもりなら見届けますわよ。

 最後まで、その先もずっと……。

 クローバリサ家の者としてではなく、シトリカ・クローバリサとして、貴方達の力に成りましょう。

 ですから、貴方は精一杯生きて下さい。

 道半ばで尽きるだなんて、私は絶対に許しませんから」


 「そうか、相変わらずだなお前は………」

  

 「私からは以上ですわ。

 ああ、ですがそれともう一つお伝えすることがありますわね?」


 「他に何があるんだよ?」


 「たしか以前海賊の騒動がありましたわよね?」


 「ああ、学院に向かった際にな。

 それがどうかしたのか?

 既に姉さん達が処理した事案だろう」


 「私、少々気になって裏で手引きしていたと思われる人物を探っておりましたのよ。

 そこで、挙がった名前に色々と共通点がありましたのよ」


 「共通点だと?」


 「教会の中でも面白い方々の者達が多く挙がりましたのよ。

 コレに関して貴方にも関係はありますわね」


 「何?」


 「ローゼスティア家は、ご存知ですわよね?

 既に勝手ながら調べさせて貰いましたわ。

 貴方の家にお仕えしていた事がある侍女の一人。

 アノラ・ローゼスティアがかの家の者であるはずであったはずです。

 そんな彼女が家との連絡の際に手紙等でのやり取りしていた情報のほとんどが、実家と教会の繋がりで流れていたようなのですの。

 結果、例の海賊騒動の際どの船に乗るのかを把握されていたようですわね」


 「彼女が裏で糸を引いていたと?」


 「いえ、彼女は足切りですわね。

 私の見立てでは、教会が裏でかの騒動の糸を引いていたと思っておりますの。

 それも、とても巧妙な手口か意図があってのものだと認識しています」


 「何故そうだと言える?」


 「学院でも騒動がありましたわよね?

 今宵の舞踏会とはまた違う舞踏会にて」


 「ああ、一応はあったがそれも教会が絡んでいたとでも言うのかよ?」


 「教会だけなら良いのですけども………。

 どうも大きな力が働いているみたいですわね。

 私の事業に直接関係する訳では無さそうですけど、この国あるいは世界を良からぬと思う輩が裏で色々と企んでいるのは確実でしょう」


 「…………」


 「とにかくですわ。

 ヴァリスのお父上の件もありますが………。

 教会にも気を付けなさい、シラフ。

 特に、今の教皇様とは深く関わらない事を勧めるわ」


 そう言うと、俺に軽く手を振り彼女はその場を立ち去った。

 何かが、俺の知らないところで動いている。

  

 学院でも、サリアでも、ヴァリスでも、教会でも。

 

 世界全体で何かが起ころうとしているのだろうか?

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