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死の商人

やっとできました。お待たせしました。

その後も織田信長の家臣として、自身の勢力を伸ばしていった。関羽は転生者であったから、身の回りの世話をしてくれる人がいなかったが、幸いにも朝比奈泰朝の家族や佐久間盛重の紹介で困ることは少なくなっていた。ただ一つを除いて。



侍大将として仕えている上に槍術指南役の任も命じられていたため、彼の周りには武官達がひしめき合っていた。今日も柴田勝家が、佐々成政を連れ、道場まで訪れていた。


「関羽殿、今日も来ましたぞ。手合わせをよろしくお願いしたい。」

「勝家殿、そう毎日来なくともそなたは十分強い。今日は、後ろの成政殿の指導をさせていただきますよ。」


成政の顔色が変わる。関羽の稽古は、織田家の稽古の中でも群を抜いて過酷であった。日々の鍛練が戦場で、活かされることを関羽は知っていたからである。関羽の家臣も織田家直臣と一緒に稽古に励んでおり、忠勝は今は勝家に及ばないものの信長家臣団を圧倒していた。



「そういえば、関羽殿、悩んでいることがあるとかお聞きしましたが。」

「うーん。」

重臣である勝家の手を煩わせてしまうのではないかと思い、話ができないでいた。

「関羽殿、遠慮なく話してくだされ、某でよければ、お聞きしますぞ。」

「それでは。」

関羽は、勝家の熱意に押され、話すことにした。戦国時代に転生してから思っていたことであったが、倭の国の馬は大陸の馬に比べ、大変小さく、戦に向いていないことが懸念されており、また赤兎馬は南蛮馬の中でも大柄なので、世話をする人間がいないということであった。今は泰朝が世話をしてくれているが、泰朝も関羽の家臣団では、重臣にあたり、馬奉行をさせていていいのか悩んでいた。話を聞いた勝家も一緒に考えてくれ、一つの名案を叩き出すことになる。



そもそも日本在来馬は、8種あり、道産子、木曽馬、御崎馬、対州馬、野間馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬の8種であった。どの馬も小柄で戦に向くものではなかった。尾張国では、木曽馬を多く使用していたが、繁殖させることはできず、商人から購入するのが、一般的であった。その為、騎馬隊という点でも甲斐や信濃にも力が及ばないものであった。

勝家が考えたのは赤兎馬と木曽馬の掛け合わせ、南蛮馬に近い品種改良に挑みたいということであった。朝比奈泰朝も家臣団が大きくなるに連れ、馬奉行を後進に譲るという考えだった。

関羽の考えはそれを飛躍させるものであったが。

そこで清洲城に登城し、信長に思いの丈を話し、勝家の助言もあり、二宮山城跡地を利用して、馬の飼育を許されたのである。




そんな頃、関羽の噂を聞いた一人の商人が近付こうとしていた。今井宗久である。彼は関羽がしようとしていることを耳にしており、関羽の屋敷を訪ねたのである。

「すいません、ここは関羽殿のお屋敷ですかな。私は堺の今井宗久と申します。家主の関羽殿にお会いできませんか?」

応対したのが関羽であった。

「私が関羽です。どうぞ、中にお入りください。」

突然の来客に戸惑う関羽であったが、商人との繋がりは更なる飛躍になると確信した為、家中に上げることにしたのだ。

今井宗久は、関羽と話を行い、関羽の資金源や情報屋となる代わりに、自分にも馬の品種改良に関わらせてほしいというのだ。信長に話し、信長より土地の提供を受けていた手前、他の大名家にも繋がりのある商人を関わらせることに抵抗があったが、宗久より品種改良で必要になるものは、無償で準備するとの話があり、品種改良の場所は秘匿にすること、品種改良された馬はたくさん生まれた時に提供することで合意する。

「それでは、関羽殿、近いうちに雌馬をお連れしますぞ。」


信長に話していないことも宗久に頼み、話をして宗久は、堺の町に帰っていった。





そうしている間、美濃国の斎藤義龍が死に、龍興に代が変わったことで、美濃国が荒れていることを目の当たりにした信長は、美濃国平定にむけ、本格的に乗り出すことになる。

その手始めに清洲城より北へ本拠地を移動すると明言する。老臣たちが反対する一方で関羽は、1人賛成の意を述べるのであった。その意見もあり、丹羽長秀、村井貞勝に小牧山城の普請を、命じたのだった。

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