Ⅰ プロローグ
「未桜、もうすぐで合唱コンクールだな!。」
放課後の教室、私がひそかに気になっている坂井くんが声をかけてきた。
「ちょっと、私の誕生日は?。」
私は、苦笑いしながら言った。
「覚えてるよー。冗談なのに。」
坂井くん・・・、坂井拓哉くんは、かっこよくて誰にでも優しい。頭は良くないけど、運動神経抜群だから、サッカー部の部長でもある。そして中一の時と今年が同じクラス。
実際的には、今年やっと坂井君としゃべれるようになった。
それまでは、遠くから見ている存在だった。
あんなことがなければ、いまでもしゃべれなかったかもしれない。
「今回の合唱コンクールで歌う曲は、男女各一人ずつのソロがあるの。だれか、やりたい人いませんか?。」
学級委員で幼なじみの栞子がHRで聞いた。
「だれもいないんですか?。」
栞子が困ったように言うと、
「やっぱ、最後の合唱コンクールだから、上手い人がいいと思う。」
桜田というクラスで一番うるさいやつが言った。
「それなら、佐々倉(未桜)がいいんじゃないんか?。」
誰が言い出したのか分からないけど、私に決まってしまった。
私は、小学校の時の式歌のソロを歌ったせいだろうか?。
「ま、男子は、先で決定だな。」
そういわれ、困っている坂井くん。
「てか、なんで、俺なんだよ?。べつにいいけどさ。」
坂井くんは、顔を赤くして言っている。
「あの佐々倉、よろしくな?。」
HRでそう私に声をかけてきてくれた。




