夢の終わった少年
世界は、もうほとんど音を持っていなかった。
それでも崩れてはいない。
ただ、“終わった形のまま続いている”。
レインは一人で歩いていた。
グランはいない。
中心もない。
問いもない。
選択もない。
それでも、歩けてしまう世界だった。
レインはふと足を止める。
「夢って、なんだったんだろう。」
誰に向けた言葉でもない。
だが、その問いは静かに空間へ落ちる。
返事はない。
それでいいはずだった。
レインはゆっくりと空を見上げる。
そこには何もない。
でも“何もないこと”が、確かに成立している。
すべてが終わった後の世界。
選ばれ、残され、固定された世界。
その中でレインは思う。
自分は何をしてきたのか。
何を選び、
何を終わらせ、
何を残したのか。
答えはどこにもない。
ただ、静けさだけがある。
レインは小さく笑う。
それは喜びでも、悲しみでもない。
ただの理解だった。
「夢は……終わったんだ。」
その言葉で、
何かが完全に閉じる。
過去でもなく、
未来でもなく、
ただ“物語そのもの”が静かに収束する。
レインは歩き出す。
どこへでもない。
でも確かに進んでいる。
それが今の世界だった。
選択の終わった世界。
夢の終わった少年が残された世界。
そしてその世界は、
静かに続いていく。
誰にも選ばれないまま。
誰にも壊されないまま。
ただ、そこに在り続ける。
レインはもう振り返らない。
必要がないからだ。
夢は終わった。
だが、
終わった世界は消えない。
それが答えだった。




