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選択の分岐

二つの“道”が、レインの前に浮かんでいた。


だがそれは道ではない。


形として見えているだけで、


実際には“感覚”だった。


進めば、何かが変わる。


止まれば、何かが失われる。


それだけが分かる。


「レイン。」


グランの声が低く響く。


だがそれは助言ではなかった。


“見守る声”だった。


師匠は動かない。


ただレインを見ている。


中心もまた動かない。


だが確かに“待っている”。


レインの喉が乾く。


何を選べばいいのか分からない。


選ぶという行為そのものが重い。


そのときだった。


視界が揺れた。


一瞬だけ、


別の“自分”が見えた気がした。


剣を持っている自分。


何かを守っている自分。


そして、


何も選ばずに立ち尽くす自分。


レインは息を飲む。


「……これ、は。」


グランが静かに言う。


「ラストライトの“応答”だ。」


レインは振り返る。


「応答……?」


グランは頷く。


「ここはな。」


「選ばせるだけじゃない。」


「選ばせた“結果”を見せてくる。」


レインの背中に冷たいものが走る。


つまりこれは、


未来ではなく“反応”。


選べば、それに世界が答える。


選ばなければ、それもまた答えになる。


師匠の声が低く響く。


「お前はまだ戻れる。」


その言葉が一番重かった。


戻れる。


それは優しさではない。


“まだ未確定である”という宣告だった。


グランが言う。


「戻るなら今だ。」


その声は静かだった。


だが明確だった。


レインは一歩下がる。


だが背後には何もない。


もう逃げ道はない。


選択肢は、すでに“強制されている”。


レインは前を見る。


二つの“感覚”。


どちらも正しいように思える。


どちらも間違っているように思える。


中心がわずかに揺れる。


まるで、


呼吸しているように。


レインは気づく。


これは試練ではない。


これは“確認”だ。


お前は何を選ぶ存在なのか。


そのとき、


グランの声が一段だけ低くなる。


「お前は……何になりたい。」


レインは固まる。


何になりたい。


その問いは初めてだった。


“何をするか”ではなく、


“何であるか”。


レインの中で何かが静かに崩れる。


夢。


光。


終わった少年。


それらが一瞬だけ重なる。


そして、


レインはゆっくりと一歩踏み出した。


中心が、静かに応える。


空間が変わる。


選択が、確定する。


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