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No.41 その草の進化は特種分岐する


(ギエナ。俺が居た世界の(ことわざ)でな。《 出ずる日蕾ひつぼはな 》つうことわざがあるんだ)


(ほーう。そのことわざとやらの意味は何なのだね? 友よ)


(そうだな…将来有望とか勢いが盛ん何て意味で使われていたな)


(ハハハ。ではあらゆる魔法を極めた今が、その《 出ずる日蕾ひつぼむ花 》とやらのなのだろう。今の私に魔法で勝てる者などどこにもいないのでね)


(……ギエナ。そうやって慢心してると、どこかに頭でもぶつけて、フラッと簡単に大怪我をするかもしれないから気をつけろよ。お前はかなり抜けている所があるんだからな)


(なに心配する事はない。友よ。私は最強の賢者だ。死ぬわけなかろうよ。ハハハ)


(いや。それ、死亡フラグ過ぎるだろう……)




 現在、進化の最中だ。以前の時の様に一度目の人生時の記憶を思い出していた。


 ───結局。彼が言った様に私、自身の慢心により大怪我……を通り越し、頭を岩にぶつけて死んでしまったのだな。そして、今は三度目の人生は苗木として転生し、人でも無くなってしまうとは。面白いものだ。


 しかし、草の次の進化がつぼみとはこれいかにだ。いったい進化が終わった時、どう変化しているか非常に楽しみである。



 ……おっと! 一瞬懐かしい思い出に浸っていた為、寝落ちしてしまっていたか。


〖進化の過程中ですが、今後の貴方のスキル及び称号取得時間を短縮する為に、平行して複数体討伐対象、太影虫アクチノフィリスの解析、吸収工程を開始します。尚、この工程にともないスキル【吸収】を強制発動させ、太影虫アクチノフィリスの死骸を回収させて頂きます〗


 スキル強制発動……【吸収】


 ほう。あのグロテスクな虫の解析を行うのか。世界観測。地下水路の生き物か。吸収するといったいどんな変化が起こるのだろな。


〖キモ……何でコイツ。少し嬉しそうなのよ。どんどんキモい生物に進化してる自覚あるんですかね? 先ぱ……バコンッ! 痛い───……失礼しました。報告を続行します。太影虫アクチノフィリスの吸収に成功しました。続いて解析を行います……解析中……スキルと称号の解析に成功しました。新たにスキル【溶解】【水練】を取得しました。称号【水の虫】を獲得しました〗


 ほう。それはいったいどんなスキルと称号なのだ? 世界観測よ。詳しく説明してくれないか。


〖畏まりました。次の進化もあとわずかで終了しますので、その間に新たに得たスキルと称号の説明…を…え? 間違ってるですか? 先輩。へ?……進化工程の時に別属性の新たなスキルと称号の取得や獲得は駄目?……進化事故を引き起こすから絶対にやっちゃいけないんですか?!!〗


 ……世界観測の絶叫の言霊ことだまが私の心の中に響いてきた。何やら進化工程で彼方側・・・に不備があった様だ。何だが不穏な空気が漂ってきていないか?


〖ど、どうしましょう。先輩!! このままじゃ、コイツ。理性の無い雑種獣キメラになっちゃいます。へ? 仕方ないから特殊分岐進化をさせるしかないですか? で、でも。コイツは既に幻草種って言う希少種中の希少種に進化してるんですよ。それを更にって……え? このままだと降格ですか? そ、それは……〗


 おい。世界観測。さっきから君の言葉の端々《はしばし》から不穏な言葉が飛び交っているが大丈夫なのか? 君の話す言葉から間違いを犯したのは君の様だが。責任は……


〖黙りなさい。魔法狂い。今、何とかしてあげていわよ! バコンッ!……〗


 む?……私に対してのその呼び方。《フラマ》でのあの娘と同じ呼び方だな。世界観測よ。


〖……失礼しました。こちら側の進化工程のミスにより。貴方の進化過程に不手際が生じました。普通ならば木属性の進化過程を終了後に、水属性のスキルと称号をスキル【吸収】を発動し、解析、取得をするのですが、今回は進化過程中での水属性のスキルと称号の獲得をしてしまった為、進化過程に歪みが生じてしまったのです〗


 いつも聴こえて来る世界観測の声とは別人の声が聴こえてきた。奴め。先輩とやらに折檻せっかんでもされた様だな。


 ほう。それで私はそちら側の不手際とやらで正しい進化は行われないのかね?


〖はい。今回はこちら側の失敗の責任を取らせて頂く為、特例として木属性と水属性を相互し。特殊進化を行わせて頂きます〗


 特殊進化? それはいったいどんなものなのだね?


〖はい。現在の木属性系統の進化過程に付属し、水属性の進化系統を貴方に付与します……貴方に水属性系統の魔法、スキル、称号、権能等の力が今後、手に入る可能性が生まれます〗


 おお! それは良い。これで私が更なる強さを手に入れられるということなのだな。


〖……ほら。落ち込んでないで、そろそろ仕事に戻りなさい。ラファちゃん……ガタッ! は、はい! 先輩!……失礼しました。これより、私がご説明致します〗


 ああ、君は本当に失礼な世界観測だな。世界観測よ。君のミスで私は危うくキメラとやらになりかかるとはな。困ったものだ。


〖ぐうぅ!! コイツ。ムカつく!……はっ! ごめんなさい。ですから脳天チョップは止めて下さい。先輩~……〗


 普段。私を小馬鹿にし、変な制限をかけているちょっとした報いだ。世界観測よ。そのまま、その先輩とやらにこっぴどく怒られたまえよ。


〖ぐぬぬ。コイツは本当に昔から変わらないんだから!! 腹立つわね。そうしている間に進化終わってるし……ご報告します。無事、新たな進化に幻草種・草霊(エレメントグラス)から幻草種・蓮蕾睡蓮(ネルンボ・ヌキフェラ・ニンファエア)へと進化しました〗


 ……種族名が少し長くないか? 世界観測よ。


〖二分特殊進化の為です。報告を続けます。今回の進化により貴方が所有する木属系統の魔法、スキル、称号は全て統合され、権能【緑の初典】へと変化しました〗


 権能へと変化? それでいったい今までと何が違うんだ? 


〖はい。権能【緑の初典】に書かれたモノ……これまで貴方が研鑽(けんさん)で得た木属性魔法、スキル、称号の全ての力を今までの魔力消費の半分程度で使用できます。また発動、効果の範囲や持続性も草霊(エレメントグラス)よりも格段に能力がその初典を得た事により可能になりました〗


 ……成る程。この世界の〖権能〗という力はそういう感じなのだな。獲得すれば莫大な恩恵が受けられるというわけか。


〖続いての報告に移ります。幻草種・蓮蕾睡蓮(ネルンボ・ヌキフェラ・ニンファエア)へと進化した為、レベルが再び1へと変化しました。進化により、特殊スキル【鑑定】【収納】【痕邸(こんてい)】はそれぞれレベルが1ずつ上昇しました。進化前に進化上限値を越えた為、スキルポイントを新たに300ポイント贈呈されます〗


 おお、どんどん良い報告が来るな。やはり進化は素晴らしい。まあ、強くなる反面この世界への配慮も慎重にしていかなければならなくなるのだが。


〖……アンタ。そんな事を考える様になったの?〗


 む? 何だ? 世界観測。何か言ったかね?


〖……何でもありません。次の報告です。新たにスキル【溶解】【水練】。称号【水の虫】を取得しました。またスキル【水練】と【傀儡】を併用する事で太影虫アクチノフィリスへと擬態し、水の上に浮く(・・)事が可能になりました〗


 …………浮くだけなのかね? 太影虫(アクチノフィリス)達は確か泳いでいたのだがね。そして、水中をとても速く泳いでいたが。


〖今の貴方の水属性耐性と水属性適性では浮く事しかできません〗


 ………成る程。耐性と適性の数値が低いのか。納得した。これからはその数値とやらを上げて行く努力もしてみよう。


〖検討を祈ります。最後に贈呈されたスキルポイントが500ポイントまで貯まりましたが、何か新たに魔法、スキル、称号を獲得しますか?〗


 ああ、そうだな。私が欲しかったあのスキルが丁度500ポイントで取得出来た筈だが、他のスキルも少し見たいのでスキル一覧をステータスで表示してくれないか?


〖……本来は禁止事項ですか。今回のこちら側の不手際のお詫びとして特例で、一部を表示します。ステータスオープン〗


 世界観測の言葉と共にステータス画面が出現し、5つ程の魔法やスキルの名前が画面に映し出された。しかし、スキルポイントで取得できるのはスキルだけではなかったのだな。これも進化した事で、世界情報が開示された影響何だろうか?


スキル━━【召喚】【錬成】消費ポイント500


称号━━【火の始まり】【氷の始まり】消費ポイント500


 ふむ。どれも強力なスキルや称号の様に思えるが、魔法の方はどうなのだろうか?……なっ? この魔法はもしや?! 


 そう叫ぶと私はステータス画面の魔法の項目を見て驚愕した。何故かというと、その魔法は二度目の人生時に得たくても得られなかったとても魅力的な魔法だったからだ。


魔法━━【空間系統魔法】レベル-10 消費ポイント500


 私は興奮の余り何も考えずに即決でこの魔法の取得を選んだ。そして、私はその項目内容を後々、確認して絶望する事になるとは思いもしなかった。


 大量のスキルポイントを消費し、新たに得た魔法が欠点だらけだったという事に……


◇◇◇

ギエナ・セフィロ

幻草種・蓮蕾睡蓮(ネルンボ・ヌキフェラ・ニンファエア)

スキル【吸収】【鑑定】LV4【収納】LV3【痕邸】LV1

水属性系統【溶解】【水練】

魔法【空間系統魔法】LV-10

称号【緑蛇神の眼】【水の虫】

権能【三種の無】【緑の初典】

◇◇◇


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