No.40 苗木は虫とご縁がある
下水の水の流れに身を任せながら下る事数時間。私は今、新たな世界を目の当たりにしている。
全てが水没した地下都市がそこには広がっていた。いや、高層の建築物は水面よりも高い位置にあるので全てと表現するのは、些か大げさ過ぎたか。
地上の王都と同じ造りの白色の建物群。
下水路から流れる水は汚水が混ざっている筈がどこで浄化されたのか……透明な清水へと変化して透き通っている。
地下水路の為、暗く湿った暗闇の場所かと勝手に思っていたが、地上から水路へと繋がる各穴から反射された月明かりがこの場所を明るく幻想的に照らしてくれていた。
周囲を再度見渡すしながら、水面からはみ出した建造物にも触れた。とても古い造りのようだな。ここはもしやセフィラ王国の古都だったりするのだろうか?
私は考古学の分野に関する知識が全くといっていい程ない為、何ともいえないがこの建物には特殊な古代魔法がかけられている様に思える。
こういう分からない事はアレゼル少年辺りが詳しく知っていそうなに思えるのだが……
ドバアアァンン!!
「キュキュキュリュリュ!!」
水中から何かが勢い良く飛び出して来た。私は建物を観察していた為、まだその姿を見れていないが何とも愛らしい鳴き声だ。
私の眷属の肥満兎の様にさぞかし愛らしい姿をした魔獣なのだろう。どれ、先ずは【鑑定】スキルで相手のステータスを確認してみるとしよう。
スキル発動……【鑑定】LV3
「キュキュキュリュリュ!!」
種族・水虫種 太影虫
スキル【溶解】【水練】
称号 【水の虫】
………………鑑定した結界、虫であった。見た目は粘液状の軟体生物に見えるが鑑定結界は虫であった。大きさは50センチ位だろうか? 《フラマ》の世界で大きさを図る時の単位な為、間違っているかもしれないが。草霊の私よりも遥かに大きいのは確かだ。
「キュキュキュリュリュ!!」
とても愛らしい鳴き声だ。あの肥満兎よりもよっぽど可愛らしく鳴いている。いや、見た目はシルの方が確実に勝っていはいるのだが。
いや、今はそんな事を考えている場合ではない。今、大事な事は突然、現れたこの《軟体虫》を対象しなければならないという事だ。
しかし、初めて訪れた場所で遭遇した敵が、またしても私を補食しようとする《虫》とはな。一度目のフラマ人生時の友人が良く言っていたデジャブと言うやつか。
「キュキュキュリュリュ!!」
しかし、こんなモノが虫とはな。このセフィラ王国というのはいったいどんな生態系をしているのだ。だが、今の私の力ならば。こんな軟体虫、一匹の相手など造作もな……
バシャッ!
「ギュギュギュギュ!!」
バシャンッ!
「ビュルルルルル!!」
バシャンッ! バシャンッ!……ドバアアァンン!!!!!
「「「「「「「「ジュルバジュビュバジュ!!」」」」」」」」
───数十匹を越える軟体虫達が私を取り囲む様に次々と出現した。幻想的な水中都市に愛らしい鳴き声が幾重にもデュエットし、最早、奇声としか聴こえなくなってきた。そして、だんだん身体の感覚がおかしくなっている事にようやく気づいた。
弱そうに見える者を取り囲み、集団で襲うか。ならば私もそれに習い大量の虫の集団を呼ぶとしよう。
EX【幻草】スキル発動……【蜜蟻】【蟷螂】【痺蜂】【傀儡】【鱗粉】
私は種類別に100匹程の虫達を出現させた。
「「「「「「「「ジュルバジュビュバジュ?!!」」」」」」」」
良し! 抹殺せよ。私の虫達よ!
「「「ジジジジ!!」」」「「「ギチギチギチギチ!!」」」「「「シュルル!!」」」
「「「「「「「「ジュルバジュビュバジュ!!!!!」」」」」」」」
…………私の目の前で【傀儡】によって出現させた虫達が太影虫の群れに粘液をかけられたとおもえば捕えられ、容赦なく溶かされ補食されていく。
本当にこのセフィラ王国というものはどうなっているんだ。王都の地下にこんな魔獣でもない虫が住み着いているのは明らかに可笑しいというものだ。
そんな事を考えている間にも私の精鋭達が殺戮されていく。とても悲しい光景だ。森の中ではあれ程までに強かった森の虫達も水中で生きる軟体虫には無慈悲にヤられてしまうとは。
「「「「「「「「ジュルバジュビュバジュ♪♪♪♪♪」」」」」」」」
私の精鋭達を全て補食した軟体虫の群れは次に私を補食しようと再び取り囲み始めた……がだ。
「ピュル?」パシャンッ!
「ジュルル?!」パシャンッ!
「ギュギュ!!」パシャンッ!
次々に軟体虫の核と思える部分が紫色に変色したかと思えば、その核がどろどろに溶けてしまった。すると核を失った太影虫は、破裂していてくのだった。
「ギュギュ!! ギュルル!!」パシャン!
最初に私を発見したと思われる太影虫が、怒りの奇声を上げで私に襲いかかろうとしてきた。だが、それも時既に遅し、私の目の前で破裂し絶命した。
〖太影虫の数匹の撃破を確認しました。規定の条件を満たした為、これより幻草種・草霊を幻草種・蓮蕾への進化を行います。これにより、魔法、スキル、称号にかなりの変化が生じます。御注意下さい〗
そうか。では安全な場所を確保して、そこで進化をゆっくり待つとしよう。
〖今回は初期進化の為、一瞬で進化は終了します。それでは進化を開始します〗
い、いや、ちょっと待て。その一瞬の進化についての説明を求めるのだが……ブツンッ!
◇◇◇
幻草種・草霊→幻草種・蓮蕾へと進化中
スキル 構成中
魔法 構成中
称号 【緑蛇神の眼】 構成中
権能【三種の無】
◇◇◇




