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No.38 その苗木は次の進化を強制される


吸収装飾館アブソリュートミュージアム 》へと入室するのは1日半振りに位だろうか。


 あの教会での襲撃や馬車での移動中などが重なり、なかなか自分の時間が取れず長時間留守にしてしまった。


 現在、この中はどうなっているのだろうか。


 確か、スキル【吸収】で耳長少年(アレゼル)は、ナヘマが現在使っている 矯正(ナヘマ)の部屋 へと送った筈なのだが。扉を開けて確認してみるとしよう。


ガチャ……キイィ……


「も、もう……止めてよ。ナヘマちゃん」


「アーレのくせに何、生意気な事を言ってんのよ。学生の頃は同じルームメートだったからって、(ギエナ)を襲った事が許してもらえると思っているわけ?」


 ……何だこの状況は? アレゼル少年が、上半身裸の状態でナヘマが使用しているベッドに縛り付けられている。そして、ナヘマはというと召し使いが着る様な服装を着ていた。


「お、思ってないよ……でもこんな恥ずかしい格好で……こんな所を誰かに見られたら誤解されちゃうよ。ナヘマちゃんだってその格好恥ずかしくないの? パンツ見えてるよ」


「はぁ?! これは私が手作りしたメイド服よ。ファッション! アンタ、ラビリンスの最新ファッションも知らないわけ?」


「し、知らないよ……そ、それよりも、そのヒラヒラで短いスカートを隠してよ。目のやり場に困るんだからさ」


「目のやり場?……アーレ、アンタ。見たの?……この変態!!」


「な、何、するの?……うわあぁ?!」


パシッ!

〖注意! それ以上の暴力行為はこの【智慧】が見過ごさない。それにそのエルフ族の方はオリジンのお客人である〗


「は? お客人? そんなの初めて知ったわよ? じゃあ、私は?」


〖……現在のナヘマは、半眷属半使用人。よってこの場での立場的には一番底辺である〗


「な、何よ。それ、納得いかないわ! 抗議よ、抗議! こうなったら。あの(ギエナ)に直接抗議してって…そこに居るじゃない! ちょっと。(ギエナ)。アンタのせいでね……」


〖オリジンに対して半眷属半使用人のナヘマが、反抗的な態度を取った事を確認。よってこれより軽罰として、(くすぐ)りの刑をナヘマにお仕置きを決行する〗


「ちょっ! 止めなさいよ……何、私の手足を(つる)で縛りあげてるのよ。ば、馬鹿、変な所を触るなぁ!!」


〖それは不可能だ。では天誅を開始する〗


「イヤ~!! (ギエナ)。助けなさいよ~、ニュア?!……アハハハハ!!」


 ナヘマが【智慧】によって腹回りを(くすぐ)られているが、因果応報というものだ。仕方あるまい。


EXスキル【草神】発動……【再生】・〖魔草(リトルグラス)


〈フー、成る程。この《 吸収装飾館(アブソリュートミュージアム) 》の中でならば、魔草(リトルグラス)の状態でも会話が可能の様だな〉


「魔草が喋った?……ううん。これはもしかして念話? 付与系統スキルだよね? 珍しいスキル」


〈ほう。流石、エルフ族はどの世界でも感は鋭いのだな。それに博識とは、これは【吸収】せず。ここへ招いて良かったものだ〉


「君は……何者なの? それに何でナヘマちゃんがここに居て、あんなに強かったナヘマちゃんがあんな酷い扱いを受けているのかな?」


〈ん? ああ、ナヘマは私と戦い敗れた。そして、色々と話し合った結果、私に服従したのだ〉


『服従なんてしてないわよ! アホ(ギエナ)……アハハハハ!!』


〈そして、日々ああして楽しい日々を送っている様だな〉


「楽しい日々?……そうなんだ。じゃあ、昔みたいに危険なクエストは受けていないんだね。安心したよ」


〈危険なクエスト? 何だね? それは〉


「あれ?……知らないの? ナヘマちゃんは昔から北の国の依頼を…」ポコリッ!


「アホアーリ。何、私の許可なく勝手に私の過去を(コイツ)に話そうとしてるのよ」


 ナヘマがアレゼル少年の頭を軽く叩いた。何だ。【智慧】による拷問はもう終了してしまったのか。残念だ。


「ナヘマちゃん……お仕置きはもういいの? 嬉しいそうに擽られていたのに」ポコリッ!


「……誰が嬉しそうにしてたよ。終わったわよ。あの【智慧(アホ)】のお仕置きなんてね……せっかく手作りで作ったメイド服は少しボロくなったけどね」


 少し悲しそうな表情をしおって。そもそも君がアレゼル少年に可笑しな事をしていたのが、そもそも原因だろうに世話が焼けるものだな。私の使用人殿は。


〈……後で【智慧】に直させておこう〉


「そう。(ギエナ)にしては気が利くじゃない……サンキュー……」


 何だ? 今回は素直に礼を言うのだな。普段は怒りっぽいものを。


〈ああ、それよりも驚いたぞ。ナヘマとアレゼル少年が知り合いだったとはな〉


「あっ……うん。昔ね。同じ学校に通ってだったんだよ。ねえ? ナヘマちゃ……んぐ!」

「同じ学校に?」


 ナヘマはアレゼル少年の口を自身の両手で、軽く抑え付けた。

「昔の話よ。昔の話……それより(ギエナ)。何でアーレがここに居るのよ? それにアンタも突然、この部屋に入って来て……あんな場面を見られるし。最悪よ」


〈それは自業自得というやつだ…ぐぉ?! 私の身体を手で押さえつけるな〉


「あ、あのね……ナヘマちゃん。ボク、《 幽々(ゆうゆう)たる暗殺者》から依頼を受けたんだ。それでギエナさんと《ライオネル・リチナ墓地》に居る時に、襲撃して闘う事になって…ボクが負けちゃったんだ」


「ハァー? 強襲? 何の策も用意してない(ギエナ)にエルフ族のアーレが負けた? この無策だと弱々雑草のコイツに?……嘘? ありえないわよ。そんな事」


〈おい、君。今、私の事をとても侮辱している様に聞こえるのは、私の考えすぎなのかね?〉


「……馬鹿になんてしてないわよ。私はただ、事実を言っているだけだもの」


〈ナヘマよ。どうやら少し仕置きが足りなかった様だ…〉


「ちょっと待って……今、少し考え中なんだか」


〈……考え中? 何をだ?〉


「《 幽々(ゆうゆう)たる暗殺者》がアーレに依頼を出した。目的は? 聖女ちゃん……なわけないわよな。(ギエナ)からの情報だと騎士団が四六時中付いてるんだもの。数日前、(ギエナ)は酒を作っていて、色々と私に聞いていた………それで【唯物】とあれがある。私が居なくなったら、アイツが動き出して、やって来るとしたら」


〈ナヘマよ……何を深刻そうな顔をしている。やはり仕置きが足りなかったか?〉


「アホ。何、呑気な事を言ってんのよ。アンタのピンチなのよ」


〈私のピンチ? いや、それを今、解決する為にもアレゼル少年に色々と協力を要請しようとしていたのだ。彼には外で私の手足となり、買い出しなどを……〉


「それじゃあ間に合わないわよ。それにこの王都じゃ、アーレに買い出しさせるなんて無理よ。肩書きが違うもの」


〈アレゼル少年では? 無理だと? ならば、ナヘマ、君が〉


「私は賞金首でもっと無理よ。アホ……アーレ」


「な、何かな?……ナヘマちゃん」


「コイツと《 幽々(ゆうゆう)たる暗殺者》のアイツ。それと【揺動】のアレを同時に相手したと過程したら勝てると思う?」


「【揺動】ってあの人の事?……その人が居るんだとしたら、負けちゃう…かな。ギエナさんが」


〈……何? 私が負けるだと?〉


「そうね。それが正しい未来の結果よ…職業(ジョブ)スキルは(ギエナ)はまだ魔獣種の分類だから無理ね……こうなったら進化しかないわね。短時間での」

「進化?……ギエナさんが?」


〈おい。ナヘマよ。何を勝手に納得し、私の未来を決めているのだ。君は私に負けた……グォ?!〉


 ナヘマは私の葉(頭)を手で軽く抑えた。


「そうよ。このままだとアンタ(ギエナ)は負けちゃうのよ……確か、アンタが今、居る所って、セフィラ王国の王都ラビリンスよね? アーレ」


「う、うん……依頼してきたあの人も、依頼が失敗したら王都ラビリンスの商館に集まる様に言われてたから」


「そう。それじゃあ。(ギエナ)彼処(あそこ)に行かせて、経験値を得られるわね。そして、進化させるしかないわ」


〈モゴ……ナヘマよ。何を勝手に決めている。いったい、私をどこに向かわせようというのだ?〉


「王都の下よ。下」


〈下だと?〉


「そう、下よ。魔獣がうごめく王都の下……《水路迷宮 メイズ・ラビリス》。セフィラ王国の古代の都よ……」


 こうして、ナヘマの提案により私は強制的進化をする為に、王都ラビリンスの下へと向かう事が決まったのだった。


◇◇◇

ギエナ・セフィロ

幻草種・草霊グラス・エレメントLV 10→次の段階への進化可能

スキル【吸収】【鑑定】LV3【収納】LV2【痕邸】

エクストラスキル【草神】【幻草】

魔法 木属性魔法【光合成】 深緑魔法【花蜜の誘惑】

称号【緑蛇神の眼】【樹海の覇者】【草の理】

権能【三種の無】

◇◇◇

ここまでお読み頂きありがとうございました。


次話から久しぶりの進化パートがしばらく続きます。


よろしくお願い致します。


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