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婚約破棄されたら国が壊れたので、元王妃候補の私が世界を再設計します ~外された瞬間、流れが崩壊しました~  作者: 東雲 透


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第33話:繋ぐか、縛るか

 空気が、変わった。


 風が止まる。


 水の流れが、わずかに揺れる。


 それは。


 今までとは違う。


 明確な“意思”を感じる干渉。


「……来たわね」


 私は、静かに呟く。


 カイルが、すぐに周囲を警戒する。


「どこだ」


「……上」


 私は、空を見上げる。


 歪みの中心。


 そこに。


 “流れとは別のもの”がある。


 見えない。


 だが。


 確かに感じる。


 強い。


 圧倒的に。


 そして。


 整っている。


「……固定されてる」


 私は、小さく言う。


 流れが。


 強制的に。


 一つにまとめられている。


 それは。


 今までの“干渉”とは違う。


 もっと、明確な。


 制御。


「……これが」


 カイルが、低く呟く。


「相手か」


「ええ」


 私は頷く。


 間違いない。


 これは。


 同じ“操作”だ。


 ただし。


 方法が違う。


 私は、流れを繋ぐ。


 だが、これは。


 流れを、押さえつける。


「……来る」


 その瞬間。


 空が、歪む。


 見えない圧が。


 一気に、降りてくる。


「……っ!」


 私は、すぐに手を伸ばす。


 流れを掴む。


 繋ぐ。


 広げる。


 だが。


 押し返される。


「……強い」


 思わず、声が漏れる。


 今までとは比べ物にならない。


 密度。


 精度。


 そして。


 迷いのなさ。


「……何してる」


 カイルが問う。


「流れを、固定してる」


 私は答える。


「全部を、一つにまとめてる」


「……無理やりか」


「ええ」


 それが。


 この干渉の本質。


 分散ではなく。


 集中。


 柔軟ではなく。


 強制。


「……なら、壊すか」


 カイルが言う。


 私は、首を振る。


「無理よ」


 はっきりと言う。


「正面からぶつかれば、負ける」


 力の差がある。


 単純な出力では。


 勝てない。


「……じゃあどうする」


 その問いに。


 私は、一瞬だけ目を閉じる。


 考える。


 今までのやり方。


 そして。


 相手のやり方。


 その違い。


 その構造。


 そして。


 答えを出す。


「……広げる」


 目を開ける。


 前を見る。


「何を」


「流れを」


 私は、静かに言う。


「一つにまとめられるなら、それを上回る数で広げる」


 カイルが、わずかに目を細める。


「……分散か」


「ええ」


 それが。


 私のやり方。


 強くない。


 だが。


 広い。


「……やれるのか」


「……やる」


 それしかない。


 私は、手を伸ばす。


 地面へ。


 空へ。


 すべての流れへ。


 意識を広げる。


 一つではない。


 二つでもない。


 すべて。


 繋がっている支点を。


 同時に。


「……っ!」


 負荷が、跳ね上がる。


 頭が、軋む。


 だが。


 止めない。


 広げる。


 さらに。


 その瞬間。


 流れが、変わる。


 押さえつけられていたものが。


 わずかに、動く。


「……効いてる」


 カイルが呟く。


 私は、歯を食いしばる。


 まだ足りない。


 だが。


 通じている。


「……あなた」


 そのとき。


 声が、聞こえた。


 直接ではない。


 頭の奥に、響くような。


 静かな声。


「……分かっていないのですね」


 私は、目を見開く。


 この声。


 間違いない。


 相手だ。


「……誰」


 思わず、問いかける。


 答えは、すぐに返ってくる。


「……セレナ・ルミエール」


 その名前。


 王都の聖女。


 やはり。


「……なぜ」


 私は、息を整えながら言う。


「こんなことを」


 沈黙。


 そして。


 静かな声が返る。


「……守るためです」


 迷いのない声。


「この国を」


 その言葉に。


 私は、わずかに目を細める。


「……それで、壊してる」


「違います」


 即答。


 強い否定。


「あなたのやり方が、崩壊を広げているのです」


 その言葉に。


 胸が、わずかに揺れる。


 だが。


 私は、すぐに言い返す。


「……繋いでるだけよ」


「繋がるだけでは、安定しません」


 静かな声。


 だが。


 確信に満ちている。


「固定しなければ、崩れる」


 それが。


 彼女の答え。


「……違う」


 私は、はっきりと言う。


「固定すれば、壊れる」


 その瞬間。


 流れが、ぶつかる。


 私の分散。


 彼女の固定。


 正反対の構造が。


 この場で、衝突する。


「……っ!」


 圧が、増す。


 だが。


 私は、引かない。


 広げる。


 さらに。


 繋ぐ。


 そのとき。


 風が、大きく動いた。


 流れが。


 一瞬だけ。


 解放される。


「……っ」


 そして。


 次の瞬間。


 すべてが、止まった。


 静寂。


 風も、水も。


 完全に。


 均衡した状態。


 私は、息を整える。


 カイルも、動かない。


 その中で。


 声が、もう一度響く。


「……あなたは、危険です」


 静かな声。


 だが。


 はっきりとした意思。


「このままでは、世界が壊れる」


 私は、ゆっくりと答える。


「……もう壊れてる」


 それが、現実。


 そして。


 私の理由。


 沈黙。


 短い、間。


 そして。


「……また干渉します」


 その言葉を最後に。


 気配が、消えた。


 空気が、戻る。


 風が、動き出す。


 水が、流れる。


 だが。


 さっきまでとは違う。


「……本格的に来るな」


 カイルが、低く言う。


「ええ」


 私は頷く。


 これは。


 ただの異常ではない。


 戦いだ。


 思想の。


 構造の。


 そして。


 世界の在り方を巡る。


 戦いが。


 始まった。

第33話まで読んでいただきありがとうございます。


ついに主人公と聖女が直接ぶつかりました。


・繋ぐ(分散)

・固定する(集中)


どちらも「正しい」からこそ、

決着が簡単にはつかない構造になっています。


ここからクライマックスに向けて、

一気に物語が加速していきます。


続きが気になったら、

ぜひブックマークしていただけると嬉しいです。

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