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婚約破棄されたら国が壊れたので、元王妃候補の私が世界を再設計します ~外された瞬間、流れが崩壊しました~  作者: 東雲 透


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第31話:流れの外側にあるもの

 翌朝。


 空は、妙に澄んでいた。


 嵐の後のような。


 不自然な静けさ。


「……落ち着きすぎてる」


 私は、空を見上げながら呟く。


 カイルが隣で腕を組む。


「嵐の前より、嵐の後の方が嫌なもんだ」


「ええ」


 私は頷く。


 今は。


 “何も起きていない”状態。


 だが。


 それが安全とは限らない。


 むしろ。


 次の異常の前兆。


 そんな気配があった。


「……まずは、あそこね」


 私は、視線を東に向ける。


 昨日、崩壊が起きた場所。


 あそこを、もう一度確認する必要がある。


「行くか」


「ええ」


 短く言葉を交わし、歩き出す。


 村の外。


 崩れた水路。


 抉られた地面。


 その痕跡は、まだ生々しく残っていた。


「……」


 私は、ゆっくりと近づく。


 そして。


 しゃがみ込む。


 手を、地面に当てる。


 目を閉じる。


 感じる。


 残っている“流れ”。


 そして。


 その奥。


「……やっぱり」


 私は、小さく呟く。


「何かある」


「分かるのか」


 カイルの声。


「ええ」


 私は、目を開ける。


「ここ、流れが途切れてるんじゃない」


「……?」


「“切られてる”」


 その言葉に。


 空気が、わずかに張り詰める。


「……誰かが、意図的に?」


「そう」


 私は頷く。


「自然に崩れたなら、こんな形にはならない」


 流れは。


 もっと、滑らかに崩れる。


 だが、これは違う。


 まるで。


 刃物で断ち切ったような。


 そんな、不自然さ。


「……じゃあ、相手は人間か」


「……分からない」


 私は、首を振る。


 感覚としては。


 “人”に近い。


 だが。


 同時に。


 違う。


「でも、ひとつ言える」


 私は、ゆっくりと立ち上がる。


「これは、同じやり方じゃない」


 私のように。


 流れを繋ぐものではない。


 もっと強引に。


 もっと一方的に。


 押しつぶすような力。


「……対極だな」


 カイルが呟く。


「ええ」


 私は頷く。


「だから、ぶつかる」


 繋ぐ力と。


 押さえつける力。


 その衝突が。


 あの暴走を生んだ。


「……面倒な話だ」


「ええ」


 私は、少しだけ苦笑する。


 だが。


 同時に。


 理解できたことがある。


「……勝てない」


 ぽつりと、呟く。


 カイルが、すぐに反応する。


「何?」


「今のままじゃ」


 私は、はっきりと言う。


「同じことをすれば、また壊れる」


 繋ぐだけでは。


 ダメだ。


 相手の干渉を。


 無視できない。


「……じゃあどうする」


 カイルの問い。


 私は、少しだけ考える。


 そして。


 答えを出す。


「……知る」


「何を」


「相手を」


 それしかない。


 何が干渉しているのか。


 どういう仕組みなのか。


 それを知らない限り。


 対処はできない。


「……当てはあるのか」


「……ひとつだけ」


 私は、視線を遠くに向ける。


 王都。


 あの場所。


 そして。


 そこにいる存在。


「……中心にいるもの」


 それが、鍵になる。


「……王都か」


 カイルが言う。


「ええ」


 私は頷く。


「たぶん、そこに全部繋がってる」


 この流れ。


 この干渉。


 すべての起点。


「……戻るのか」


 その問いに。


 私は、一瞬だけ沈黙する。


 そして。


「……いいえ」


 首を振る。


 戻らない。


 それは、変わらない。


「じゃあどうする」


「引き寄せる」


 私は、静かに言う。


 カイルが、わずかに眉を動かす。


「……何を」


「相手を」


 その言葉に。


 空気が、わずかに揺れる。


「ここまで干渉してくるなら」


 私は続ける。


「逆に、誘導できる」


 それが。


 今、考えられる唯一の手。


「……危険だな」


「ええ」


 私は、迷わず頷く。


「でも、やるしかない」


 ここで止まれば。


 また同じことが起きる。


 それは、確実。


「……分かった」


 カイルが、短く言う。


「付き合う」


 それだけ。


 それだけだったが。


 十分だった。


 私は、小さく息を吐く。


 そして。


 前を向く。


 次の段階へ。


 ただ直すだけではない。


 原因に触れる。


 その先に。


 何があるのかは、分からない。


 だが。


 進むしかない。


 この流れの。


 外側にあるものへ。

第31話まで読んでいただきありがとうございます。


ここで「敵の性質」が見えてきました。


単なる災害ではなく、

明確に“干渉してくる存在”です。


ここから物語は、

「修復」から「対峙」へとシフトしていきます。


次はさらに、

その存在に近づくための行動が始まります。


続きが気になったら、

ぜひブックマークしていただけると嬉しいです。

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