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婚約破棄されたら国が壊れたので、元王妃候補の私が世界を再設計します ~外された瞬間、流れが崩壊しました~  作者: 東雲 透


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第29話:守れなかったもの

 東の村に辿り着いたとき。


 すでに。


 遅かった。


「……っ」


 足が止まる。


 目の前の光景が。


 理解できなかった。


 いや。


 理解したくなかった。


 水路が、崩れている。


 掘ったばかりの流れが、無残に潰され。


 水は、逆流している。


 畑は、倒れ。


 土は、抉られ。


 そして。


 風が。


 暴れていた。


「……なんだ、これ」


 カイルが低く吐き出す。


 それは。


 さっきまでの“乱れ”ではない。


 明確な。


 “暴走”。


「……っ!」


 私は駆け出す。


 中心へ。


 流れが最も歪んでいる場所へ。


 そこに。


 人がいた。


 倒れている。


「……大丈夫!?」


 私は膝をつく。


 呼吸はある。


 だが。


 意識がない。


 周囲にも。


 同じように倒れている人がいる。


「……衝撃でやられたか」


 カイルが周囲を確認する。


「死者は……」


「……まだ、いない」


 その言葉に。


 ほんのわずかに、安堵がよぎる。


 だが。


 それで済む問題じゃない。


「……流れを止める」


 私は立ち上がる。


 すぐに手を伸ばす。


 この暴走を。


 抑える。


 そのために。


 集中する。


 流れを掴む。


 繋ぐ。


 整える。


 その瞬間。


「……っ!?」


 弾かれる。


 強い抵抗。


 今までとは、まったく違う。


 繋がらない。


 むしろ。


 拒絶される。


「……なんで」


 もう一度、試みる。


 だが。


 同じ。


 流れが。


 受け付けない。


「無理だ」


 カイルが言う。


「引け」


「……まだ」


「引け!」


 強い声。


 私は、一瞬だけ迷い。


 そして。


 手を離す。


 その直後。


 風が、爆ぜた。


 地面が、大きく揺れる。


「……っ!」


 思わず後退する。


 もし、続けていたら。


 巻き込まれていた。


「……どうなってる」


 カイルが低く言う。


 私は、息を整えながら。


 ただ。


 目の前を見る。


 崩れた流れ。


 壊れた構造。


 そして。


 自分が作ったはずの“繋がり”。


 それが。


 すべて。


 逆に作用している。


「……私のせい」


 小さく、呟く。


 カイルが、すぐに反応する。


「違う」


「違わない」


 私は、はっきりと言う。


「繋げたから、広がった」


 支点を繋いだ。


 それによって。


 この領は、一つの構造になった。


 だから。


 干渉も。


 広がった。


「……っ」


 言葉が、詰まる。


 理解してしまったから。


 自分のやったことの。


 結果を。


「……私が、広げた」


 その事実を。


 否定できない。


 カイルが、何か言おうとする。


 だが。


 私は、先に口を開く。


「……守れなかった」


 視界が、少し揺れる。


 息が、浅くなる。


 さっきまで。


 うまくいっていた。


 確かに。


 流れは整っていた。


 希望があった。


 それなのに。


 結果は。


 これだ。


「……まだ終わってない」


 カイルが言う。


 その声は、落ち着いている。


「被害は限定的だ」


「でも」


「全滅じゃない」


 その言葉に。


 私は、わずかに顔を上げる。


「……」


「だから、まだやれる」


 彼の視線は、真っ直ぐだった。


 現実を見ている。


 感情ではなく。


 状況を。


 私は。


 その視線を受け止める。


 そして。


 ゆっくりと、息を吐く。


「……原因を探す」


 それしかない。


 なぜ。


 こうなったのか。


 何が。


 干渉しているのか。


 それを。


 突き止める。


「……そうだな」


 カイルが頷く。


 私は、もう一度。


 崩れた場所を見る。


 さっきまで。


 繋がっていたはずの流れ。


 それが。


 今は。


 完全に、壊れている。


 その光景が。


 胸の奥に、重く沈む。


「……次は」


 小さく、呟く。


「同じことは、繰り返さない」


 それが。


 今できる、唯一の約束だった。

第29話まで読んでいただきありがとうございます。


ここで初めての大きな失敗を描きました。


これまでの成功が、

一気に崩れることで、

物語の緊張感が大きく変わります。


そして主人公も、

「できる側」から

「責任を背負う側」へと変化していきます。


ここからが本番です。


続きが気になったら、

ぜひブックマークしていただけると嬉しいです。

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