良かったわ、私の意図を察してくれて。
ちょっとヤンチャな妹を出してみました。
第1部完まで、この話入れて3話です。
「キサラお姉様、良いのですか?」
「問題無いわよ、リン。」
「キサラお姉様が良いのなら、これ以上は言いません。」
「先程の奴隷と一緒で、奴隷環から奴隷紋に、身体の洗浄と清潔な服等を含めた身嗜みをお願いするわ。」
「畏まりました。」
その後、購入した2人と正式に奴隷契約をして支払いを済ませると、私達の馬車に乗せた。
人族の方の娘は、何か言いたそうに私を睨んでいるし、エルフの娘は、馬車の中を見て驚いていたわ。
2人を乗せた私達は、必要な日用品や服等を買ってクレンザム公爵家に到着すると、私達は部屋に行く。
そして、ソーマから習った遮音の魔法を発動した。
「これで、内緒話が出来るわね。さて、改めて自己紹介するわね。私はAランク冒険者のキサラよ。」
「キサラお姉様の奴隷でCランク冒険者のリンです。」
「あたいは、キサラ姉の奴隷でCランク冒険者のサラ。」
「キサラ姉さんの奴隷でCランク冒険者のレナよ。」
「次は2人なんだけど、名前が無いのよね?」
「そうよ。」
「……はい。」
「でも、人族の方は、言える名前が有るわよね?」
「……アズサよ。」
「分かったわ。貴女の名前は『アズサ』よ。」
まあ、人生が2つ有るからよね。
奴隷契約等で封じているのは今生だけだし。
「貴女の大切な人は、貴女をどう呼んでいたかしら?」
どうも、怪しいのよね。
王族だから、家族間に何か有ったかもしれないから、家族ではなく「大切な人」って誤魔化したけど、大丈夫かしら?
「……ありがとう。私は大切な人から『オルフィーナ』と呼ばれていました。」
「それなら、貴女の名前は『フィナ』ね。」
良かったわ、私の意図を察してくれて。
「さて。アズサ、何か言いたそうね?」
「当然よ。貴女は何者なのよ!」
「多分、故郷は一緒だと思うわ。」
「……やっぱり。」
エリカside
私の名前は「福原梓」だったわ。
所謂、異世界転生ね。
……でも、モブ転生。
神様にも会わなかったし、チートなスキルも無い。
それに、貧しい農家の生まれでは知識チートも出来ない。
そして、何処かのドラゴンが跨いで通る天才美少女魔導師みたいに戦う勇気も無い。
それでも、優しい両親の為に、出来得る限りの知識を使って少しでも暮らしが良くなる様に頑張ったわ。
だけど、私が14歳の時に大飢饉が発生して、私達を生かす為に森に行った両親はモンスターに食べられて死んじゃった。
残ったのは、長女の私と弟で長男のマイクと、次男のレイクだけ。
子供だけで生きていける程、異世界は甘くないわ。
だから、叔父に弟達をお願いして、マイクに私が売った私の代価を渡して、生まれた村をサヨナラしたわ。
そして、変な美少女に私は買われた。
フィナside
私は南のエルフ王国の王族で王位継承権5位で、親しい人達からは「オルフィーナ」と呼ばれていたわ。
でも、エルフ族こそが選ばれた高貴な種族で、他の種族は隷属しべき劣等種だと言い出す過激派が生まれ、政権を奪われた。
そして、正体不明で不気味な男に、魔法か何かを掛けられて精霊魔法を使えなくされて地下の牢獄に閉じ込められたわ。
3週間以上過ぎた頃に、地下から脱出が出来たけど、私達を追い掛ける者達に、1人、また1人と殺されていき、残った私達は崖に追い込まれ、私は崖から転落したわ。
そして、川に打ち上げられた私を、助けたのが人族の盗賊だった……
私は奴隷に堕とされたわ。
ある日に、私を買う人族の少女が現れた。
キサラside
「貴女は何者な……ぐふっ!」
「奴隷である以上は、言葉使いに気を配りなさい。」
「なっ!」
「リン、良いのよ。」
「しかし、キサラお姉様……」
「リン。」
「はい、キサラお姉様。」
「私が何者かの質問は教えても良いけど、秘密厳守で他言無用よ。」
「分かったわ。」
「分かりました。」
「まあ、フィナには分からないと思うけどね。」
「……はあ。」
「アズサ。私は、『鬼』よ。」
「……はい!?」
「異世界転生が実在するのに、他の『空想』は、存在しないと言わないわよね?」
「ガチ?」
「マジガチよ。」
「……マジか。……!?」
「どうしたの?」
「まさか、貴女は……閻魔大……」
「ええ。私の父上は、『最初に死んだ人』よ。」
「……まあ、異世界転生があるもんね~。はあ……」
「アズサは、ちょっと旅立ったし、次はフィナね。」
「はい。」
「まあ、フィナには理解出来ないと思うのよね。強いて言うのなら、違う世界の精霊の様な存在が、この世界の『者』として生まれたのが私。」
この後、私が崇拝する精霊と同じだと勘違いして誤解を解くのに大変だったわ。
「……という訳よ。」
「分かりました、キサラ姉様。」
「……キサラ『姉様』?」
「お帰りなさい、アズサ。」
「どういう事なの?」
「私、末っ子だから弟妹が欲しかったのよ。だから、お姉ちゃんに憧れていたわ。」
「……はあ。」
「アズサは、私を『キサラ姉ちゃん』よ。命令ね。」
「……分かったわ、キサラ姉ちゃん。」
「善きかな善きかな。」
この後は、アズサやフィナを交えて、今後の予定を話し合う事になったわ。
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