182話 エピローグのエピローグ
「すいません」
「ありゃ、理事長先生じゃないかい」
「釜玉を1つお願いします」
「あいよー」
たまに学生達に混じって学食で食べるうどんも乙なものだ。
「おばちゃーん。俺、素うどんと釜玉ね」
「あいよー」
実際に俺が高校に通ったのは一月とちょっと。
たったそれだけだが、この喧騒が今も懐かしく思える。
コピコピッ───。
「ん?マジか・・・」
思い掛けない人からのいきなりの知らせに焦る・・・。
「ごちそうさまでした。今日も美味しかったです」
「あいよー。今、手が離せないからそこに置いといとくれっ」
「はーい。ごちそうさまでした」
器とトレーを返却し、急いで理事長室へと戻る。
コンコンコン───。
「どうぞー」
ガチャ───。
「お久しぶりです、ハヤーキ様。シオリさんとホノコさんもお久しぶりです」
思い掛けない人とは、厄介事ばかり押し付けてくる面倒臭い領主様。
今は、領主では無くやり手の社長さんだったり、名前も現代っぽく早木湊と何か格好良い名前に改名してたりもする。
そして、シオリさんとホノコさんも出会った頃のメイドルックでは無く秘書らしくスーツを着込んでいる。
「どうされたんですか?」
「いやぁ、近くまで寄ったものだからね。久しぶりに顔だけでも見たくて」
「は、はい・・・」
また無茶振りでもしに来たんだろうか・・・。
「今回は本当に顔を見たかっただけの様ですので心配はご無用です」
「あ、はい」
相変わらずナチュラルに心を読んで来る・・・。
「ところで」
「はい」
「高校運営の方は順調かい?」
「はい。レイジアに叩き込まれましたから」
「はっはっは。そうだったね」
「はい」
「何故、高校なのか聞いても?」
「そうですね・・・未練でしょうね」
「ふむ」
「もし、あの時、事故らずに、普通の高校生として生活して、そのまま一生を終えていたら。なんて事は考えた事もありました」
「後悔しているかい?」
「いくらしても、し足りないですね」
「それは・・・」
「妻を見送り、子を見送り、孫を見送り、曾孫を見送り・・・同じ時を歩めなかった事への後悔は尽きないですね」
「それは、すまない事をした」
「いやいや、後悔以上に感謝していますよ。ハヤーキ様にはレイジアも紹介して貰いましたし」
「だがっ」
「それに、異世界に飛ばしたのはハヤーキ様じゃないですから」
「そう。私に責任は無いっ」
「おいっ」
「あの方にも困ったものだ」
「あのおじーちゃん・・・」
「ローズル様だね」
まぁ、アイツは1発くらいしばいても許されると思う。
「その時はお声掛けお願い致します」
「え?」
「全力でお手伝い致します」
「は、はい・・・」
シオリさんとホノコさんもアイツ・・・ローズル様には何かあるのか・・・。
「というか、アレですね。異世界に来た事自体は後悔してません」
「そうなのかい?」
「来なければ出会えなかった人が沢山居ますから」
「私を筆頭にだね?」
「あー、はい、そっすねー」
「社長」
「なんだい?」
「黙るのと黙らされるのとどちらが宜しいですか?」
「こ、小粋なジョークじゃないか・・・」
「次に口にされた言葉が辞世の句になります」
「・・・・・・」
「馬鹿が失礼致しました」
「は、はい・・・」
沈黙は金、雄弁は銀。と言う・・・。
ハヤーキ様はお口にチャックをして背筋までピンと伸びている。
「後は、シオリさんから忠告されていたのに不死を吸収してしまった事ですね」
「あの場合はあれが最善だったかと思われます」
「まぁ、そうなんですけどね」
でも、何だかんだ今も楽しくて幸せだったりする。
「それならば良かったです」
「寂しくはありませんか?」
ガチャ───。
「ユウさーん。お昼持って来ましたよっ。えっ?」
「お久しぶりです」
「えっ?えっ?シ、シオリさんっ。ホノコさんもお久しぶりですっ」
「お変わり無い様で」
「寂しくは無いですよ。愛実も相変わらずなんで、毎日が忙しなくて。そう感じる暇も無いです」
「その様ですね」
ここまでお読み頂きありがとうございました。
書き忘れた事、書ききれなかった事、その他諸々心残りはありますがサウサドサン戦記はこれで完結となります。
ありがとうございました(「・ω・)「ガオー




