第二十三話 新たな争い
第二章ではまず南の魔法帝国と激突します!
ラグナート王国が狂喜乱舞に沸き、新たな王妃の誕生を祝っていたその裏で、南の軍事大国・魔導連邦帝国の不気味な歯車が、凄まじい速度で回り始めていた。
「ラグナートの若き英雄、アルフレッド……か」
玉座の間。鈍い鉄色に輝く鎧を纏ったガイウスは、手元のハンカチを愛おしげに懐へと収めると、その漆黒の瞳に冷徹な光を宿した。
彼の前には、影から現れた帝国の密偵が跪いている。
「はっ。ラグナート王国は現在、新王妃リリアの『奇跡の力』によって国力を急速に回復させております。先の国難を救った聖女として、民の支持も絶大です」
「奇跡、ね。ククッ……当然だ。彼女の光は、この世の何よりも尊く、美しいのだから」
ガイウスは低く笑った。だが、その笑みは一瞬で消え失せ、周囲の空気が凍りつくほどの凄絶な殺気が放たれる。
「だが、その光を浴びていいのは、世界で僕一人だけだ。泥棒猫が彼女の腰を抱き、あろうことか『我が妻』などと呼んだそうだな? ……許せない。到底、許されることではない」
ドォン! と、ガイウスが玉座の肘置きを叩きつけると、強大な魔力が衝撃波となって広間を揺るがした。
彼にとって、リリアは暗黒の少年時代に差した唯一の救いの光。彼女を手に入れるためだけに、血みどろの帝位争いを勝ち抜き、この巨大な軍事帝国を我が物にしたのだ。すべてはリリアを迎え入れるための「器」に過ぎない。
「全軍に告げよ。これより我が帝国は、北のラグナート王国へ進軍する」
「! ……ガイウス様、ラグナートは険しい山脈に守られた不落の国。正面からの侵攻は、我が軍とて相応の痛手を――」
「黙れ」
ガイウスは冷たく遮った。
「誰も正面から攻めるとは言っていない。ラグナートの愚かな王は俺の愛しのリリアを汚染しようとしている。この報いは必ず受けてもらう」
不敵な笑みを浮かべたガイウスは、傍らに控える魔導師たちに命じた。
__________________________________________________________________________________________
数日後。永久追放となり、北の凍てつく修道院へと護送されていたエドワードとミスティの前に、黒い霧と共に帝国の魔導師たちが現れた。
護衛の騎士たちは一瞬で消し炭となり、絶望に震える二人の前に、ガイウスからの「提案」がもたらされる。
「ラグナートへの復讐と、再び王の座に就くチャンスを。……ただし、聖女リリアは我が皇帝ガイウス様へ献上しろ」
エドワードは狂ったように食いついた。
「やる! やるぞ! あのアルフレッドとリリアさえ破滅させられるなら、私は何だってする!」
ミスティもまた、憎悪に満ちた目で笑った。
「あいつらから、すべてを奪い返してやるわ……!」
久しぶりの更新となりました。
ですが、第二章に入ったのでこれからは5日で一話を心がけます。
よければブックマーク、評価ポイントお願いします。




