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4話 練習試合

「皆、聞いて、早速だけど練習試合を申し込んだわよ」


「えっ?相手はどこですか?」


「それがね、昨年の県ベスト4の松潮学園よ」


「いきなりハードル高いな・・」


「遠藤君、それくらいの相手じゃないと張り合いがないわ」


 新設したばかりのバスケ部を相手にしてくれるなんて、普通なら相手にしないはずなのに、一志を含め、この場にいる全員がそう思っているはずだったのだが。


「ん?そいつら強いの?」


「ヒデ、お前知らねーのか?松潮学園を」


「言っただろカズ、俺は公式戦とか未経験だから」


 栄人だけが無知で疑問と期待に満ち溢れていた・・・そんなに強いのか?強いなら尚更戦いたい。


「試合は土曜日、各自学校へ集合ね」


 初めての試合、各々緊張とワクワクで胸の高鳴りが止まらない。


「皆、この長野県には四天王と呼ばれる選手がいるの、その松潮学園には居るのよ四天王の一人が」


 ・・・ゴクリ・・・


「私達の為に胸を貸してくれるんだから、倒すつもりで・・いや、勝ちに行くわよ」


「はいっ」


 **** 


 松潮学園バスケ部部員数は40人くらい、来たる聖峰高校と練習試合の為、練習に励む部員達。


「おい、卜部うらべ、卜部どこに行った?」


権田ごんださん、卜部のヤツ書き置き残して帰りました」


 ーーカラオケ合コン呼ばれたから、今日は練習休みますーー


「あんの野郎~おいっ誰かあいつに電話しろ」


 部員の一人が携帯を取り出し、卜部に電話をする。

 卜部と言う生徒は中学時代は全国大会に行った期待の新人、松潮学園がスカウトに成功し今に至り、現在二年生である。


 ・・・只今、電話に出ることができません・・・発信音の後にメッセージをどうぞ・・


「権田さん、全く出ません卜部のやつ」


「あいつ・・・明日しばく・・て言うかフットワーク3倍だ」


 ****


「ねぇ、卜部君今日部活はいいの?部長さん怖いんでしょ?」


「たまには、羽伸ばさないとね」


 カラオケ店にて、女子生徒と他校の女子生徒が声を掛ける。

 卜部は見るからにイケメンの童顔男子、学校内でもファンが多い。


「権田部長に付き合ってたら、身が持たないよ、しかも、ゴリラだし」


 ニコニコしながら話す卜部、彼の実力はまだ謎に包まれている。

 翌日、いつもの様に練習に行く卜部だが、当然部長の権田に怒られた。


「卜部~テメー」


「痛い、痛い、権田さん」


「四天王と呼ばれているんだから、もっと自覚を持て」


 かなりガッチリした体格に、角刈りがトレードマークの権田が両手の拳を握りしめ、卜部のこめかみにグリグリと鉄拳制裁。

 権田は部長でありながら、主将を任されている為、人情には熱い男。


「変な肩書き付けるの止めて欲しいですね、練習試合の相手はどんな相手です?」


「知らん、新設して間もないとしか聞いていないが、只、聖峰東中の遠藤が加入したて言うのは聞いている」


「へぇ、中学時代県ベスト4だったあの点取り屋君ですか?楽しみだなぁ」


 練習試合当日を向かえ、全員学校に集合し、駅から電車で松潮学園に向かう。


「皆集まったわね、向こうに着いたら今日はオーダーを発表するわ」


 電車移動を経て、松潮学園に到着した聖峰バスケ部、早速体育館に向かう。


「ちわーっす、よろしくお願いします」


 全員威勢の良い挨拶を済ませ、更衣室に案内される。


「早速だけどオーダーを発表するわ、名前を呼ばれたら菜々子ちゃんからユニフォームを受け取ってね、と言っても全員にユニフォーム渡るけどね」


 ・・・ドキドキ・・・


「やっぱり先にユニフォームから渡すわ、でもね、河村君は4番で決定ね」


「おいっ・・・」


 緊張感台無しであった、4番は主将が背負う背番号だ。

 河村は部長であり主将に任命したのは、この部を設立した張本人であり、何より冷静にどんな状況にも対応できる所。


「そう言えば、副部長決めてなかったわね・・誰が良い?」


 今更・・全員その事をすっかり忘れていたが、満場一致で選ばれたのは大樹だった。


「伊藤君、やってくれる?」


「わかりました・・やらせて貰います」


 いち早く一年生の中でユニフォームを渡され、背番号は5。


「残りは面倒だからじゃんけんで、勝った人から好きな番号選びなさい」


「えっ?」


 残りの7人でじゃんけんをし、いち早く勝った一志、次に泰、淳大、最後は栄人となる。


「俺、中学時代は6番だったから6番貰うっス」


「じゃあ俺は8番にするよ、遠藤と同じ理由です」


 一志と泰は中学時代に背負った背番号を着けたい理由であっさり決まり、淳大はと言うとサッカーや野球の10番はかなり有名アスリートが着けている理由で、自分もそうありたいと願い10番を選択、茅野は11番を選び後の二人は初心者と言う事もあり、控えめに14番と15番を選択。


「最後は俺か・・・7番にしようかな、ラッキーセブンて事で」


 そんな良くある7選びで、栄人の背番号が決まるとは誰が予想したのか。

 着替えを済ませ、体育館に集まる全員初めて尽くしの挑戦が始まる。


「聖峰高校バスケ部監督の神田川です、本日は練習試合受けて頂きありがとうございます」


「松潮学園監督のつじです、こちらこそよろしくお願いいたします、部を新設したばかりと聞いてはいましたが、どうか我々のウォーミングアップ程度にならない様にお願いしますよ」


 上から目線の態度に怒りを抑えながら、穏便に挨拶を終わらせるが、胸中穏やかではない。


「さて、じゃあスタメンを発表するわ」


 両チームベンチに付き、スタメンが発表される、ドキドキが止まらない。


「センター中河君、パワーフォワード佐久間君、シューティングガード伊藤君、スモールフォワード遠藤君、そしてポイントガード・・・河村君」


 栄人がスタメン落ちに皆びっくりした、これには沙弥の思惑があったからだ。


「今村君、君にはポイントカードをやってもらいたいけど、ポイントガードの役割とかわかってないと思うから、君は先ず河村君や相手のポイントガードをじっくり観察する事」


「俺がポイントガード?」


「君の的確なパスやドリブルの制度、そしてスピードには評価したいけど経験が浅いから、スタメンにはしなかったわ」


 栄人をスタメンから外したのは、ポイントガードとはどんなポジションなのか、どんな役割をするのかそれを覚えさせる為である。


「さてお前達、相手は部を新設したばかりだが手を抜くなよ、だが、控えをスタメンに使うからな、序盤は30点リードしろ」


「監督、僕を出して欲しいな・・」


「卜部、格下相手に四天王を出す必要はない」


 完全に見くびられた、チラリと相手のベンチに目を向ける沙弥の怒りが顔に出始める。


「向こうの7番、あれが四天王の1人、卜部夘月うらべうづき君よ、ナメられたものね・・ちょうど良いわ、相手が油断している内に目に物を見せてやりなさい」


 試合開始、両チームのスタメンがコートに入り聖峰高校の挑戦への第一歩が始まろうとしている。


「さぁ、初陣よ」


「オゥ」



































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