17話 北都商業戦4
前半に言っていた、あれを使う作戦。
それまで、栄人達の体力があればの話だが。
第3クォーター同様、北都商業が点を入れれば、聖峰は一志が得点をあげ、リバウンドは泰が制して、6点差のまま。
「上田さん、向こうのセンターパワーだけじゃない、柔軟性もありますよ」
「わかっている、青山、取られたら取り返す、それは、向こうも同じだろうな」
リードしているのに、聖峰の威圧感が半端ない。
第4クォーター5分を切り、聖峰は、栄人のパスから一志、泰、淳大で得点を奪い、北都商業は青山を起点に上田や望月を中心に得点を奪い、66対60となる。
・・・ちくしょう、俺は何も出来ねーのかよ・・俺からスリーポイント奪ったら何が残る?
大樹は葛藤していた、望月にマークされてからは、あまり、何も出来ていない、むしろディフェンスを引き付けるに精一杯だ。
・・こんな所で終わる俺じゃない・・今までの努力は何処へ行った?
「ヒデ寄越せ」
突然何かが吹っ切れたかの様に、栄人にボールを要求した大樹、望月を持ち前のテクニックで交わし、スリーポイントを決めた。
「ざまぁみろ・・」
この大樹のプレイで、流れが変わりだした。
北都商業の攻撃をカットし、栄人が速攻をしかけ、直ぐ様大樹にパスを送った。
「大樹、おかわりタイムだぜ」
速攻で2対1の状況で、中に切り込めば良いのに、大樹は迷わずスリーポイントを放った。
指のかかり具合、手首のスナップ、飛んでから放つタイミングもバッチリだ。
綺麗に描かれた放物線は、ゴールネットを貫き静かに落下した。
「よっしゃー」
第4クォーター、ついに聖峰が同点に追いついた。
このスリーポイントをきっかけに、聖峰が勢いに乗り始める。
「青山、ボールを取られたら直ぐに戻れ、点取り合戦だ」
「上田さん、必ず得点します、点取り合戦上等、最高の一杯を作ってやります」
ディフェンスに付く間もなく、青山のカウンターが炸裂し、再びリードを奪い返す、ついに、沙弥から指示が来た、あれを使えと。
「よっしゃ、皆行くぜー」
栄人からボールが行き、間近にいた泰がボールを受け取り、直ぐ様大樹にパスが送られた。
大樹も直ぐ様、淳大にパスを送り、最後は一志がボールを受け取りゴールを決めた。
あまりのパスワークの速さに、北都商業のディフェンスが間に合わない状況だった。
「名付けて、聖峰名物、稲妻カウンター」
沙弥がベンチ越して、そんな事を言っている間に、再び稲妻カウンターが決まり、残り2分で聖峰がリードを奪った。
「クソッ、誰で来るのかわかりゃしねーぞ青山」
「上田さん、ここからはミス1つも許されませんよ、奴らは最後までこのスタイルで来る、せめて誰が来るかわかれば」
聖峰稲妻カウンターは、得点を奪われた後、選手全員が走り、素早いパスワークで相手を翻弄し、最後はゴールに近い者がシュートを放つ、慣れない内は誰で来るかわからない。
慣れて来ると、誰で来るか予想しやすくなるが、それは聖峰側もわかっている事。
だからこそ、この作戦でリードを奪い、尚且つ広げたいが、相手も昨年のベスト4、早々に上手行くわけがない。
聖峰がリードを奪えば、北都商業は直ぐ様追いつく、この均衡状態が続き、ラスト1分を切った。
「お前ら、いい加減、へばれよ」
「青山さんよ、悪いけど、地獄の鬼監督のしごきに耐えたんだ、生憎だが体力には自信あるぜ」
栄人が丁寧に、説明し、沙弥が誰が鬼監督だ?と睨み付ける。
聖峰の練習は持久力アップの為、走り込みは無理のない程度で欠かせない、しかも、高地トレーニングを取り入れているから、呼吸の使い方がわかっていた。
ラスト10秒青山のゴールで88対88となり、聖峰これが最後の攻撃となる。
はっきり言って延長戦を戦う覚悟はない、栄人達の体力に限界が来ていた。
栄人から大樹にボールが渡り、そのままスリーポイントに行くかと思いきや、フェイクを入れて淳大にパスを送る。
ラスト5秒、淳大に青山のマークが付いた。
「ヤマ張って正解だったぜ、最後は淳大だろうと」
「青山ぁぁー」
淳大は迷いなくシュートに行く、青山に競り勝ち、ブザービーターを決め、90対88と聖峰の勝利に終わり、聖峰が初めて決勝リーグに進出を決めた。
「ありがとうございました」
「お前ら来年また、リベンジするからな」
青山の奥深くに、悔し涙と、淳大の成長を見れた嬉しさが半分ずつ流れていた。
皆がエースと称えた栄人、持ち前の技術で点取り屋の一志、鮮やかなシュートフォームを持った大樹、高さと威圧感を示した淳大と泰。
皆で勝ち取った勝利だった。
決着しましたが、一旦ここで、切らせて貰います。
閲覧ありがとうございました。




