16話 北都商業戦3
第3クォーター、栄人が先ずボールを支配、上田のマークを何とか振り切り、一志にボールが渡りシュートを決める。
栄人も段々と調子が上がり、上田のディフェンスに慣れ始めてきた。
勢いを徐々に取り戻し、北都に得点を与えず攻守交代。
「試しに淳大を使うか」
淳大の吹っ切れた表情がチラリと目に入り、試しに淳大にパスを出す。
青山が用意周到に、淳大のディフェンスに入る。
「行くぜ・・・」
4ファウル食らっているのに、果敢に攻め入る淳大。
さっきよりも、雰囲気が違う事に気付いた青山
だが、淳大はシュートに入り尚且つ青山からファウルを貰い、バスケットカウントを得た。
「淳大、すげーじゃん」
「今村、俺はもうファウルは貰わねー、だから、青山は俺がやる」
さっきまでの淳大が嘘の様に変わる、チャンスを物にしバスケットカウントを決めた。
それを見た青山は笑った、淳大が成長していく様を。
「聖峰、逆襲劇開幕かな・・」
客席には卜部の姿があった、自分を苦しめた聖峰、友達でライバルの青山、この対決を静かに見守っている。
「くそ、しつこいな・・・振りきれねー」
大樹の体力が徐々に奪われていく、望月のディフェンスを振り切るに中々振り切れない。
「ヒデ、暫くは伊藤は使えねー、俺と中河でなんとかする」
一志が自信ありげに言う、高さなら泰に勝る相手は居ないと判断したからだ。
「んじゃ、ガンガン点を入れてくれよ」
それでも栄人は信じて待っている、大樹はそこまでの男ではない事を。
栄人の隙をつき、上田がボールをカット。
そのまま青山にパスを送るが、栄人が後ろから追いかける。
青山がシュートモーションに入る手前で、栄人がボールをカットした。
青山の身長は185㎝、10㎝も差があるのに何故カット出来たのか?特別ジャンプ力があるわけではないのに。
「良く、追いついたな」
「途中でスピード緩めただろ?同時に飛んでも勝てるわけねーし、もしやと思いヤマ貼ってみたのさ、空振りしたらどうしようかと思ったぜ」
栄人のビックプレイに会場が沸いた。
観客の大半は北都商業が勝つと睨んでいたのに、聖峰の応援が徐々に増え始めた。
「聖峰、まだまだ行けるぞー」
「逆転しろー聖峰」
「決勝リーグに行けー聖峰」
何となく、力が沸いてきた。
不思議だ、リードされているのに。
・・・今日程、バスケが楽しいなんて・・。
全員がそう思っていた、苦しい状況なのに何でだろ。
「ヒデ寄越せ」
厳しいマークに遇いながら、大樹がボールを要求。
直ぐ様、一志にボールが渡りシュートが決まる。
「伊藤ナイス」
中学時代、どんな場面でも何とかするのがエースの役割、一志の中学時代が頭に過りだす。
少しずつだが、北都商業のディフェンス陣に乱れが生じてきた。
栄人から泰、泰から大樹、淳大が青山を抑え、一志のゴール演出を助ける。
少しずつ、聖峰がチームとして成り立とうとするが、北都商業も、青山が連続ゴールで聖峰の逆転を許さず、第3クォーター54対48と6点差で終わった。
「泣いても、笑っても、これが最終ラウンドよ、今村君何処かでラン&ガンの勝負になるはず、その時にあれを使って」




