姉妹、毒蛇と戯れる 3
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普段割合幸せそうなので忘れてしまいがちではあるが、姉妹の日常生活は万事において破滅寸前。一歩間違えば周囲に死人を出すような狂人二人が、何かの間違いでギリギリ成立させてしまっている危うい暮らしに過ぎないのである。それこそ『毒蛇が動物園を抜け出した』というニュース一つで、これ程までに無茶苦茶になってしまうようなものなのだ。
勤務中医者から電話がかかってバイトを抜け出す。職場での立場をさらに危ういものとした紫子が病院に辿り着くと、「あちこちからお姉ちゃんの悪口を言われている!」とか泣き喚きながらベッドに縛り付けられている哀れな妹の姿が目に入った。
「措置入院とかはちょっと……勘弁してください」紫子は顔を青くして医者に懇願する
「……今回は誰も傷付けなかったから」医者はそう言って紫子の肩を叩く。「ただ騒いで走り回っただけだから。大丈夫。でもずっと君が付いていてあげられないようなら入院させるのもこの子の為だから。それは知っておいて」
「……はい。はい、分かりました。すんまへん」紫子は打ちひしがれて妹に近づいた。
情けなさそうな表情で泣きじゃくる妹の手を引いて病院を出る。こんな奴が障碍者施設にも行かず、ふつうの養護施設で中卒まで過ごし終えられたのは今にして思えば奇跡そのものだ。紫子の尽力や青沼という特殊な職員の存在、さらには緑子自身の他人を攻撃せずひたすら塞ぎ込んで耐えるという性格的要素が、その奇跡を成立させたのだと紫子は思っていた。しかし今日のようなことがあると単に運が良かっただけなんじゃないかと思えて来る。
「……いつもごめんねお姉ちゃん」緑子はしくしくと泣いている。
「……おまえが悪いんとちゃうよ」紫子は引き攣った顔で言う。「悪いんはおまえをこんなになるまで傷付けたボケ共や。ウチがもっときちんと守ってやらなあかんのや」
「ううん。わたしがぽっぽこぽーなだけだよお姉ちゃん。お姉ちゃんはこんなに強く生きてるのに……うぅう、ふぇええん」
「ぽっぽこぽーって……。どんな意味やっけ?」
まあそんな具合で肩を落としながら自宅へたどり着いた姉妹であったが、彼女らを迎えたのは意外な人物であった。
「やあやあ」黒いハットを身に付けた姉妹の友人、虹川梢がそう言って大きな車から出て手を振った。「少し待ったよ。と言っても実に二十三分四十六秒程だけれどもね。君達のような愛らしい友人に会う為ならば、実に些細な待ち時間であると言える」
その両手には壺のような真っ黒い容器が抱え上げられていた。両手で持ち上げた腰のあたりから虹川の顔が半分隠れるくらいの大きさがある。でかいだけでなく重たいのはこちらに歩いてくる虹川のえっちらおっちらとした足取りを見れば一目瞭然である。
「おーう。虹川くんか」紫子はそう言って、緑子の方を見て微笑んだ。「ほら、緑子。虹川くんが遊びに来てくれたで。元気出そう?」
「うん……うん」緑子はそう言って涙を拭い、友人に笑顔を見せた。「おひさしぶり、虹川くん。会いに来てくれてありがとう」
打ちひしがれた気分を払拭するのに、二人の良き友人である彼女の存在はありがたかった。虹川は何事か察しているのかそんなこともないのか良く分からない相変わらずの無表情で姉妹ににじり寄る。そして視線を虚空にさまよわせたまま、誰に言ってるのともつかぬいつもの話し方でこう言った。
「重たい。持つのを手伝ってくれ」
「「らじゃ」」
何を持っているのか知らないが姉妹としては友達の頼み事は聞く。三人はそれぞれ容器の底に手を入れ力を込めた。
「みどりこー。おまえ両手は添えるだけでええけんな」と紫子。
「そんなの悪いよお姉ちゃん」と緑子。
「緑子の脚だと無理に重たいものを持って歩くと転ぶよ。増してボクらと歩調も合わせなければならないとなると、少々ばかり無謀だろう。君は応援しながら付いて来てくれ」と虹川。「長者原さん。それじゃあ、待っていてね」
虹川が言うと、運転席から降りた使用人らしき女性が瀟洒に頭を下げた。
「金持ちやなー」と紫子。「あんなでかい車に専用の運転手。うらやまし」
「それを言うならボクは君達が羨ましい。いつだって一緒にいてくれる優しい家族がいるんだからね」
容器を三人で姉妹の部屋に運び込む。紫子が容器を覗き込もうとすると、虹川に制された。
「迂闊に顔を突っ込むと危ないかもしれない」と虹川
「あ? 危ないって……そもそもこれいったい何が入っとるん?」と紫子。
「なんか変わったにおいするね」緑子はくんくんと鼻を鳴らす。「小さい頃一度だけお婆ちゃんと行った動物園みたいな……」
「紫子、緑子。どちらでも構わない。笛か何か持っていないか?」
虹川が唐突にそんな提案をしたので、姉妹は顔を見合わせつつも、押し入れから学生時代使っていたリコーダーを持って来た。
「これはどっちのだい?」と虹川。
「どっちのとかないで」「二人で二本あればそれで」
「君達らしい」虹川は笛に唇を添える。「では二人同時に間接キッスを果たすとしようか。何、そんなことでいちいち照れたりはしないだろう?」
妹と二人で使っていたリコーダーが虹川にぱくりとやられる。それからぴゅーふるふると珍妙な音楽とも言い難いような音の羅列が響き渡って来た。
アパートの壁は薄いのであまり長期間演奏されると苦情が来る可能性があるのだが……などと心配する紫子。しかし心配した以上のことが起きた。
容器の中から、青く細長い蛇の身体が伸びて来て起立し、鎌首をもたげて紫子を目を合わせて来た。
緑子が悲鳴を上げた。紫子は思わず妹を抱いてその場を逃げ去った。虹川がさらにぴゅーふるふると音を奏でると、蛇は芸をするかのように身体をくねらせ踊り出す。蛇は相当な訓練を感じさせる動きでくねくねと踊りながら姉妹の身長くらいの位置まで身体を伸ばすと、虹川が伸ばした両手に絡みついた。
「ボクのペットだ」虹川はとんでもないことを言ってから、青い毒蛇を自分の首に巻いた。「ブルーフルスタという種類らしい。少々神経質な部分もあるが、慣れると非常に可愛らしいものだよ」
「あ、あ……」紫子は虹川の方を指さし、叫んだ。「あんたの所為かぁあああ!」
捜査員たちの努力むなしく脱走した毒蛇を発見できていなかった理由が今わかった。虹川が捕獲してしまっていたからだ。既に街にいない物を見付けることは誰にもできない。
「に、虹川くぅん」姉の後ろに隠れながら、緑子は恐る恐るという口調で言った。「それ……どこで拾ったのぅ?」
「長者原に連れられて動物園に遊びに行った帰りにね」虹川は蛇のアタマを撫でる。ちろちろと突き出された蛇の舌に人差し指を絡めると言う行為すら行っている。いかれていた。「道端に落ちていたんだ。太陽の日差しを浴びて苦しそうにしていたから、車の中に入れてやった。すぐに友達になれたよ」
「お、お友達……?」緑子はわなわなと唇を震わせる。「ね、ねぇ虹川くん。その……落ち着いて聞いてね。その子ね、実は……ものすごい毒があるんだって。人を殺せるような。だから、早くその容器に戻した方が……」
「人を殺せるというのなら、君達だって人を殺せる」虹川はそう言って姉妹を指さした。「君達が二人がかりでボクの首を絞めにかかったらボクは死ぬ。しかし君達がそれを行わないということをボクは知っている。信頼関係があるのさ。同様のことがこの蛇とボクとの間にも言える。本当に恐ろしいのは人を殺せる力ではなくて、それを行使して人を殺めようという心なのさ。ボクの友達にそのような悪意は備わっていない」
「動物と信頼関係や結べるかい!」紫子は吠えた。「さっさぁ片付けぇやその蛇! 危ないで! そんで動物園に返すんや。あの禿げ頭の園長が気の毒や!」
「動物園? この蛇はボクが道端で出会い、仲良くなった蛇だ。動物園などによこすつもりはない」
「元々動物園のモンやろうが!」
「だから道端で拾ったと言っているだろう」
「あ、あのね虹川くん。そのね。その蛇と同じ種類の蛇が、最近動物園から一匹逃げ出してるの。日本にはいない種類の蛇だから、その子がそうだと思うの」と緑子。
「確かにそういうニュースは聞いたね」と虹川。
「関係あると思わんかったんか?」と眉を顰めて紫子。
「言われてみれば蓋然性というものはあるかもしれない。だが確定した訳じゃない。日本に生息していないという情報だって、今のところ見付かっていないという意味でしかない。ボクがペットにしたこの蛇が第一号という可能性だってある。そうでなくとも既に彼はボクの友達だ。返すつもりはないね」
「他人にメーワクやろうが! ウチらがこの蛇一匹の為にどれだけの心労を……」
「それはすまなかったね。だが本当にこの蛇が動物園のものだったとして、この蛇を返すことで捜査隊が仕事を終えられ民間人が安堵するのだとしても、ボクはこの蛇を動物園に返すつもりはないね」
「なんで?」
「捜索隊や怯える民間人達はボクにとってただの他人だからさ。それよりもボクはボクの友達を守りたい」虹川は無表情だったが、その台詞には蛇に対する確かな愛情が感じられた。「彼はボクとの友情を喜んでいる。ボクに馴れている。ボクを求めている。だからこそこの通り無邪気に首に巻き付いて来てくれるのさ。ボクといることが彼の幸せである限り、ボクは彼を手放すつもりはない。何があっても」
毒蛇はうねうねと虹川の首に巻き付いたまま体をくねらせ、両腕や肩などにせわしなく移動しながら舌をちろちろとさせている。虹川が人差し指を毒蛇に差し出す度に、蛇は親愛を示すかのように舌先で虹川の指をぺろぺろと舐めた。
本当にペットみたいに扱っている。人を殺せる猛毒を持つ蛇をだ。
紫子は思った。やっぱこいつイカれてる。こいつの実姉も相当な狂人だったが、同じ遺伝子を確かに持っているのだ。
だがそれでも虹川は姉妹の友達だった。どうにか説得し、道を正してやらねばならない。紫子は努めて優しい口調を持って虹川に問いかけた。
「ほ、ほなけどなぁ虹川くん。その子かて元々住んどった動物園に帰りたいんではないか? そら虹川くんのことかて友達と思うとるんやろうけど、でもずっと虹川くんがその子を捕まえとるわけにもいかんやん? 家帰したり? たまに虹川くんの方から動物園に遊びに行ったったらええんや。なあ?」
「ボクはただの一度もこの蛇を捕まえて閉じ込めたりしたことはない。この容器だって」虹川は黒い壺状の容器の入口に手をやった。「蓋をしたことは一度もない。彼には好きに行動してもらっている。彼が壺から逃げ出して故郷を求める態度を少しでも見せたならば、ボクは彼の帰郷を全力で手伝うつもりだよ。今のところそうなることは予想できないが」
「その子、お名前は?」緑子が恐る恐る尋ねた。
「ブルーフルスタ」虹川は答える。
「そうじゃなくて、その、虹川くんはなんて呼んでるの?」
「蛇は蛇だ。彼の方から名乗った訳でもないのに、勝手に名前を付ける訳にはいかないだろう」虹川はもっともなようなことを言った。「君達に対しては『蛇』という呼称を使うが、それも便宜的なものだ」
体に巻き付いて舌と指先で握手しているその光景は、確かに仲睦まじそうにも見えた。慣れているというのは本当だろうし、虹川は愛情を持った飼い主と言える。虹川の元にいるのが毒蛇にとって幸せであるということも、あながち間違いではないのかもしれない。
「大切な友達を動物園の見世物にしたりはしない。ボクは蛇の飼育に纏わる適切な知識を持っているとは、今はまだ言い難いが、それはこれから勉強すれば良いだけのことだ。捜索隊だって永遠に探し続ける訳ではない、問題はいずれ風化する。世界の在り方はほとんど代わらない、ただ一人の少女と一匹の蛇の間に素晴らしい友情が芽生えただけのことさ」
「……じゃあ、虹川くんは、今日はその子をわたし達に紹介しに来てくれたんだね」と緑子。
「そうだとも。君達だってボクの大切な友人なんだ。君達にもこの蛇を愛して欲しい」
「はじめまして、蛇さん。緑子です、お姉ちゃんの妹です」緑子は妙な自己紹介をして、あれほど怖がっていた蛇に手を伸ばした。
「緑子何やっとんねぇん!」紫子はそんな妹の手を取ってひっこめさせた。必死である。「噛まれたら死ぬねんぞ! 分かっとるんか?」
「だ、だって……。虹川くんはこの子をわたしに可愛がって欲しいだろうから……」
「緑子はとても優しいね。状況問わず相手が求めたとおりの親愛を注ごうとする。彼女の伴侶となる人物はさぞかし幸せなことだろう」虹川は言いながら蛇の頭を撫でた。
「この子はウチのもんや!」紫子は吠えて、虹川に指を突きつける。「っていうかあんた危ないモン持ってきやがって! 人に馴れとるみたいやけど万一のことがあったらどうすんねん! 死ぬねんぞ!」
「死にはしない」
「ああ?」
「人間というのは良く知りもしないものに勝手なレッテルを張って遠ざける悪い癖がある。確かに彼は毒蛇だけれど、大多数の人間が思う程危険な存在ではない」
「ほなけど実際にこいつに殺された人がおるんやろ?」
「死亡例は一人だけ、子供というより赤ん坊だ。毒によって衰弱したのは確かだけれど、元々栄養状態の良い赤ん坊ではなかったし、蛇の毒が直接の死因とは言い切れないだろうね。大人はまず平気さ。だからブルーフルスタが本来生息している東南アジアでは、彼らに噛まれても病院にすら行かずただ横になって治すのだそうだよ?」
「でも失明した大人もおるんやろ?」
「噛まれた場所が悪く、不適切な処置が行われてしまえばそういうこともある」
「ヤバいやん!」
「ここは日本でそこら中に病院があるし、今はどこの病院もブルーフルスタの血清は用意しているはずだ。君達は極端な小柄の持ち主だがそれでも問題はないだろう。ボクだって一度は噛まれたが凄まじい眩暈と嘔吐に襲われて丸一日中動けなかっただけで今はぴんぴんしている」
「……酷い目みとるやんけ。友達やなかったん……?」
「最初から親友になれるわけじゃない。馴れるまではそういうこともある」
「そんな目にあっといてなんでそいつと仲よぅしとるねん!」
「彼の魂に罪はない」虹川は紫子の方をしっかりと見て言った。「彼らは故意の悪意で人を傷つける訳ではない。ただ刺激によって興奮させられ、必死の抵抗をした為に猛毒を振りまいてしまうだけなのさ。……君達と同じに」
そう言われ、姉妹は顔を見合わせる。
思うところがないわけではなかった。この妹は時折奇行に走り周囲に迷惑をかけるが、しかしそれは決して悪意や害意がある訳ではないのだ。施設時代は寿命を引き換えに強力な薬をしこたま飲ませることである程度抑え込めていたし、薬を減らしている今だって家の中に閉じ込めておけばどうにか面倒を見ていられている。刺激を与えなければ大人しいものなのだ。
ようするに扱い方を知っているか否かという問題だ。紫子自身にだって同じことが言える。時折カッとなって自制が効かなくなる紫子ではあるが、彼女の怒りには常に相応の理由があり、落ち着いて接されれば聞き分けはそれなりに良い方だ。
「もちろん、君達やこの蛇が他人を傷つける毒を持っていることに違いはない」虹川は言った。「しかしそれは人が恐れる程でもなければ、無差別に誰にでも振り撒かれるものでもない。理解ある人間が思いやりを持って接すれば行使されることのない毒なのであり、だからこそ互いの最大の理解者たる君達は相方を傷付けることなく共生していられるのさ。碌に相手を知ろうともせずに悪戯に排除を試みるというのは、褒められたことではないとボクは思う」
虹川の言葉が胸の奥にすとんと流れ落ちた。中学時代、校内でも恐れられつまはじきにされていた姉妹にも、虹川はこの淡々とした口調で声をかけ友達になってくれた。自分達という存在を理解して受け入れてくれた。それと同じことを虹川はこの蛇に対して行っているだけなのだ。
「……そうか。そうやったんやな」紫子は頷いた。「この蛇は誤解されとっただけなんやな。誤解されとったっちゅうか、ウチ自身が誤解してもうとった。ただテレビで言ようことを鵜呑みにして勝手に怯えとっただけなんや」
「……わたしもだよお姉ちゃん」緑子は目に涙を溜めていた。「こんなに人に馴れてて可愛い蛇なのに……わたしはこの子がお姉ちゃんを噛み殺すって一人で信じてた。それでお姉ちゃんにも迷惑をかけた。もっとこの蛇についてきちんと調べて、知ってあげてたらこんなことにはならなかったのに……」
「虹川くんには教えられてばっかりや」紫子はそう言って蛇に手を伸ばした。「ごめんな。あんたのこと誤解しとったわ。なあ? ウチらな、あんたと似た者同士やと思うねん? せやから、せやから仲良ぅなろう? な?」
紫子が差し出した手の平を、蛇は大きな瞳で凝視する。それから興味深そうな表情で紫子の手をちろちろ舐めると、大口を開けてその指先にかぶりと噛み付いた。
「ほへ?」
牙の食い込む凄まじく嫌な感触があって、冷却された上電流を流し込まれるみたいな感覚が指先から全身に走り抜けた。
全身が痺れて身体は動かず、視界はぐるぐると揺れる。全身の血が凍り付いたみたいに身体が冷たくなり、内臓が一まとめに喉にせり上がって来るかのような不快感を覚えた。紫子は朦朧とした意識で仰向けに倒れかけ、妹の小さな体にばすんと受け止められた。
「お、お、お……」緑子は悲鳴をあげた。「お姉ちゃぁあああん!」
「ふむ。見慣れない人が手を伸ばして来たので、とりあえず噛んでみたというところか」虹川はとんでもなくはた迷惑なことを分析していた。「敵ではないと確信を持てなかったのだのだろう。ボクが思っていたよりも彼は繊細だな。紫子にも蛇にも悪いことをした」
「お姉ちゃああん! 今すぐ助けるからねぇええ! うわぁあああん!」
「ああ緑子、その処置は間違っている。腕ごと切断する必要はないし無意味だから包丁を取りに行くのはやめたまえ。毒を口で吸い出すのも良くはない。落ち着いて腕を緩く縛って心臓よりも低くするんだ。そしてそれよりも、何よりも、うん、救急車だな」
「死なないでぇええ! お姉ちゃん死なないでぇええ! うわぁあああん!」
緑子の絶叫を聞きつけてやって来た北野が、虹川の首に巻き付いたブルーフルスタを窓から見て警察にメールで通報したところで、この話はおしまい。
本来ここには別のエピソードが来る予定だったけど、虹川くんも早いうち再登場させといたほうがいいかなという考えでこっちにしました。
正直完成度的にはかなり微妙な部類だけれど、姉妹がこのくらいはっきりキチ●イしている話って意外とあんまないし、これはこれで書いてよかったと思います。




