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姉妹、田んぼの様子を見に行く 3

 〇


 傘も持たず合羽も着ずに全身ずぶ濡れで現れた茜は、その恰好のまま靴を脱ぎ散らかしてずしずしと室内に侵入する。床を雨粒で湿らせながら部屋の真ん中へとやって来ると、茜にとってちょうど良い高さにある机の上にどんとケツを降ろした。

 「飲み物を用意しなさい」茜は脚を組みながら言った。

 「非常識極まれるな……」胡桃が目を剥いて言った。

 こいつにいちいち腹を立てても仕方がないのは理解しているが、それでもちょっと度を越している。いそいそとお茶の用意を始める妹を制し、紫子は冷蔵庫からポン酢を取り出した。そして嫌味たっぷりに茜に差し出す。

 「ほいお客さん。これでも飲めや」

 「これだと塩分過多ですよ」と言いながら黒い色の液体をラッパ飲みする茜。こいつマジかよ。「ゲホっ、ゲホっ。思ったよりきついこれ! ゲホっ。ゲッホゴホガホゴホっ!」

 「ごめん緑子。ポン酢一本ダメにしてもた」いそいそと床拭きをやっている妹に紫子は肩を落とした。

 「代えあったと思うよ」と緑子は苦笑気味に言う。

 「っていうかこちとら雨に打たれて冷えてるんですよ。冷蔵庫でキンキンに冷えたポン酢なんて渡されても困ります。あったかいコーヒーくださいよミルク多めの奴!」

 「カフェインの飲み物おいてないでこの家。お茶でえぇか?」紫子は空になったポン酢を片付ける。マジで飲み干しやがったこいつ。身体大丈夫か? あと頭も。

 「熱いのくださいよ。そこにやかんあるんだから沸かせば良いでしょ」

 「図々しさもここに極まれりだな……」胡桃が身を退いて言った。

 こんな奴でも友達で客だ。紫子はやかんを火にかけてやる。雨粒の音は涼しげというよりいっそ肌寒さを感じさせ、熱い飲み物が欲しい気分でもあった。だからちょうど良いと言えばちょうど良い。

 コップは足りた。四人分の熱いお茶を出してやる。胡桃はちびちびと熱さを怖がる猫のように口を付け、けっこう熱いの平気な緑子はするすると三分の一を呑んでコップを机に置いた。

 「それで? なんであんたここ来たねん?」一杯目を一息で飲み干して二杯目を勝手に自分で淹れている友人に、紫子は尋ねた。

 「いえまああなた達にも胡桃さんにもフられて一人で外で遊んでたら、帰ることができなくなってしまって。それでここに。……っていうか」茜は細長い人差し指を胡桃に突きつける。「なんであなたがここにいるのです? 神のお告げより大切な私の誘いを断りやがった癖に」

 「君と同じ境遇だよ。クルミン☆ミナミンの台風放送をやってたんだけど、雨風が強すぎて帰れなくなったんだ。このアパートの近くだったから、この子たちの好意に縋ることにしたんだよ」胡桃は言う。

 「あんたと比べて常識あるし気も使ってくれて全然良ぇ客やったで」紫子はそう言って頬杖付いて茜を見やる。「つかえぇ加減服着替えたらどうや? 床が濡れてしゃあないわ」

 「着替えなんて持ってないですよそんなしゃらくせぇもん」茜は両手を晒す。

 「は? じゃあどないすんねん。そのままやと風邪引くぞ?」

 「こうします」言って、茜はおもむろに立ち上がり、着ているものをその場に脱ぎ散らかした。

 あまりの奇行っぷりに、三人は一斉に口をぽかんと開ける。ワインレッドの下着の上下を紫子と胡桃にそれぞれ投擲し、最後に脱いだ靴下を緑子の頭にそっと乗せてから、全裸となった茜はその場に腰を下ろした。

 「タオルケットかなんかください。全裸では流石に体温維持ができません」

 「アホか!」紫子は吠えて妹の頭から靴下を掴み、茜の顔面へ投げつけた。「男の人もおるのに堂々と脱ぐな! 下着投げんな! 恥ずかしいやっちゃな!」

 「私は自分の肉体に何一つ恥ずべきものを感じていません。完璧なプロポーションを自負しているからです。胡桃くんなんて好きなだけ前かがみにさせときゃ良いじゃないですか」

 「ごめんね茜さん。君の方から脱いどいて、たかが股間固くする程度のことに僕が罪悪感を覚えたり、増してそれを隠したりする義理ははないかな?」言いながら、涼しい顔で茜のパンツをつかみ上げ、本人へと投げ返す胡桃。

 「やだ……ちょっと格好いい……」茜は何故かそこで頬を覆った。

 いそいそと茜の衣類を回収して干してやっている緑子を尻目に、紫子はなんか茜でも着れそうなものはないか探してみる。しかし子供服売り場をうろつく自分達の着るものが、男の胡桃より背の高い茜に入る訳がない。押し入れからタオルケットを投げてやると、茜は「ありがとうございます」とそれを体に撒いた。寒かったのはマジらしい。

 「甘やかしすぎじゃない、君ら?」胡桃がたしなめるように言った。

 「あんたもたいがいやろ」

 胡桃は苦笑し、簀巻きになって壁に背を預けている茜を眺めた。女ボスの瞳は上機嫌、実に快適そうである。

 何のかんのと言っても紫子はこいつが好きだ。緑子も同じ気持ちだと言っている。この女はいつだって好き放題に振る舞いたがるが、それは本当の意味で好き放題にしているだけであり、偉ぶりたがる気質が強いわけでもないのだ。子分がいるならいるでガキ大将を楽しむが、見離されれば見離されたでたった一人天衣無縫に過ごす。姉妹のいない数年間はきっとそうだった。

 小さな頃、茜は『年下の子を子分にして粋がっている』と同級生や上級生から良く嫌味を言われていて、嫌味を言った奴を半殺しにしていた。茜の仲間が姉妹だけだったのは、彼女が無理矢理誰かを従わせるような真似をしないからで、おそらく緑子なら親分のそうした気質を当時から見抜いていただろうと思う。『粋がっている』のではなく『甘えている』のだということも含めて。

 まあ対等な友達など作れる性格でないことも確かではある。それでも胡桃という新たな理解者を得たなら、茜は今より少しだけ寂しくなくなるだろう。

 「風、強くなって来たね」茜の衣類を片付け終え、いつの間にか自分の隣に戻って来ていた緑子が言った。「天気予報、点けてみようかな?」

 「チャンネル誰がもっとるん?」紫子は尋ねる。

 「私です!」手を挙げたのは茜だった。手を伸ばし、テレビを付ける。

 どのチャンネルも台風情報一色だ。ヘクトパスカルがどうとか風速がどうとか紫子には呪文にしか聞こえない。妹に「どういうこと言いよるん?」と尋ねると、彼女は

 「とっても強い台風が、これからもっと強くなるって」

 とおよそこれ以上なく分かりやすく言い換えた。

 「うひゃぁー……。これ帰り道どうするよ、ねぇ茜さん?」胡桃がそう言って女親分を見た。

 「傘で風に乗って飛んで行けたりはしませんか?」茜は真っ白い両肩をタオルケットから出して、机の上で肘を付きながら言った。

 「木星まで飛んで行ってしまえくらいの嫌味を言う権利は僕にあるとして、実際問題どう帰宅するのかという話をしたいんだ」

 「いっそここで泊まりゃ良くないです?」

 「君の場合はその手もあるのか」

 できたら胡桃にはこのアホ女を連れて帰ってもらいたいところだ。食料や飲料の備蓄はこれから長く停滞しそうな台風に十分なものとは言いきれず、『体系維持のための節制』をしょっちゅう口にしている癖に茜は大食らいだ。今のところ泊めたことはないが、夜うるさいだろうことはリンゴが下に落ちるのと同じくらいの確信を込めて予想でき、百六十センチの後半の茜は小柄な姉妹にとって室内のかなりの領域を犯す。ようするに邪魔だ。

 そんな紫子の願いが伝わったのか、胡桃は茜にこう切り出した。

 「タクシーとかどうかな? 家近かったよね。茜さん僕と折半しない? まず君の家に行き次に僕の家に行く。そして最終的な金額を後で二分割する。両者に利益のある提案だと思うけど」

 「こういうのは男が払うものだ、と私が主張したらどう切り返すつもりで?」

 「都合の良い時だけ女になれると思うなよメスゴリラ、くらいのことは言い返したくなるだろうね」

 「キュートなゴリラレディは高級バナナを食べ過ぎて懐が麗しくありません」

 「仕送りはどうしたの?」

 「ネット販売のゾウガメを購入したら消えました」

 「何故ゾウガメを?」

 「皮膚病で値崩れしていたので。命に関わるようなものではなく外観を損ねる程度の病気なのですが、しかし外観というのはペットにとって大きな問題で、お陰でかなり安く手に入ったのです。実際に手元に来るとそれはまあブッサイクでしたよ。あまりに不細工だったので飼う気になれず、甲羅外してテキトウに調理して食べました。焼いたら鳥みたいな味になるんですね」

 「嘘だろ?」

 「嘘です」

 「そうか嘘か」

 「本当は鳥みたいな味なんてしません。ひたすら珍味でした。爬虫類はそれなりに食えるってアレ嘘です。好事家はどこにでもいるんでしょうけど。肉が大幅に余ってますのであなたの家に送っておきますね」

 「マジかよ!?」

 夫婦漫才が続くのみで建設的な話し合いになっていない。妹と目が合ったので、視線だけで『作り話かな?』『そうやろ?』『そうだね』とか話し合う。

 コツコツと部屋の扉が叩かれた。チャイムを使わない来客に、紫子は一人心当たりがある。

 「出て来るで」

 扉を開けると、隣の部屋から来るだけでもほんのり濡れた北野が立っていた。こんな肌寒い日でも半袖のTシャツ一枚という恰好を崩さない。冬はどうしてるんだろう。

 「ハイカワさん」緑子が顔をあげる。「どうしたの?」

 茜と胡桃は『なんだこのでかい女は』と言わんばかりの表情で顔を見合わせている。北野は緑子の方に視線をやって軽くサムズアップをすると、それから紫子の方を向き、背後に片手で持っていたノートを取り出した。向きを横にして一枚ずつめくる。

 『あたしのへや、雨もり、ひどい』

 『なおそうと思ったが、あたしでも、せがとどかない』

 『へやのいす、車りんつき回てんいす、のぼるのキケン』

 『なんか台かして?』

 用意して来た文章をめくり終えると、『どう?』みたいな表情でこちらを見下ろす。百四十センチ足らずの紫子と比べると五十センチ身長差があるこの隣人は、ガリガリに痩せた風貌も相まって、至近距離で見下ろされると少し威圧感がある。植物のように物静かでなかったら多少ビビってしまうだろう。というか初対面の時は割とビビった。

 「でもこの部屋台なんて机くらいしかないよね?」緑子が残念そうに言う。「あんまり背も高くないし……ごめんね。役に立ってあげたいんだけど……」

 北野は緑子の方に視線をやる。無表情にしか見えないが何か伝わったらしく、緑子はちょんと頷いてから「うん、牛はビーフだよ」と良く分からないことを言った。どんな会話をしているつもりなんだろうか。きっと北野にも分かっていない。

 「あのすいません」いきなり耳元で囁かれて紫子はびびって後ろを見る。タオルケット巻いた茜の姿があった。その距離で耳打ちしてくる。

 「ご近所さんという解釈でよろしいです? この人成人してるか、少なくとも十八は超えてますよね? 車持ってたりしないです?」

 「持っとるで」小声で応じる。

 「なるほど」

 茜はそう言って頷くと、ノートを持って無表情に立ち尽くす長身に向けて、一歩歩み寄った。それから思いっきり余所行きの笑顔を浮かべると、北野の手を取って底抜けに明るい声を発する。

 「はじめまして。私紫子ちゃんと緑子ちゃんの親友で東条茜と申します。雨漏りで困っていらっしゃるというお話しでしたよね?」

 北野は首を傾げてから、ちょんと頷く。

 「それでしたら私、修理は得意なのです。その手のアルバイトの経験があるという程度ですが、技量は社員に舌を巻かせた程で、それはそれはたいそうなモノでした」

 北野は無表情を紫子に向ける。完全な無表情でも、その顔が『何だこのタオルケット女は』的ニュアンスを持っていることは察せられた。両手を合わせておくか苦笑するか肩を竦めるか、どのアクションがふさわしいのだろう?

 「雨漏り修繕というのは素人がテキトウにやって良い結果を招くものではありません。今回の台風は長いですからね。素人考えで不適切な手を入れた所為で、時間がたってから蛇口を捻ったように水が溢れだすというケースも多いのです。そこで……」

 茜は自分の胸を手で指し示す。

 「私に一任していただけないでしょうか? 未来永劫に渡って滴が垂れることは無くなると保証いたします。それだけでなく、これから雨漏りが発生する余地のある脆弱な部分を予め補修することさえ致します。いえいえ、たいした道具は必要ありません。本格的な工事はまた専門業者に依頼していただくとして、応急処置として十全なものを、ということですね。もちろんその程度のことに大きな見返りを要求したりも致しません。ただ、そのですね、もしも車両をお持ちでしたら、ほんの十分ほどの距離にある私の自宅まで、送迎をお願いしたいなと」

 ハイカワさんは少し考えてから、茜の自信満々の表情に何かを感じ取ったのか、こくんと頷いてサムズアップした。それからざっと長い腕を自室へ向かって伸ばすと、付いて来いとばかりに歩き始めた。

 「行きますよ胡桃さん」茜は子分を呼びつけるように言う。

 「ええ? 僕がいて役に立つの?」緑子から北野ハイカワさんについて聞いていた胡桃が面食らったように言って立ち上がった。胡桃の中の北野ハイカワさん像はさぞかし意味不明なものになったに違いない。

 「ここの天井は高いという程ではありませんが、そこのテーブルを持ち込んでもおそらく一人では背が届きませんからね。手ごろな台が必要です」

 「台ってのは僕か……。君を肩車か、できるかな?」

 「何を軟弱なことを?」

 「僕より背ぇ高いだろ君?」

 「しかし見ての通りスリムです。羽根のように軽いことを保証いたしましょう」

 「へいへい。まあなんとかなるでしょう。それに手伝っておけば、あのハイカワさんという人に家まで送ってもらえるかもしれないからね」

 茜はタオルケットを邪魔そうに脱ぎ捨てて隣室へ向かい、その丸出しのケツに頭を押さえつつ胡桃が続いた。やって来た自称雨漏り修理工が全裸だった時、北野はどうするのだろうか? 胡桃の弁護次第だろう。飲酒による酩酊状態の緑子を受け入れた北野であれば、全裸の変人のことだって無表情で働かせるかもしれない。


 〇


 半時間もせず茜と胡桃が部屋に戻って来た。雨漏り修理は終わり、送迎の約束も取り付けたらしい。茜は生乾きにもなっていない服を手に取って顔をしかめ、胡桃に「あなたの着てるその服ください」と要求したところ魔法少女コスチュームを押し付けられていた。全裸だった修理工が魔法少女になって現れたら北野は何を思うのだろうか。

 「それではお二人とも、今日は失礼いたします」と茜。

 「ありがとうね紫子さん緑子さん。本当に助かったよ」と胡桃。

 「ほなな」「またね」

 友人と友人の友人を送り出し、姉妹はふうと息を吐き、壁とお互いに寄りかかった。なんとなく疲労したという感想は言葉を交わすまでもなく共有できており、それはきっと自分よりよほど神経の繊細な緑子の方が強く感じていることだろう。

 「嵐のようやったな」紫子は言った。

 「でも楽しかったよ」緑子は頷く。

 「まーなぁ」紫子はボリボリ頭をかく。「あん人らの中に嫌な人は一人もおらんしな。でもやっぱり、こう周りが騒がしいと、なんか変な風に感じるわ」

 「そうだよね。ずっとお姉ちゃんと二人だけのつもりだったのに、気が付いたら知り合いがたくさんいて、なんだか変な感じ」

 自分達姉妹だけの城を手に入れたはずだったのに、いつの間にかこの四畳半は、知人たちが入り乱れ騒がしくなるような、そんなところになってしまったらしい。

 悪いことではないかもしれない。少なくとも嫌な人間は一人もいない。

 茜はアホだし迷惑な奴だが、何度か妹を助けられていて、恩も絆もあると思う。幼馴染で、本人が言うように姉妹にとって多分親友で、一緒にいる理由らしきものもきっとある。

 北野には共感する。傷付けられて、奪われて、片隅に追いやられ、自分達と違いたった一人で。それでも植物のように静かに気高く生きている彼女には敬意を感じている。

 胡桃も多分良い人だ。変態の魔法少女の顔を持ってはいるが、本質は理性的で安定的だと思う。紳士的で温和で咄嗟の度胸もある常識人という風に見えるし、今のところ害はない。

 だが、だいたい施設時代に思い描いていたとおりになっていた妹との二人暮らしが、少しずつ変化しているのも確かだった。妹だけが傍にいるのが最善だと心底から思っていた自分は、果たしてこの変化をどう受け止めるべきなのだろう。

 「ウチな、望んだものは全部手に入ったと思うねん」と紫子。

 「わたしもお姉ちゃんがいれば何もいらないよ」と緑子。

 「けど気が付いたら望まなかったものが色々近くにおる。騒がしい、たまに鬱陶しい、でも遠ざける程嫌ともちゃう」

 複雑な心境だ。悪いことではないのだと思いつつも、だがしかしこの調子で世界が広がれば、いつか姉妹にとって厄介な存在に出くわさないとも言い切れない。

 その時自分は妹を守れるのだろうか。この小さく愚かな自分一人で、守り切れるだろうか。

 「でも、そういう人達って、昔からわたし達にいなかった訳じゃないよね?」緑子が言った。

 「……まあそうやけど」紫子は瞼を閉じる。世界は雨粒の音と嗅ぎなれた部屋の臭いと、片割れの体温だけになる。「虹川くんとか? そんでもあいつ……」

 バンバンバンと、窓が激しい風に煽られて淵の中で揺れる。姉妹は顔を見合わせた。

 台風は現在強さを増しており、避難勧告もあちこちで発令している様子だった。二階だから水浸しになることはないにせよ、この貧乏アパートで暴風を乗り切らなければならない現実が姉妹の前には横たわっている。

 「あわあわあわ」緑子はそこで顔を青くした。「お、お姉ちゃんまずいよぅ。飛ばされちゃうよ。二人で身体くくっとこうよ」

 「そ、それもえぇけど」身体くくって二人で地の果てまで吹き飛ばされるのも良いが、せっかく借りたアパートも大切だ。パニック気味の妹の肩を抱く。「飛ばされん為にも窓ガラスをガムテープで補修せんと。手伝ってくれや」

 大慌ての姉妹が窓ガラスにガムテープをぎちぎちに貼り付け、最早窓なのかガムテープで作ったオプジェクトなのかよくわからない姿に変えたところで、この話はおしまい。

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