第168話-8 自分の武器を使わない理由
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
「あそこか―…。」
ランドロは言う。
ランドロからしたら、確認という意味合いもある。
なぜなら、間違ってしまえば、大変になることが分かっているからだ。
「ええ、間違いはありません。情報と合致します。」
カルフィーア村の中で、今回の盗賊団討伐のために、派遣された者の中の一人が言う。
この人物は、カルフィーア村の中でも、戦闘もこなせるが、戦闘の実力だけじゃなく、このような情報を正確性も高く理解することができるということが評価され、このような情報確認をおこなう時には、まず、確認されるという感じの役目を任されているのだ。
それだけの記憶力を有しているとも言える。
ランドロもこの人物の言葉を聞き、正しいのだろう、と理解する。
間違ったとしても、恨むことができないぐらいの正確な情報で、カルフィーア村に貢献してきたのだ。
簡単に信頼というものが揺らぐことはない。
「そうか―…。まだ、こっちには気づかれていないようだな。」
ランドロは辺りを確認しながら言う。
周囲に何かしら、おかしなのがないのかを確認しておくのは大切なことだ。
罠があって、そこに向かうのは危険だし、罠に気づかせて、敵はこちら側を誘導することだって十分にあり得る以上、どうしても慎重にならないといけなくなるし、味方の犠牲が少なく、敵の犠牲が多くするように戦うのが大切なのであり、命を駒程度にしか思っていない人間は、結局、後々のことを考えるのが得意なものではないと思われる。
彼らは、自分という存在が如何にして生き残り、メリットや富などのものを享受することしか興味がないのであり、そういう輩はずっと勝利をし続けるどころか、結局、自らの駒程度と見下している奴らと、敵によって苦しめられる結果となるのだ。
福利厚生や給料などをより良くしていくのは、不満を回避するとともに、経済における発展を促す結果となり、これらはお前が駒程度にしか思っていない人に対しても、しっかりとした対応、負傷や命を落としてしまった場合の補償やら、彼らへの福利厚生や給料やボーナスの増額、彼らのメンタルへのサポートなどはしておかないといけない、とことを意味するのである。さらに、彼らの家族に対しても―……、である。
結局、人を大事にし、周囲を大切にしない者は、自分を苦しめ、最後は自分の行為が原因で、周囲に恨まれ、命を奪われる結果になり、社会や国家にとっても惨事を齎すことになるだけなのだ。
上に立つ人間は、自分が偉くなったから何もして良いと勘違いしてしまうのだ。そこから逃れるためには、ある程度の謙虚さと同時に、万能感に浸らないということが大切なのかもしれない。
「ですね。」
別の一人が言う。
この人物からしても、盗賊団も見張りを立てていることぐらいは分かる。
なぜなら、盗んだ品や人質を奪還しに来る場合があると想定することは簡単なのだから―…。
どんなに砂漠の中に拠点を構えようとしても、向こうも砂漠に関する知識を有している可能性があるし、その可能性を否定することは完全にできない。
なぜなら、人は過去から得た知識や経験を持っている者がどこかしらにはいる可能性があり、その人を見つけ出せないという保障はどこにもないのだから―…。
そういうわけで、慎重になったとしてもおかしなことではなく、カルフィーア村の中で盗賊団の討伐部隊を組んだとしても、迂闊に、攻めるのは自分達の犠牲を増やすだけにしか過ぎないのだ。
相手のテリトリーで自分達が簡単に優位になることができるとは限らず、相手が何かしらの秘策を隠していたり、仕掛けていたりすることは十分にあり得ることなのだ。
そうである以上、慎重さというのは成功のためには時に、必要とされるものであり、無視して良いものではないのは確かとなる。
勇敢に何も考えずに攻めることが正しいとは限らないのだから―…。
アーサルエルも辺りを見回しながら―…。
(こちらに気づいている様子はない。侵入することも可能だろうが、拠点がどのようになっているのかは、ここからでは把握が難しいな。そして、ランドロ様が言っていた、例の兵器があれば、こっちはかなりの苦戦となるはずだ。だからこそ、余計にいつもよりランドロ様も慎重になっているのだろう。)
アーサルエルは、ランドロから聞かされているのだ。
例の兵器に関して、詳しいことを―…。
だからこそ、ランドロがかなり慎重になっているのは―…。
アーサルエルの実力なら、情報さえ知っていれば、例の兵器を倒すことはできるだろうし、簡単なことであろう。
だけど、例の兵器を造り出している存在は、才能を持っている人物であり、ランドロから聞いた出来事の時よりも、さらに強化されている可能性は十分にあるし、アーサルエルやランドロでも勝てない可能性は十分にある。
例の兵器に関する最新情報がない以上、かなりの慎重さになってしまうのは仕方のないことだ。
知っているつもりになるのは危険なことであるが、知らないというのもまた人からすれば恐怖でしかなく、どっちであったとしても、情報をしっかりと把握できているとは言えない状態であるし、その判断は現時点はかなりの難しさになっている。
そうであったとしても、どこかしらで、何かしらの判断を下さないといけない。
要は、選択だ。
選択というのは情報が十分に与えられている時にできると思っている者がいるのならば、残念ながら、人が選択する時は選択に必要とされている情報が完全に得られているのではなく、その逆とは言えないが、完全とは言えない情報を得ており、そこから判断するしかなく、間違いから逃れることはできない。
情報を得るのにも、時間というものを消費しているし、思考するのにも同様に、時間を消費しているのだから―…。
そして、ランドロは考えながら―…。
「よし、行こう。」
その後に、簡単な役割を振り、一気に行動を開始するのだった。
盗賊団の拠点の中―…。
連日の夜宴で、すっかりと寝入っている。
そんな中で、次のターゲットを探している段階ではあるが、ここ最近の盗賊の成功からかなりの自信というか、過信に近い状況になっている。
ゆえに、最低限の見張りを立てる以外のことはしていないのだ。
明らかに油断しすぎだろと思う人もいるが、人は余裕が出過ぎれば、このような結果になるのは避けられないことである。
そういう時に、ゆっくり一人が起きるのだった。
「ふあ~あ。」
大きな欠伸をしており、寝起きなのは誰が見ても明らかな状態である。
そんな状態であるからと言って、辺りが変になっていないのかを見回さないということはない。
見回した後―…。
(昨日も宴会だったからなぁ~。トイレ、トイレ、っと。)
この人物からしたら、寝起きであり、完全に目覚めているわけではないのだが、トイレに行きたいという衝動を抑え込めるようなことはできない。
生理現象である以上、無理矢理に我慢するのはよっぽどのことがなければ、あまりしない方が良いであろう。
無理が一番よくないので―…。
とぼとぼ、とゆっくりと足をふらつかせながら歩く。
彼ら盗賊団のトイレは外にあり、粗末なものでしかなく、トイレに行く時以外は一切、臭いにおいのために近寄りたいという、気持ちにはならない。
そうであるからこそ、とぼとぼと歩きながらも、早足に必死になろうとするのだ。
そこに―…。
「済まないが、奥はボスの部屋かい?」
この人物にとっては、何かを尋ねられたのかというのが分からなかった。
意味が分からなかったのではない。
尋ねる人がいたのだということがいるのか?
いや、そうだとしたら、たまにやってくる爺さんなのではないか、と思ったのだ。
そこから、爺さんは呆けてしまったのだと理解したのだ。
ゆえに―…。
「そうだ、ボスは奥にいる。だけど、皆、昨夜の宴会………………。」
手とうで気絶されられるのだった。
トイレへと向かおうとした人間は、自分が何をさせられたのか理解できずに、意識を失い、倒れるのだった。
痛みもあろうが、それ以上に、意識を失うスピードの威力も強かった模様だ。
そして、気絶させた者は、剣を取り出し、トイレへと向かおうとした人物の首に剣を突き刺すのだった。
そして、すぐに剣を抜き、血を振り払いながら、近くにいた仲間に合図を送ると、奥へと向かうのだった。
そう、彼らは侵入者である。
だからこそ、油断しているトイレへと向かっている盗賊団の男を気絶させて、悲鳴を上げさせない間に、喉を貫通させるほどの突き刺しをして、命を奪ったのだ。
このようなことをすることは、平和な世界の人から見たら、残虐行為そのものにしか感じないし、そういう世界の人でなかったとしても、そのような行為だと判断するだろう。
だけど、残酷なことであったとしても、やらないといけない場面がある。
そう、自分達の目的を達成させるために―…。
要は、人は状況が変われば、こんな残虐行為を平然とおこなえるようになるのだ。悲しいことに―…。
そうならない世界を望みたいものだ。
奥の部屋へと到着する。
それを見て―…。
(何なんだぁ~。こいつら、宴会でもしていたのかよ。馬鹿じゃろう。)
ランドロは心の中で思いながら―…。
すぐに、ボスと見られる人物を探し、そいつ以外は始末してしまおうと考えるのだった。
盗賊団の討伐が目的であり、生かして捕えたとしても、彼らを商人へと引き渡すための間の、世話をしているだけの余裕はない。
なので、どう扱うべきは決まってしまうのだった。
主導権を握れる側が敵に対して、価値というものを認めることができなければ、生かしておくという選択をとることはほぼないだろう。
同情というのも価値がある、という判断の分類に含めれば、結局、生かしておくという選択肢が完全ではないとしても、どういうものかは分かるであろう。
そして、ランドロは見回した結果、ボスと思われる人物を発見し、明らかに下っ端と思われる人物に対する―…。
「今回は、討伐だ。一気に始末しろ。ボスだと思われる人物以外は生かすな。」
ランドロが命令すると、討伐部隊は一気に、盗賊団を襲い殺し始めるのだった。
その光景は決して、良いものではなく、悲惨な場面でしかない。
そんななか―…。
「アイラを一人にして良かったのですか?」
アーサルエルがそのようなことを言う。
アーサルエルとしても心配なんだろう。
一方で、ランドロは冷静に―…。
「仕方ない。というか、こんな光景を子どもに見せるわけにはいかない。討伐をするというのはこんな残酷なことをしないといけない、ということだ。そうしなければ、安寧が守られないのじゃ。いずれは知ることになるけど、まだ、その時ではない。それに、アイラには討ちもらした敵に対処させると言っている。だから、しっかりと任務に励んでいることじゃ。気になるのは分かっておるし、儂はアイラのいる方へと戻ることにしよう。生かした奴は砂漠の外に出して、尋問してくれるかの~う。」
歩き出し、洞窟の外へと向かおうとするのだった。
ランドロとしても、アイラを一人にしてしまっているのは心配であったが、カルフィーア村の長として、指揮というか、判断を下さないといけないのだ。
そうである以上、もう指揮をする必要がなくなるまでにならない限り、アイラの方へと戻ることができず、今になって、やっと戻ることができるということなのだ。
そして、彼らは盗賊団のトップと思われる人物を捕まえて、彼らの武器を回収し、かつ、外へと運び出すのだった。遺体は外に出すことはなかったが―…。
モンスターの餌になったとしても、そこを問題にしているほどの戦力はない、と判断してのことで―…。
(まあ、このような場面をアイラの奴に見せるわけにはいかないか。)
と、アーサルエルは心の中で思うのだった。
第168話-9 自分の武器を使わない理由 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていくと思います。
残酷なシーンが続きますが―…。
ここは避けられないので、なるべく表現の方をマイルドにできるように頑張っていきます。
次回の投稿日は、2026年4月21日頃を予定しています。
では―…。




