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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
765/810

第160話-4 イスドラークへ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 フェーナのさっきの小声を聞いたアラジャは―…。

 (まあ、ワンガース=レッドが私より賢いとは思わないが、部下にするぐらいには優れていることは確かだな。だが、我々と常に同じ意見になることはないであろうな。)

 アラジャからしたら、賢い人間が常に自分達と同じ選択をするとは限らない。

 なぜなら、意見は違うものであり、違ってしまえば、対立へといたるし、隔たりというものを発生させてしまうものである。

 それが収集できない場合だって往々にしてあるものだ。

 そうである以上、アラジャは自分の意見が完璧に正しいのだと思い、賢い人間の選択を間違っているものだと判断する。

 なので、賢い人間を味方にするのはかなり苦労することであり、無理な場合の方が多い。

 それは、以上のようなアラジャの傲慢さによることも多いだろうが、アラジャの話し方はそこまで感じさせるものではない。教えが良かったのだろうか、それとも、自身でどうすれば良いのか気づいて、対策法として見つけ出したのかもしれない。

 そんなことをアラジャは考えながらも、会話を続けないという選択肢は存在しない。

 情報共有は大切なことであるのだから―…。

 「さて、ワンガース=レッドの話だけをしに来たわけじゃないし、重要なことは、三人組の陽動の方はどうなってる?」

 ワンガース=レッドとしても本当にフェーナに聞かないといけないことは、三人組、瑠璃たちの動向である。

 現実世界でのベルグの石化という実験を逃れ、この異世界にやってきて、ローと接触した瑠璃、李章、礼奈という存在は、必ず石化解除のために、ベルグの方へと向かって来るだろうし、理由を聞けば、彼らはベルグへと矛先を向けてくることになる。

 そうなってくると、ベルグにとっても、本当に行いたい実験ができなくなる可能性、延期を余儀なくされる可能性もあるので、なるべく、実験を開始するまでの段階までは、近づけさせないようにする必要がある。そのための陽動作戦である。

 そして、それすらも―…。

 さて、話を戻し、瑠璃たちの動向を把握しておくことによって、ベルグの実験に支障をきたさないようにするための日数を割り出し、かつ、ベルグの実験を確実に成功させるために、サンバリアで三人組をどれだけ足止めをすれば良いのか、ということを協議しておかないといけない。

 そして、フェーナの方も、アラジャが来たのはそのような理由であろうと予測できたので、ここで、予想外だと思い、驚いた態度をとるようなことはなかった。

 「ええ、私の可愛い弟を監視にやっているけど、どうも心配だから別の人を影から派遣したのだが、彼からの報告によると、あの三人組を現地の組織をいくつか使って始末しようとしたけど、失敗したみたいよ。そして、捕まってしまったみたいね。情けないとしか思えないわ。まあ、それが可愛いところでもあるのだけどぉ~。」

 フェーナからしたら、自分の弟は可愛いものであり、かつ、あの時期をともに過ごしてきたからこそ、深い愛情というものが湧くのである。ともに苦難を乗り越えてきたからこそ―…。

 そうだとしても、フェーナは自身の弟の実力が優れていないことを知っているし、フェーナのために張り切ってしまうことを知っているので、何かしらの行動を起こしているだろうとは、思っていた。

 ただ、監視するだけでは済まないだろう、ということも込みで考えていた。

 結果、その弟は三人組に捕まる羽目になった。

 そういう意味で、急ぎ過ぎた行動であることは否めないが、フェーナからしたら、時間を稼いでくれているので、非難する気はない。

 だけど、捕まるのはどうか、と思ってしまう。最悪の場合を想定しないといけなくなるのだから―…。

 そんなフェーナの言葉を聞いたアラジャは、冷静になりながら―…。

 (あの馬鹿で弱い奴か―…。弟だというが、あんな奴を生かしていても得はないだろ。あんなのはサンバリアの外にある砂漠の中に放りだして、干からびさせれば良い。使えない奴が使えるようになるなんてことはない。)

 フェーナの弟のことに対しては、あまり良い感情を抱いていないようだ。

 アラジャもフェーナの弟に会ったことはあるが、そいつが横柄な態度をしていたのは知っているし、自分の才能が一切ないからこそ、自分を強く見せるためにしているのだということは、簡単に気づけた。

 ゆえに、アラジャは、フェーナの弟に対しては、侮蔑の言葉を発したことがある。それだけで良い。

 馬鹿は何をやったとしても、馬鹿な結果しか招かないのだから―…。

 アラジャはそのことを知っているし、それを真理なのだと思っている。

 厳密に言えば、それは一面を見ているだけに過ぎず、全部が全部、同じような結果になるわけではない。そのことに出会うためには、よっぽどの人との出会いの運が良くないと意味がない。

 そうである以上、運を味方にしないといけないし、人との出会いというものを大切にしないといけない。良縁は良き人達の縁の中で生まれるものなのだから―…。

 「ああ、ラーグラのことか。あの無能を派遣しても良かったのか。何の情報も得られずに捕まり、こちらの情報が漏れているんじゃないか? あの無能はさっさと処分した―…。」

 アラジャが言っている時に、フェーナからとんでもない殺気を感じるのだった。

 アラジャからしたら、それは恐怖を感じてもおかしくはなかったが、その原因を知っているからこそ、心の中で―…。

 (結局、封じた感情の類の中で強いものが残っているということか―…。迂闊だった。)

 アラジャは少しだけ反省する。

 反省しないわけではないが、フェーナの殺気というものが普段のものよりも尋常じゃないものであったからこそ、可能にさせたのである。

 そうであるとすると、フェーナの方がアラジャより強いと思うかもしれないが、実力差はそこまでなく、お互いにかなりの強さを持っているのは間違いない。

 「悪かった。だけど、迷惑になる奴を生かしておいたとしても、損をするのはフェーナ、お前だ。だからこそ、俺たちにとって、足手纏いになる奴はさっさと始末し、懸念を払拭しておく必要がある。賢い生き方をしろ。」

 アラジャの精々もの反抗であろう。

 その反抗であったとしても、フェーナの前では意味をなさないのかもしれないが、フェーナの方も冷静になる。

 アラジャを殺害するようなことをしてしまえば、得をするのはベルグではなく、瑠璃たちの方なのだから、彼女達が得をするようなことは一切しない。

 「ええ、分かっているわ。最悪の場合は、感情がするなと言っても、私はラーグラを殺すわ。部下を使ってでも……ね。」

 フェーナには、迷いがある。

 自らの弟であるラーグラを殺害することに対して―…。

 それだけ、苦難をともにしたからこそ、簡単に捨てきれないものを持ち合わせてしまっており、普段よりも判断というのが鈍くなってしまうものだ。

 大事なものを守りたい、その一心で―…。

 ラーグラが瑠璃たちに捕まるという失態をおかしたとしても、ラーグラへの愛情というものがなくなることはない。

 フェーナは、少しだけ冷静になりながらも、アラジャの話を待つのだった。

 「ラーグラのことはこれ以上話しても生産性はないな。それより、あの三人組はサンバリアの方へと向かっているけど、今は、どこら辺だ。」

 アラジャはラーグラの話を止めるべきだと判断し、三人組の居場所はどこなのかを聞く。時間稼ぎのための時間を割り出さないといけないのだから―…。

 別の話に変えることで、フェーナの殺気を消そうとするのだった。

 その考えは成功した。

 そういう意味では、アラジャも一安心という気持ちになってもおかしくはないが、それを今、前面に出すようなことはしない。

 しっかりと祖父から教育され、優秀な成績をたたきだしている以上、場面に応じた対応というのもしっかりとできるものである。

 そして、アラジャの言葉にフェーナは答える。

 「あの三人組の居場所は、二日前の連絡で弟が捕まったと聞いたから、ラナトールからイスドラークの砂漠の中でしょうし、そろそろ、サンバリアの方に到着するかもしれないわね。」

 そう、瑠璃たちが護衛しているキャラバンと略奪団が戦ったのは、この時から二日前以前のことであり、報告時にはその戦いにも決着が着いており、その結果に関する報告ももらっているということだ。

 そして、そこから推測するに、そろそろ瑠璃たちはイスドラークに到着しているのではないかと―…。

 イスドラークに関する最新の情報は商人や、サンバリアから派遣している情報収集部隊にとって、毎日、通信連絡で知らされるようになっている。

 そのため、イスドラークの情報の鮮度はかなりのものであり、イスドラークの裏の情報さえ、簡単に手に入れられていることになっている。

 「イスドラークかぁ~。あそこは、領主がスラム美化計画なんてものを実行しようとしている噂があるみたいだな。まあ、あの領主のことだ。確実にやってくることになるかもしれないが、あの三人組はスルーして真っ先にここに向かって来るだろう。サンバリア到着までの距離を考えるともう少し時間を稼ぐようなことをしないとマズイな。フェーナ、サンバリアでの足止めはしっかりと―…。」

 アラジャが言いかけたところで―…。

 「大丈夫よ。すでに、あの三人組をサンバリアへと向かせるようなことになった時点で、私は、もしも、三人組の移動が速まるのであれば、サンバリアの前のイスドラークで何かしらのことが起こるように仕向けていて、関わらないといけないようにしているわ。イスドラークには、「人に創られし人」の人間がいるみたいだし―…。あの三人組は確実に、「人に創られし人」の一族と接触するわ。そして、イスドラークの騒動と同じように、彼らの村へ向かうという寄り道をしてくれれば、間に合うんじゃない?」

 フェーナからしたら、何があるかは分かっていないので、ある仕掛けをイスドラークに仕掛けていたのだ。瑠璃たちがサンバリアに向かって来るための奇襲をかけた時点で、すでに準備を開始していたのだ。人の歩む速度は、人それぞれなので、何かしらのミスがあった場合に備えてであるが、まさか、使う必要が出てくるとは思わなかった。

 いや、正確に言えば、使うかどうかの選択肢はフェーナ側にはなく、イスドラークの領主の側にあり、そのようなことになっても構わないという意図も含めて、イスドラークの領主にあるものを渡しているのだ。

 アラジャはまだ、そのことに気づいていないが、仕掛けが何かを予測するために、フェーナに聞くのだった。

 「何を仕掛けたのだ。」

 「ええ、それは、イスドラークの領主に、あの兵器を送ったのよ。使い方は使者の方が説明したので、大丈夫でしょう。さらに、スラム側には「人に創られし人」の一族が何かしらの依頼を受けているようで、スラム街のボスと呼ばれる人と接触したようですし、彼らはスラム側ということになるでしょう。そして、あの兵器を渡した以上、あの領主はきっと、スラム側の暴発を狙ってきて、それを口実に、スラム街を一掃するでしょうねぇ~。」

 アラジャの疑問に、フェーナは答える。

 フェーナからしたら、今の言葉で、アラジャは気づくだろう。

 何をフェーナが渡したのか―…。

 「あれを渡すのか―…。だけど、あれはサンバリアの兵器なのに、愚かなイスドラークの領主に渡しても良かったのか。ちゃんと命令系統はこっちを一番上にしているのだろうなぁ~。」

 アラジャからしたら、あの兵器を渡すようなことをすれば、イスドラークがサンバリアへと反抗してくる可能性もあり、そうなった場合に、厄介なことになるかもしれない。

 実際は、あの兵器は、サンバリアでしか生産できず、サンバリアでは何百、何千以上ものがあり、そう簡単にイスドラークがサンバリアへの優越を確立するようなことはないであろうが、念には念を入れておく必要がある。技術を完全に盗めないということがない以上―…。

 「ええ、そうしていますよ。だけど、あの兵器を一つ手に入れたところで、サンバリアの優位は一切、変わりませんし、そのための戦闘方法を確立しているのはサンバリアのみです。命令系統もしっかりと我々を一番にしている以上、彼らにはしっかりとサンバリアに逆らうことになった場合の地雷を与えているだけに過ぎません。」

 フェーナから言わせれば、あの兵器を渡すことは、渡された都市はサンバリアに一切、逆らうことができなくなってしまうようなものであり、逆らえば、その兵器によって、逆らった都市ごと滅ぼすようにしているのだ。

 そうすれば、材料がいっぱい手に入るのだから、あの兵器に人格を宿らせるための―…。

 「そうか。なら、良い。」

 その後もいくつか会話があるのだったが、そこまで重要ではないので、今のアラジャの言葉で一回、終わらせることにする。


第160話-5 イスドラークへ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


次回の投稿日は、2025年12月16日頃の予定です。

では―…。

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