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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
764/809

第160話-3 イスドラークへ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 再度、場所を変えよう。

 場所はサンバリア。

 ラング=アラジャの演説後のことである。

 アラジャは、フェーナのいる場所へと向かった。

 そして、フェーナのいる場所では、フェーナとアラジャが二人でいる。

 「久しぶりだ。フェーナ。」

 アラジャからしたら、このような挨拶をする必要はないが、フェーナはベルグにも実力が認められているほどであり、アラジャもその一人であろうが、地位というか、暗黙の中での序列はフェーナの方が上だ。

 明確に決まり切っているわけではないので、そこまで厳格にみる必要はない。

 そして、フェーナはショックを受けている表情が嘘であったかのような、冷静な表情になる。

 「ええ、久しぶり、ラング=アラジャ様。あなたのお爺様の方は元気かしら。ベルグ様とともに実験漬けの日々を送っておられるようで、体の方が少し心配になってしまうわ。」

 フェーナからしたら、このようなことを言う必要はないが、一応、このサンバリアの中でも特別な家柄の当主になるかもしれない相手と会話をしている以上、このように丁寧な対応をしないといけない。

 それでも、アラジャのことはかなりの実力者であり、頭もかなりの切れ者であり、あの方の後継者になるのも頷けるほどである。

 そして、アラジャの祖父は実験好きであることはこの二人の間では知られており、ベルグとともに実験漬けの日々を勤しんでいたりする。実験好きにも困ったものだと思ってしまうかもしれないが、彼らに体の方を大切にしてと言ったところで無駄なことであろう。

 アラジャの祖父は決して、自分から手を汚さない類の存在なのではないし、他者を実験にも利用したりするが、それ以外だけの臆病で陰気な存在でもない、それはアラジャとフェーナの中では知られていることであり、このサンバリアにおいて知っているのは二人だけと言っても良い。

 いや、サンバリアにも過去に、アラジャの祖父が危険な実験をしていたことを突き止めた人物らがいたし、彼らの中には生きている者もいるが、今はサンバリアにはいない。その理由の一部はいずれ分かることなので、ここで触れる必要はない。

 フェーナはアラジャの祖父のことを心配しているが、そこに恋愛感情というものは一切なく、あるのは、ベルグの直接の幹部の中でもかなり古株であるということだ。

 なので、ベルグに迷惑をかけていないか、を聞いたのだ。

 これがフェーナ自身の意思ではなくても―…。

 「ああ、お爺様ならそこのところを心配する必要はない。フェーナ、君も知っているだろ。お爺様はマッドサイエンティストで、自分すらも必要とあれば、使うぐらいの実験狂であるのを―…。それに、ベルグ様の方もそろそろ実験の大詰めに近づいているような感じで、別の異世界でおこなっている石化の実験によって得られたエネルギーを使って、この世界とあっちの世界への行き来が誰もができるようにしようとしていることと、それと同時に―…。」

 アラジャは、ベルグの計画の全容を知っているし、フェーナも知らされている。ランシュの方は一切、知らされていないのだろうが、それでも、薄々、向こうの世界の人間を使って何かをしようとしているのではないか、ぐらいのことは勘付いているのだろう、と―…。

 それでも、ベルグがランシュを殺さないことを選択している以上、向こうが襲ってくるようなことがない限り、ランシュを殺すような真似をする気はない。

 アラジャからしたら排除した方が良いのだが、ランシュの境遇を考えると、そのようなことは躊躇われるという感じだ。

 アラジャも人の命を場合によって軽視するようなことをするが、何も人の気持ちが理解できないわけではない。ただただ、無能な人間が嫌いなだけ、ということだ。

 ランシュは、リースの政務をこなせるし、戦闘では遊撃に近いのような力を一人で発揮させることのできる稀有な存在だ。

 そのような人材を殺さないといけないようなことはなるべく避けないといけない。

 有能な人材を排除すれば、無能な人材がのさばって、ろくなことをしないと思っているのだから―…。

 また、有能な人材は簡単に見つかることもないと、経験上から知っているからであろう。

 「それ以上は言わない方が良いわ。盗聴器の類もカメラの類もありませんが、どこで耳をそばだてているかは分かりません。なので、我々の秘密を知られるようなことは言わないようにしてください。」

 フェーナからすれば、それ以上は、サンバリアの秘密を知られるよりもマズイと思っているのだ。

 そう、別の世界が存在することなんて知っている人間はごく限られた者であり、サンバリアで知っているのはフェーナとアラジャぐらいであろう。

 そして、ベルグの野望も知られるわけにはいかない。

 なので、これ以上、アラジャに変なことを言わせる筋合いはない。

 「そうかい。まあ、実際は、聞かれたところで、何を言っているのか意味不明な人だと思われるぐらいなのだけど……ね。アルタフがサンバリアの外に出た以上、賢い人間の数は限られるだろうし、彼らはイバラグラの正体に気づいていなくても、いずれ、どこかで何かしらの疑問を抱くだろう。まあ、賢い人間は嫌いじゃないから、我々の側になってくれれば良いのに―…、そうすれば、生き残り、地位、名誉、権勢を誇ることができるのであろうに―…。誠に残念だ。」

 アラジャがこのように言うのは、賢い人は自分にとって得になる存在であるし、それに加えて、自分を高めてくれると思っているのだ。

 これまで、無能や能力のない者に当たることが多くて、辟易しているのだ。

 無能や能力のない者ほど、自分が無能ではなく、能力があると只管に宣伝をしてくるし、その宣伝している行為ほども意味のないものだと感じるのだ。

 彼らは、日々、自らの力を宣伝していないと、自らの優位性を保つことができないだけの愚か者なのだ。そういうことでしか運を手に入れられないのなら、いっその自分が有能である宣伝を止めて、慎ましく過ごせば良い。

 地位、名誉、権勢を求めることが彼らのような無能には身の丈の合わないことなのだと、思ってしまう。

 まあ、そのことに気づいていないからこそ、無能であろうとも思える。

 厳密に言うと、有能か無能か、という判断は結局、突き詰めれば、ただの主観的なものから逃れることができず、その判断材料というのはどうしても恣意的なものにならざるをえない。そのことに気づかない人は多いのかもしれない。

 自分の判断基準は、合理的であり、間違ったものではない、と。

 だけど、人は物事の全てを完全に把握することができない以上、どうしても何かしらの恣意的なものや主観性というものを排除することができずに、結局、自らの偏りを含めて判断していることになり、この人は有能か、もしくは無能かという判断においても存在することになり、結局、完璧で公平なものでは決してないことになる。

 だからこそ、自らの判断が正しいということを完璧までに信じ込むようなことはしてはならないし、アラジャのように自らの経験を絶対視した思い込みはしない方が良い。

 ある程度の数が多い同類に近いものを見続けると、それがさも真理であるかのように見えたり、それが正しいのではないかと思うようになり、別の可能性を見落とすことになるのだ。それは正確性が高いものほど、その傾向が発生する可能性が高まるので、より慎重になる必要はある。

 ミスをした時に、気づかなくなり、返って、最悪の事態を招くか、そこまで引きずられるような結果になることがあるのだ。

 ゆえに、常に本当に正しいのかということに対して、悩んだり、考えたりする必要があるのだ。そこから逃れるようなことはできないし、容量が良い者ほどこのようなミスに陥りやすいものだ。法則に気づき、その法則の完全性だと思い込んでしまうからだ。

 さて、長くなり過ぎたので、話を戻すことにしよう。

 アラジャは、有能な者達や賢い者達を嫌わない以上、サンバリアにいる賢いと思われる人達が、自分達に敵対するようなことなく、自分達の陣営にいてくれることを望むのだ。ゆえに、アラジャは賢い人を無能よりも上に置いているが、自分や自身の祖父より下に置いてしまっているのだ。

 そのことに対して、疑いの気持ちがアラジャにあるはずもなく、アラジャは自身の賢さを理解しているからこそ、自然と自分や自身の祖父以外の多くの者を見下すことができる。厳密に言えば、例外が存在するのであるが、そうであったとしても、自分が一番優れているとみている人間がいないということは、この世でいないはずがない。

 フェーナは、アラジャの今の言葉を聞きながら―…。

 (アラジャは、有能と無能で判断する癖というものがあるのは分かっているけど、それはあなたのお爺様の影響を諸に受けていることの証明かしら。ゆえに、それ以外の世界を知らない。私が言うことではないわね。)

 アラジャのことをこのように評価する。

 フェーナからしたら、アラジャというのは、自身の祖父の影響を受け、いや、英才教育を受けてきたせいか、有能、無能かで人を判断することが当然のことと思っていて、そのことを疑う気持ち、それ以外の可能性に気づいていないと、見ている。

 そうであったとしても、アラジャが賢い存在であり、将来のサンバリアを率いるべき人物であるということにフェーナ自身の間違いがあるとは思っていない。

 天才と称され、血筋の良さから、王政時代にはかなりの人気のあったアラジャの祖父は、王政の時代に追放処分を下されることになるような失態を犯すが、それでも、その失態はアラジャの祖父を上回ることのない人間によってなされたのだ。その人間が誰かは、予想できる者もいるが、いずれ分かることに対して、ネタバレのようなことをしても良いが、しないことにする。

 その血は、しっかりとアラジャにも受け継がれている以上、祖父のような天才と称されたとしても、決して間違いはないだろうし、祖父以上の成果を収めることもできるであろう。ゆえに、天才と周囲から言われる存在であったとしても、何かしらのミスをしないということはないのであり、そのことによって、天才とは言わないのは早計なことでしかない。

 人の成功と失敗を天才とその反対の馬鹿で決まると表現できるような甘いものではない。運の要素も絡まるし、人は完璧にも完全にもなれない存在である以上、どんな天才だろうと自身のミスから逃れることができるとは限らない。

 なので、天才と成功というのをイコールに完全に結ぶようなことはできない。

 「残念と言われましても、彼らにも彼らなりの考えというものがありますし、サンバリアで賢い人々が私たちの味方に全員がならないとは限りません。最近だと、ワンガース=レッドという私の幹部なんかもかなりの賢さを持っており、私がベルグ様から授かった時間稼ぎの命令によって、サンバリアが壊滅的な打撃を受けるかもしれないという可能性に気づけるだけの素晴らしい嗅覚を持った人もいます。ただ、三人組というところまでは気づきませんでしたが、サンバリアが壊滅的になることに関しては、「人に創られし人」の一族が攻めてくるということによって、気づいたという感じです。アラジャ様はどう見ます。ワンガース=レッドのことを―…。」

 フェーナからしたら、アラジャとワンガース=レッドのことを話すことによって、アラジャの祖父がどのように判断するのかというのを、参考にしようとしている。

 フェーナからは、アラジャの祖父がワンガース=レッドのことを賢い人だと判断すると思っているのだろうが、それはあくまでも推測の域しかでない以上、アラジャに聞くのが一番良い。

 アラジャは少しだけ考えて、自身なりの答えを出す。

 「ワンガース=レッドかぁ~。彼は水の属性の天成獣の宿っている武器を扱うし、行動もかなり理にかなったものであろう。お爺様も彼のことなら賢いと判断してもおかしくはない。それにしても、「人に創られし人」の一族……いや、アルタフと「人に創られし人」の一族との接触からそのように考えるとは、あの少ない情報からここまで正確判断したとは―…。恐れ入るなぁ~。フェーナの部下にしておくのは勿体ないぐらいだ。副官として欲しいぐらいだ。いや、ベルグ様の直接の部下にもなれたかもしれんな。フェーナやランシュは特別枠だったけど―…。」

 アラジャからしたら、ワンガース=レッドは、自身の部下にしたいと思えるほどのものであると判断することができた。

 そのようにできたのは、少ない情報で、サンバリアの壊滅的な状態になる可能性をしっかりと引き出すのだから、情報を色んな角度から見ることができるのだろうと、思えたからだ。

 ワンガース=レッドの賢さは、サンバリアの中でもかなり上位に入るものであるし、天成獣の宿っている武器を扱うことができる以上、戦力にもなるし、戦闘方法もかなりあるので、有能であることに間違いない。

 ゆえに、ワンガース=レッドをこのように評価してもおかしくはない。

 「気に入られるようねぇ~、ワンガース=レッドは―…。」

 フェーナは小声で言うのだった。

 それは、アラジャに聞こえる必要もないものであると判断したからであろう。

第160話-4 イスドラークへ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


では―…。

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