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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
759/759

第159話-3 宴、そして、混乱するサンバリアに安定を―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「お前らが俺の話を聞いたとしても、お前らがサンバリアに勝てるようなことはこの世のすべての不運がおこったとしてもあり得ねぇ。サンバリアは、世界で最強の軍事国家。俺の姉ちゃんもそこでお偉方をしているから話に聞くし、それに…………俺を捕まえることはサンバリアに敵対することになる。サンバリアの軍事力に対して、自分達が何を敵に回したのかを知るのだな。ざまあ~。」

 ラーグラからしたら、自分は負けているわけではないし、こうやって捕まえても意味がないし、サンバリアと敵対した時点で、敵対された側の未来はない、そう言いたいのだ。

 だから、さっさと諦めて、サンバリアのために命を落とせ、と―…。

 そんなことを言ったとしても、意味を礼奈やミランが理解できるが、それで、諦めるようなことはない。

 「知らないわよ。たとえ、サンバリアが軍事最強国家であったとしても、そちらが瑠璃の命を狙った以上、その理由を聞くまでは引かないし、理由によっては、あんたら、国家自体も滅びるかもしれないわねぇ~。」

 ミランもある程度は、ハッタリとして言っているだけであろうが、今は、ハッタリを言ったとしても自分達が弱いということをサンバリア側に思わせるわけにはいかないと判断したからだ。

 サンバリアが軍事国家であり、アウリア大陸で最強の国家であることを知っているが、「人に創られし人」の集団が暮らしているカルフィーア村の協力を得られるのなら、サンバリアを倒すこともできるかもしれない。

 瑠璃たちは、ランシュの仕掛けたゲームで勝利を挙げており、実力があるのは確かだ。一方で、セルティーやアンバイドがいない以上、戦力は落ちることになるが、ミランが加わっているので、少しは抑えられており、瑠璃たちは実力が成長中ということもあり、抑えられる量も増加することであろう。

 そうである以上、どうなるかは分からない。

 ゆえに、ミランのハッタリも完全に嘘になるとは限らないであろう。

 「そんなのはハッタリだな。任務は失敗したかもしれんが、俺も捕まったかもしれんが、俺はサンバリアの中で一番弱い。だけど、偉い姉ちゃんがこれを知れば、サンバリアの最強の姉ちゃんの軍隊が派遣されて、お前らは手も足も出ずに終わる。だから、お前らは大人しく、俺に殺されろ!!!」

 ラーグラからしたら、そのような任務が自分に出されているわけではないが、自分の功績を挙げて、自身の姉を喜ばせたいという気持ちが強いために、このような虚勢を張るのだ。

 ある意味で、ハッタリと虚勢の対決になっているような感じだ。

 (確かに弱い。砂漠で、真昼でなければ、圧倒的に私が勝っていた。天成獣の宿っている武器の扱い方も、天成獣のことも、その戦い方も分かっていない。こんな人に負ける気はない。だけど、同時に違和感がある。船上の時は、矢を破壊するのに苦労した。なぜ? こんなに弱い人が―…。)

 礼奈からしてみれば、ラーグラの実力というのは疑問でしかない。

 ラーグラが弱いことは分かっているし、戦っている中で、そのようにしか感じられなかった。

 だけど、船上での矢の一撃は、敵が他にもいたから簡単に破壊するのは難しい場合もあっただろうが、中々、威力が落ちなかったこと、そして、他への攻撃へと回すことが不可能なほどになっていた現状を考えると、弱いなりの何かしらの理由があるのではないか、と思えてしまうのだ。

 礼奈は今のところ分かっていないだろうし、ラーグラ自身も気づいていないことでもあろう。

 ラーグラは、天成獣と会話することができないということが自身の力に気づけない要因になっているようだ。

 ゆえに、ここで述べるようなことはできないが、ラーグラには何かしらの能力が隠されているのかもしれない。ただし、能力者の類のものではなく、天成獣の能力だと思われるものであろう。

 そして、礼奈からラーグラの評価が弱いというのは、ラーグラ本人も認めているところであり、自分がサンバリアで一番弱いことも分かっている。

 だけど、礼奈に対しては、矢の攻撃が防がれたことに対する怒りという感情と同時に、何故かしら、恨めしい気持ちを抱いたのだ。

 略奪団の長はそのことに対して、理解している。

 そう、天才への嫉妬だ。自分が弱いのに、何であいつはこうも簡単に、そんな類のものである。

 だけど、世の中というものは、ただ、ある物事に対する答えを早く見つけることができる者がいれば、遅い者もいるし、早い場合もあれば、遅い場合もあるのだ。そして、見つけた答えの正解度合いというものがこの世の中における物事の答えには存在しており、早く見つけた者が最も良い解答を見つけられるとは限らず、遅い者が早い者以上の解答を見つけることもあるのだ。

 ゆえに、天才と馬鹿などのような言葉で、他者を比較しても、あまり意味はなく、本当に大事なのは、そんな細かい差で人の優劣を判断しても意味がないことを理解し、自分は自分だと思い、自分なりに他者よりも良い解答を探せば良いのだ。他者の解答がどうしてそうなったのかを参考にもしながら―…。

 そう思えば、過剰な天才称賛というものの愚かさも理解でき、自分は自分であるということにも気づけように―…。

 ここで、相手の優れているところを評価することに意味がないとは思っておらず、相手の優れているところは大いに評価すべきだし、他の要素同士の比較自体が無意味ではなく、活用すべき時もあるが、それがすべての物事を見る指標になる万能を持ち合わせていないことを理解し、ある視点を提供しているだけに過ぎないという範囲が有限であることを理解すべきであろう。

 完璧な指標だと思ってしまうと、物事の見落としというものを発生させ、自らの理解の可能性を狭めるという結果になるだけだ。

 このことに気づける人は少ないのかもしれない。

 さて、話を戻し、礼奈はラーグラの弱さとそのおかしさを考えながらも、結論に至ることはないので、静かにしようと思うのだが、言うのだった。

 「殺される気はない。だから、あなたたちの目的を話して。」

 礼奈は圧をかける。

 ラーグラも冷たいものを全身に突きつけられるような感覚に陥る。

 礼奈によって凍らされた時と同じ感覚なのだが、それ以上に、怒りの感情から恐怖の感情が芽生え始めるのだった。

 こいつを敵に回してはいけない。

 そう思わせるような―…。

 それを過去に何人も感じることがあったが、どれもがサンバリアの関係者であるという共通性であったことは確かだ。

 ラーグラはそんな恐怖の感情を理解しながらも―…。

 (俺を捕まえたところで姉ちゃんがきっと―…。なら、言ったとしても良いな。こいつらに姉ちゃんが負けるわけがない。)

 ラーグラには打算の類があったのだろう。

 ゆえに、負け惜しみと周囲に思わせるかもしれない感じで言い始めるのだった。

 「目的―…。俺はお前らを監視しながら、隙があるなら、命を狙うように命令されてる!!! そして、お前らはサンバリアに仮に辿り着いたとしても、何も抵抗することなく、殺されるんだ。これ以上は、姉ちゃんから言われていない!!!」

 ラーグラはヤケクソの感じで言っているようにしか感じないが、あくまでも、三人組の見張りとしか言われていないのだ。

 それ以外は、ラーグラの独断行動であり、サンバリアの支配者側の目的ではない。

 それに、本来の目的は、瑠璃たち三人組がサンバリアへと向かわせて、リースの辺境にあるベルグの実験から目を逸らすための陽動であり、ローも気づいているが、瑠璃がベルグに勝つためには、敢えて、相手の目的に乗っかり、瑠璃たちを育てる必要があるからだ。

 ゆえに、下っ端程度に過ぎないラーグラに本来の目的は、知らされていなくてもおかしくはない。

 要は、ラーグラから知られる相手側の情報は、ほとんどないと言ってよい。

 だけど、現時点で、ミランや礼奈にそのようなことを気づけと言われても、無理なことであろう。

 人は集められる情報から考察している範囲でしか、物事を見て、判断することができるという面を備えている以上、ベルグ側の望みまで気づくことは難しいことであるし、思考には時間というものを消費することは避けられない以上、答えを出すにも限りというものが発生することになる。

 なので、見つけられなくても、馬鹿だと言うのは、愚か者であり、本質を見ていない存在でしかない。

 ラーグラのヤケクソの言葉に対して、ミランはこれ以上は無理そうだと思うのだった。

 (まあ、こいつは下っ端ってことね。上から知らされる情報は多くはない。サンバリアは情報管理がしっかりとなされている国家ということね。厄介だわ。まあ、あの一族を見つけることができれば、何かしらのサンバリアの動向に関する情報も見つかるだろうけど―…。こいつから分かりそうにないな。頭の悪そうだしね。)

 ミランは、ラーグラから情報をこれ以上取れないと思うと、ラーグラが頭がそこまで良くないという評価を下すのだった。

 確かに、頭が良い方ではない。

 しかし、勘違いしてはいけないのは、何かしらの要因をきっかけとして、頭が良いと周囲に思わせるような結果になることは十分にあり得ることだ。

 そうだと考えると、努力不足だと言うのは安易な物事をしているだけに過ぎず、大事なのは、結局、上手く噛み合う要因を見つけるだけの機会というものが必要なのであろう。

 それを見破れる人との出会いやら、物事に出会うことが必要なのかもしれない。

 別の方法もあるかもしれないが―…。

 ミランは呆れたのか、これ以上、聞いても意味がないと感じて―…。

 「これ以上は、無理ね。使えるとすれば、サンバリアへの道案内ぐらいでしょう。そして、こいつをサンバリアでの行動を自由にしてもらうぐらいね。下っ端ごときでどこまでできるかは分からないけど―…。」

 ミランは、ラーグラに向かって、舐め腐った感じを抱かせるに言う。

 ミランからしたら、ラーグラが下っ端ぐらいなのは、会話を聞いていく中ですぐに理解できた。

 だからこそ、サンバリアの案内役までにはなるが、サンバリアの偉い人との伝手としては弱いかもしれない。ラーグラの姉がどこまでの地位にあるかは、今、現在の点で分からない以上、本当の意味で判断するのは難しいかもしれないが、下っ端の上だとしてもサンバリアで上位とは限らない。

 ゆえに、サンバリアがどうして瑠璃を襲ったのかの理由を聞ける機会はそんなにないだろう。そして、最終的に武力を使って分からせるしかない。襲ってきている以上―…。

 ただし、ここでは本当に襲われているので、瑠璃が意図的に作り出した危機ではないし、そのことを証明するのに、李章がいるし、相手側からそのようなことを言われたとしても、正々堂々否定することができる。

 まあ、証拠はないので、意味がない可能性も高いのだが―…。正確には、証拠となるものがあるが、それは自分達とは関係ないと言われれば意味がないのだ。

 そして、ラーグラは悔しそうな表情をしながらも、これ以上、ミランも会話する意味もないので、会話は終わり、ミランと礼奈は自分達の寝床へと向かうのであった。

 この会話を、寝ながらこっそりと略奪団の長は聞くのだった。

 (いろいろあるみたいだが、聞かなかったことにすべきだな。)

 自分は関係ないし、関わるのは危険だと判断したからであろう。

 こうして、夜が更けていくのだった。


第159話-4 宴、そして、混乱するサンバリアに安定を―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


次回の投稿日は、2025年12月2日頃を予定しています。

では―…。

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