表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
754/761

第158話-2 礼奈VSラーグラ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 そして、時が戻る。

 場所は、キャラバンが近くにあり、かつ、略奪団と戦闘を繰り広げているところ。

 そこでは、さっきの水流によって、あたりが水浸しになっている状態である。

 その中の中央には、波に乗ってやってきた礼奈がいた。

 サーフィンをするかのように水に足をつけることなく、水に足を接することによって、ここまでやってきたのだ。

 (うん、最初からこうすれば良かった。)

 礼奈は最初から「水流波」を使えば良かったと心の中で後悔するのだった。

 人は選択を往々にして間違うことがあるし、間違うことのない人間はいない。

 人間は完璧な存在にも、完全な存在にもなれないのだから、仕方のないことである。

 そして、戦闘センスが天才的なものである礼奈だとしても、間違うことから逃れることはできないし、戦闘においてもそうであるし、今、ここで証明していることになる。

 天才をミスしない生き物であると周囲の人が無意識のうちに思っているかもしれないが、一方で、ミスするものだと頭の中では理解していても、いざって時にそのことが頭から抜け落ちてしまっている場合もあるので、天才であってもミスするものだと理解していたとしても、それを本当の意味ですぐに理解し、その時に必要な行動をとることによって、最適な行動ができる者は少ないであろうし、天才のミスを手のひらを返したかのように批判するという行動をとる者もいるだろう。

 ただ、ここで大事なのは、さっきも言ったように、間違えない天才はおらず、天才と言われる者もまた人であり、生物の領域の外に出ることができない存在であり、彼らに頼り過ぎないようにすることを肝に銘じることと、彼らのできない面は自分達が補うとか、支えるとか、というのも必要であろうが、一番大事なのは、彼らもまた同じ人であるというふうに思えることだ。

 同じであると思えることの方が大切であるし、そう思えば、過剰な天才崇拝をすることもなくなるだろう。この解決法が正しいかと聞かれれば、簡単に正しいとは頷けないが、それでも、一つの方法ぐらいにはなりきれるとは思う。

 別の方法を探るのも大切なことであり、それは自身だけでなく、周囲の者も考えてみて欲しい。人は同じ面もあるし、違う面もあるのだから、面白い答えを導き出すことができるかもしれない。

 天才と馬鹿の差もちっぽけなものに過ぎないし、馬鹿が天才以上の答えを導き出すことも少ないながら、あり得ることだ。

 その理由の説明は省略させていただくが、この答えは合っている可能性は十分にあることだ。

 さて、話を戻すと、礼奈は後悔しながらも、それでも、後悔ばかりしていられる状況ではないので、周囲を見回し―…。

 (キャラバンのいる場所へと戻ることができた。敵のボスと思われる人と、船上で私たちを攻撃しようとした人を波に流すことで―…。これで、戦いやすくなった。)

 礼奈からしたら、分断するようなことをしなければ、自分達にとって優位に戦えると判断してのことであろう。

 ラーグラが矢を使った攻撃をしてくるので、他の戦いに集中していると、隙を発見して、自分達にとって邪魔な攻撃をしてくるのが予想できたので、見える場所に無理矢理にでも送ることができれば、礼奈以外の瑠璃たちにとっても、矢の人物の正体を知ることができ、自分がなぜ、長のいる方に向かったのを理解してくれるかもしれないと、判断したからだ。

 それでも、ミランから怒られる可能性は十分にあるのだが、そのことを考えている余裕が礼奈にはないし、頭の中からすっきりと抜け落ちてしまっている。

 礼奈は、ラーグラの方へと視線を向ける。

 ラーグラは溺れかけたし、地面に接する時にダメージを受けたので、少しだけ苦痛に喘ぎながらも、敵の視線を感じたので、無理矢理に起き上がる。

 「チッ!!! 良くも俺を―…。」

 だけど、声を出すことができたとしても、今のラーグラの状態では、礼奈と戦えるだけの体力はないように思われる。

 そのことをラーグラが気にする素振りを見せるようなことはしない。

 すでに、礼奈を始末することに集中してしまっているのだ。嫉妬の類、執着の類、というものを抱きながら―…。

 それでも、水が体の中に一部入り込んでしまっているので、喋るのは簡単なことではないだろうし、言っている途中に―…。

 「ゴホッ、ゴホッ。」

と、(むせ)るのだった。

 咽た状態であったとしても、ラーグラは礼奈から視線を離すような気持ちにはなれなかった。

 そして、礼奈の方は、ラーグラの方へと視線を向けながらも、他へと視線を向けると―…。

 (瑠璃と李章、ミランさんは、戦闘中でこっちへの加勢を期待することはできない。クローナの方は「白の水晶」を使っているから、頼れるのはクローナだけ。だけど、明らかに動いていないから、期待は―………思ったけどしない方が良いみたい。)

 礼奈も戦闘をしていないクローナが加勢してくれることに期待したのだが、二人の敵だと思われる存在を見て、反撃をしていないことから、明らかに戦闘できるような状態ではないと理解していたので、自身が心の中で言っていた「頼れるのはクローナだけ」という面を撤回するのだった。

 そうなってしまうと、礼奈はラーグラと長の二人を自分一人だけで相手にしないといけないし、長の方は簡単に倒せるような感じには思えなかった。

 火の属性なのは分かっているが、水を使って、簡単に倒せるかと言われれば、嘘となるし、氷だとかなり難しくなる。

 それだけ、長は実力を有していることが分かっているのだ。

 だからこそ、まず、倒せる相手であるラーグラを倒すことに目標を定めるのだった。

 長への警戒もしながら―…。


 一方、ラーグラとともに流されてきた略奪団の長の方は―…。

 すぐに、立ち上がり、ラーグラの様子を見て、礼奈の方へも視線を向ける。

 すぐに、他の方をも見回しながら―…。

 (こりゃ~ぁ、襲撃目標のキャラバン……いや、ラーグラから受けた依頼の対象がいるところへと無理矢理連れてこられたということになるな。そして、あの小娘のせいで、火は使えないわけではないが、暫くの間、弱くなるな。まいったなぁ~。まあ、この状況で俺を護衛している直臣のバンダルナが戦闘不能にされているのか。レグらも……か。こりゃぁ~、ラーグラの戦いで小娘が勝ったら降参だな。これ以上の損害は団の存亡にかかわる。まあ、捕まっても同じだが、再起できるのなら、被害は少ない方が良い。それに、今回のキャラバンには昔の伝手がある。それを利用できれば良い―…。)

 長からしたら、これ以上の損害は、略奪団にとって良い結果にはならない。

 一番上に立ち、指揮をする人間である以上、略奪団を全滅させるようなことをするのは危険なことでしかないし、愚かなことでしかない。

 どこかしらで、撤退をするか、降参するしかない。

 捕まれば、命を奪われるようなこともあろうが、今回の襲っているキャラバンを見て、自らの昔の伝手が使えると判断しているからだ。

 そして、周囲を見れば、キャラバンの護衛をしている数が普段に比べて明らかに少ない。

 それでも、実力者を配置することができているので、凄いとは思うが、ラナトールで何かがあったのだろうという推測ぐらいはできる。

 まあ、そういう情報は手に入れやすいが生憎と、今、長の手許にはラナトールの瑠璃たちがいた時の情報はもたらされていない。

 砂漠の中にいる以上、情報を手に入れるのにラグというものも発生するし、ラーグラの依頼を受けている以上、そっちの方に、人を割いてしまったことによっても発生しているという感じだ。

 それを長が言い訳に使う可能性は低いであろう。

 自らの判断にミスがあれば、自分のせいだと自分の中で思うことができるからだ。

 一方で、他者のミスをそのミスをしたのせいだと安易に決めつけたり、ミスをした人にはどうしようもできないことで、そのミスをした人のせいだとする人もいる。そういう輩というのは、他者のミスを見下すことによって、自分が優れているという優越感に浸ることに快感を見出すロクでもない人間である。

 だけど、人の感情の中にはそのような感情が存在していることを否定するのは良くない。自らの良くない感情を理解した上で、それをこき下ろすばかりではなく、上手くその良くない感情を抱いていることを認めながら、自分もミスをして、他人からそのように言われることが嫌なのであれば、他者には言ってはいけないことだと思い理解することが大切である。要は自分の嫌がることを他人に対してもするな、という気持ちを持ち、自分の中での良くない感情と上手く付き合っていくしかない。

 良くない感情に負けるのは弱いからではない。自らが簡単に楽になろうとしているだけであり、そのことによって、精神の安定を満たそうとしているだけに過ぎない。

 大事なのは、その気持ちを認めた上で、別の方法で、その良くない気持ちを発散させるようにすることでもあろう。いくつか別の方法があるかもしれないが、それが良い結果を導き出すかはいろいろと考慮や検討、想像の類が必要になることは避けられないだろう。周囲に悪い影響を及ぼしているのではないか、ということを考え、周囲へ配慮するという感じで―…。

 さて、話が逸れてしまったので、戻すことにしよう。

 略奪団の長は、そのような思考を巡らせながら、自分が戦うという選択をしなかった。礼奈の「水流波」のせいで、火を扱うことができたとしても、そこまで強い技を放てなくなったのだ。服や体が水に濡れたということと、周囲が水浸しになっていることを考えると、火で戦うのには状況が良くない。

 ある意味で、無力化された、ということなのである。

 それでも、無理矢理戦おうとすれば戦えるが、略奪団の長である以上、さっきも言ったように、団を全滅させるようなことをしてはいけない。撤退の考慮もあるが、降参する以外に選択肢がなさそうな感じになっている。

 そういう時でも、自分と団のメンバーが生き残れる可能性を考えないわけにはいかない。

 ラーグラは倒されたとしても、頭に血がのぼっている状態なので、変な場面で降参したとしても暴発するのを免れるようなことができない以上、好きに戦わせ、負けというものをしっかりと気づかせるようにさせないといけない。

 面倒くさい、この上ないことだが、暴発して、自分に向けられるのを避けるためには、しないといけないことなのである。

 配慮というのは神経をすり減らすので、しなければしたくないが、世の中で生きていく以上、避けるようなことはできない。どんなに我が儘な存在であったとしても―…。

 略奪団の長は、自分のできる限りのことをしようと決め、礼奈とラーグラの戦いを見守るのだった。

 一人の観戦者として―…。


 場所は少しだけ離れ、李章とギルカースドの戦い。

 水浸しになり―…。

 「俺の砂芸術(サンドアート)が―…。」

 ギルカースドは、自分がこれから発動させようとしていた技が、礼奈の「水流波」の水流によって、崩されてしまったのだ。

 そうである以上、ギルカースドの怒りは増大するのだった。

 頂点に達して、それよりも超えるのだ。

 驚きとしか言いようがない。

 そうであったとしても、ギルカースドは李章と戦っている以上、どうであったとしても、ここから離脱するようなことはできない。

 だけど、分かっている。

 このことによって、李章が有利になるということは、李章の仲間がやったことだ。

 ならば、その自分の受けた損益は、李章に向けるべきである、ということを―…。

 ゆえに―…。

 「テメェ~の仲間がやったのか!!! なら、お前を無残な方法で殺し……………………。」

 ギルカースドは、その後も言おうとしたのだが―…。

 それは隙でしかない。

 李章がそのような隙を見逃すつもりはない。

 「生刀 峰強内撃(ほうきょうないげき)。」

 要は、峰内だ。

 それもただの峰内ではなく、その威力がかなり強さをもつものであり、天成獣の宿っている武器を扱っていない者であれば、簡単に命を奪ってしまうほどの威力である。

 だが、李章は、ギルカースドが天成獣の宿っている武器を扱っているのではないかということを予測しているので、これだけの強い攻撃であったとしても、ギルカースドが戦闘不能状態になるだけであろうと、思っているのだ。

 それは正解であろう。

 「ガァ………。」

 ギルカースドは吹き飛ばされるのだった。

 そして、数メートルぐらい飛ばされたところで、地面に激突し、気絶するのだった。

 ギルカースド自身、自分の身に何が起こっているのかを理解することができることもなく、視界を失うのであった。

 そして、李章の方は―…。

 「瑠璃さんの方へと助太刀いたしませんと―…。それにしても、これは礼奈さんが水を使ったのですか。幸運に感謝しないといけません。」

 言いながら、瑠璃のいる方へと向かうのであった。

第158話-3 礼奈VSラーグラ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆すると思います。


体調の方はかなりの程度まで良くなったと思います。

どこで崩すか分からないのが、唯一の難点ではありますが―…。

執筆の方は、少しずつおこなっており、第160話は2025年11月18日時点で何とか一応の完成を見ました。

イスドラークのところを執筆しているという感じです。

かなりグロいところを書かないといけませんが、なるべくマイルドになるようにしていきたいと思います。

皆様も体調の方は、気を付けてください。

では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ